HIR株式会社
(画像=HIR株式会社)
小林大夢(こばやし ひろむ)――代表取締役
20代前半は、B2B向けのソリューションセールスにて、事業部長や人財事業の立ち上げに従事した後、スタートアップ企業にて若手人材特化の人材紹介事業の立ち上げに従事。 2020年10月〜人材紹介に頼らず、企業の採用スキルの底上げをコンセプトに採用支援事業を行う企業を創業し、宿泊施設や外食業事業者に特化した採用支援を行う。 これまでの経験から、ヒト・モノ・カネの”ヒト”のバリューで地方外食業は大きな優位性を作ると考え、2023年9月末に、事業承継により代表取締役に就任。
創業44年を迎えた北海道を中心に4業態の飲食店を運営する外食業。 【回転寿司とっぴ〜・焼肉dining牛若丸・居酒屋つぼ八(FC)・蕎麦天ぷら米久】 今期から、北海道産食材、原料にこだわったEC事業と外食業に特化した採用支援事業をリリースし、北海道の食材ロス、観光客の流入に追いつかない人手不足の解決に取り組んでおります。

目次

  1. これまでの事業変遷について
  2. 自社事業の強みについて
  3. ぶつかった壁やその乗り越え方
  4. 今後の経営・事業の展望
  5. ZUU onlineユーザーへ一言

これまでの事業変遷について

—— 創業から現在に至るまでの変遷についてお聞かせください。

HIR株式会社 代表取締役・小林大夢氏(以下、社名・氏名略) 当社は創業44年を迎え、昨年9月にM&Aで私が5代目として事業を引き継ぎました。創業当初は飲食店やホテル業、小売業、不動産業と多角的な展開を行い、3代目までは上場を目指していました。 しかし、コロナの影響で店舗閉鎖が続きました。結果的に、経営の整理を行い、現在は17店舗、従業員約250名の規模となっています。

—— どのようにして小林さんが関わることになったのでしょうか?

小林 これまで宿泊施設や飲食店の採用支援を中心に人材の分野で仕事をしてきました。今回の事業承継を決めた理由は、人材に焦点を当てたことです。歴史のある会社で、金融機関との信頼関係も築かれており、北海道という地域には豊富な資源があります。ただし、人材不足という課題がありました。これに対して、私の経験を活かし、企業価値を高められると考えました。

—— もともと事業承継を考えていらっしゃったんですか?

小林 実は、事業承継を考えていたわけではありませんでした。以前、外資系企業とのM&A話がありましたが、金銭面で折り合わず白紙になりました。その後、私が代表に就任するタイミングで専務取締役に就任した人物が、4代目社長と経営者コミュニティの同期生で、その縁から話が進みました。専務は介護施設や病院のマネジメント経験があり、私の取引先でもありました。ある時、「こういった話があるが興味は?」と連絡をもらい、人材の課題にアプローチできれば成長が見込めると判断し、M&Aを進めました。

自社事業の強みについて

—— 御社の事業の強みについてお聞かせください。

小林 経営体制が変わる前は、各店舗は週休二日制で月8日休みがあり、17店舗全体で約140日の定休日がありました。人手不足が原因で店を開けられない状況でしたが、現在では定休日を35日まで大幅に減らすことができました。

「ヒト」に焦点を当て、採用や教育、人事制度を改革した結果、定休日を減らし機会損失を抑えることができました。これにより、競合が人手不足で閉店している中、当社は人員を増やし定休日を減らし、売上機会の損失を改善しました。これが我々の強みであり、競争優位性を築いています。 また、新しい取り組みとしてEC事業を始めており、北海道の食材を活かした商品開発を国内外に展開しています。さらに、外食産業に特化した採用支援も計画しています。コロナ禍を経て得た人材確保と定休日削減のノウハウを活かし、他の飲食店の採用支援を行います。これらの事業は今期中にリリース予定で、さらなる事業展開を目指しています。

—— 採用に関して、具体的にはどのような工夫をされているのですか?

小林 工夫は主に3つあります。まず、求人の事前準備とリサーチに時間をかけています。中途採用では効果の高いチャネルを選び、PVの最大化を図っています。次に、人事制度や組織体制を見直し、会社の魅力を高めました。例えば、3ヶ月で責任者に昇格した事例もあります。最後に、外国人採用を積極的に進め、過去の外国人人材事業の経験を活かしています。

—— 外国人採用も進めているのですね。どちらの国から採用されていますか?

小林 当社では現在、ミャンマーと韓国からの人材を雇用しており、今年2月から3名を採用しました。今後も増員を予定しています。外国人人材技能実習制度や特定技能制度を活用し、管理組合や企業をM&Aで取得して内製化を進めています。これにより、外食産業への外国人人材の採用支援も強化しています。

ぶつかった壁やその乗り越え方

—— これまでの事業運営でぶつかった壁やその乗り越え方についてお聞かせください。

小林 上場計画の頓挫や代表交代、店舗閉鎖が重なり、従業員のエンゲージメントが低下していました。本社の運営も属人的で、引き継ぎが進まない問題がありました。 私たちは「人材こそが最も重要な財産」という考えのもと、従業員を主役にし、会社はサポート役に徹する方針を持ちました。人事制度や組織体制を見直し、年間休日を150日から170日に増やし、来期には180日を目指しています。また、リフレッシュ休暇やアニバーサリー休暇を導入し、外部研修や定期的なワンオンワンを通じた教育・採用コストへの投資も行っています。新卒採用や外国人採用にも注力し、常に120%のキャパシティを維持することを心掛けています。 業績も回復傾向にあり、少しずつ良い方向に向かっています。

—— 以前は社員が複数の店舗を掛け持ちしていたと伺いましたが、現在はどうですか。

小林 以前はSVが複数の店舗を兼任しながら、実際には店長業務のみを行うケースが多く見られました。現在は役職に応じた業務ができるよう体制を改善しています。 今後も従業員が働きやすい環境を整えることに注力し、従業員が輝ける職場を目指しています。さらなる制度の改善や新たな施策の導入も検討しています。

今後の経営・事業の展望

—— 未来構想についてお聞かせいただけますか。

小林 今期から2つの新規事業を進めています。1つ目は、北海道産の原料にこだわった商品の開発と販売を行うEC事業です。新ブランド「ノースブランド」の第一弾として、北海道スパイスと黒毛和牛を使用したハンバーグを展開します。 2つ目は、外食業に特化した採用支援事業です。特に外国人人材の採用や育成に力を入れ、業界全体の人材育成をサポートしていきたいと考えています。

—— 外食業界での採用支援は、今後ますます重要になりそうですね。既存の事業についてはどのように展開していく予定ですか。

小林 飲食業が主軸であるため、特に回転寿司チェーン「トッピー」に注力しています。北海道内での新規出店を計画しており、資金面も含めてファイナンスを進めています。出店には管理職やサービススタッフ、キッチンスタッフが必要で、人材育成を通じて組織のオペレーションを強化し、より良いサービスを提供して地域に貢献していきたいと考えています。

ZUU onlineユーザーへ一言

—— メディアユーザーに向けて、一言いただけますか?

小林 我々は複数の飲食店を経営しつつ、人的資本を強みに、EC事業やHR事業など多角的な事業展開を進めています。これらの事業は相互にシナジーを生み、横展開が可能です。全事業が連携しているため、今後の展開にご期待ください。

氏名
小林大夢(こばやし ひろむ)
社名
HIR株式会社
役職
代表取締役

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