株価、買付価格を上回る高値圏で推移
ただ、足元は先行するKKRにしてもTOBの成立が難しいのが実情だ。17日の富士ソフト株の終値は前日比121円高の9771円。
KKRによる買付価格を300円以上、ベインのそれも170円以上も上回っており、TOBに応募するよりも、多くの株主にとっては市場で売却した方が得だ。
KKRとしてはTOB成立を期すために買付価格の引き上げが避けて通れない情勢にあるが、ひとまず19日までの買付期間を延長することが確実視される。かといって、買付価格の引き上げで双方が応酬する事態になれば、富士ソフト本来の企業価値との乖離(かいり)が広がり、本末転倒を言わざるを得ない。
KKRが取得した富士ソフト株の行方は
一方、ベインがKKRをかわしてTOBを制した(66%取得)場合、扱いが難しいのはKKRが保有する約34%の株式だ。
KKRは保有する富士ソフト株について、ベインのTOBに応募しない意向。となれば、経営の意思決定の一元化が望めず、取締役会の混乱も予想されるだけに、最終的な着地点をどう見いだすのか、難問が待ち受ける。
◎富士ソフトのTOBをめぐるKKRとベインキャピタルの動き
文:M&A Online