2024年も第4コーナーに突入した10月。東京株式市場では月央におよそ3カ月ぶりに4万円台を一時回復したものの、持続力に乏しく、総じて一進一退の値動きが続いた。
自民・公明の連立与党の衆院選敗北も事前に織り込み済みだったのか、さほどの材料にならなかった。他方、議席を伸ばした野党側の足並みもそろっておらず、政権交代の可能性は現実味を帯びていない。こうした中、アクティビスト(物言う株主)の動きはどうたったのか?
ストラテジック、ガンホー株を新規保有
10月に提出された大量保有報告書をもとに調べたところ、とくに活発だったのが国内投資ファンドのストラテジックキャピタル(東京都渋谷区)と、英国投資ファンドのニッポン・アクティブ・バリュー・ファンドだ。
ストラテジックは10月16日、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株を新規に5.47%取得したとする大量保有報告書を関東財務局に提出した。保有目的は「純投資及び状況に応じて重要提案行為等を行うこと」。ガンホーは「パズル&ドラゴンズ」などで知られるスマートフォンゲームの大手。3000円近辺だった同社の株価は300円以上値上がりしている。
既存銘柄では東亜道路工業、大阪製鉄、ゴールドクレスト、イエローハットの株式を買い増した。東亜道路、ゴールドクレスト、イエローハットの3社については保有比率がすでに10%を超えているが、大阪製鉄も9.46%まで高まり、2ケタが目前に。一方、極東開発工業の保有比率は6.7%に1.2%低下した。
ニッポン・アクティブ・バリュー・ファンドは10月中、ホギメディカル、栄研化学、文化シヤッターなど9銘柄について大量保有報告書を提出した。同ファンドは中堅上場企業に積極的に投資しており、大半の銘柄で保有比率が10%超える。
なかでも医療用不織布最大手のホギメディカル株は2.08%買い増し、保有比率を21.23%まで高めた。栄研化学株も19.54%と20%に迫る。
米ファロランはフジテック株を6.59%取得
エレベーター大手のフジテックでは米投資ファンドのファラロン・キャピタル・マネジメントによる6.59%の新規保有が分かった。保有目的は「純投資及び建設的な対話を通じた中長期的な企業価値向上」とし、状況に応じて重要提案行為を行うことも含むとしている。
フジテックをめぐっては10月末、同社が複数の投資ファンドと自社の売却を検討していると報道された。これを受け、フジテックは「当社が買い手を探している点など事実と異なる内容を含んでいる」と反論しながらも、「法的拘束力のない初期的な提案を受けていることは事実」との声明を発表した。
フジテックの筆頭株主は約20%を保有する香港投資ファンドのオアシス・マネジメント。フジテックでは会長を解任された創業家出身の内山高一氏とオアシスとの対立によるしこりが払拭しきれていない。フジテックに投じた資金をオアシスがどうやって回収するのか、出口戦略にがぜん注目が集まっている。