今年5月、中期計画を組み替え

サンマルクHDは今年5月に中期経営計画を組み替えた。2022年3月期~2026年3月期を対象とする中期経営計画に取り組んでいたが、アフターコロナの到来など外部環境の変化を受けて内容を見直したのだ。

新中期経営計画では最終年度の2029年3月期目標として売上高800億円、営業利益65億円を掲げたうえで、26年3月期までの2年間はその体制づくりを行うとし、以下の3つを重点施策に打ち出した。

①「鎌倉パスタ」業態の継続出店・派生業態の出店によるパスタ業態のポテンシャルの最大化
②「サンマルクカフェ」業態を中心とした運営効率の改善
③既存の有望業態の強化、M&Aによる新ブランドの獲得など、2027年3月期以降の成長の軸となる第3のブラント確立に向けた投資

「鎌倉パスタ」については出店を着実に進めるとともに、その派生業態である「おだしもん」(出汁をベースとしたパスタと和スイーツ)、「神戸元町ドリア」、「てっぱんのスパゲッティ」などの出店強化を目指す。

M&A Online

(画像=レストラン事業の大黒柱である「鎌倉パスタ」、「M&A Online」より引用)

次なる大型M&Aは?

M&Aによる新ブランドの獲得では「京都勝牛」のジーホールディングスを110億円超で買収し、早速実行に移した。現行の中期経営計画は期間中、M&Aまたは機動的な株主還元として100億円程度の資金配分を盛り込んでいるが、枠を目いっぱい使った格好だ。

実はこれまで、サンマルクHDはM&Aに必ずしも積極的ではなかった。過去10年をみても、2022年末に「喫茶マドラグ」4店舗を展開するLa Madrague(京都市)を子会社化したことがある程度。「喫茶マドラグ」は京都を代表する喫茶店ブランドとして知られる。

サンマルクHDは岡山発の全国企業として躍進を遂げた。コロナ禍で右肩上がりの成長に待ったがかかったが、再び、上昇気流に乗ろうとしている。その推進力として、海外展開も見据えつつ、第二、第三の大型M&Aが出番を待っていそうだ。

◎サンマルクホールディングスの主な沿革

出来事
1989 大元サンマルクを岡山市に設立。「ベーカリレストラン・サンマルク」を開店
1990 サンマルクに社名を変更
1995 株式を店頭登録
1999 コーヒーショップ「サンマルクカフェ」を東京都内に開店
高級回転ずし「すし処函館市場」を福岡県久留米市に開店
2002 東証2部に上場
「ベーカリーレストラン・バケット」を兵庫県伊丹市に開店
2003 東証1部に上場(2022年4月、東証プライム市場に移行)
2004 スパゲッティ店「生麺専門鎌倉パスタ」を岡山市に開店
2005 持ち株会社制移行でサンマルクホールディングスに社名変更
2006 炒飯専門店「広東炒飯店」を兵庫県伊丹市に開店
2007 ドリア専門店「神戸元町ドリア」を岡山市に開店
2008 フルサービス喫茶店「倉式珈琲店」を東京都港区に開店
2022 喫茶店経営のLa Madrague(京都市)を子会社化
2024 11月、飲食店経営のジーホールディングス(東京都中央区)を子会社化

文:M&A Online