今回は、日本リビング保証株式会社と株式会社メディアシークの経営統合により誕生したSolvvy株式会社の始動を記念した特別インタビューをZUU online主催で実施。株式会社メディアシークと経営統合した背景や目的、新社名に込めた想いについてSolvvy株式会社の安達社長に伺い、さらに中期経営計画に基づく今後の成長戦略にも迫っていく。

Solvvy株式会社
(画像=Solvvy株式会社)
安達 慶高(あだち よしたか)――代表取締役社長
東京工業大学工学部卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、デリバティブのトレーディングおよびマーケティングを担当。新卒にてMarsh Inc.日本法人(マーシュ・ジャパン)に入社後、 大手医療機器メーカーPLリスク対策やキャプティブ投資案件のコンサルティング等に従事。
Solvvyは、独自のSAaaS(Smart Assurance as a Service)メソッドを用いて企業が抱える課題を解決するストックビジネスコンサルティング企業です。様々な課題に対応する豊富なアイデアで、ともに考え、ともに解決する共創パートナーとして企業の事業拡大に貢献します。

目次

  1. 経営統合の背景と目的について
  2. 中期経営計画の詳細について
  3. 新会社の由来について
  4. 成長可能性と展望について

経営統合の背景と目的について

——まずは、今回の経営統合の背景とその狙いについてお聞かせください。

Solvvy株式会社 代表取締役社長・安達 慶高氏(以下、社名・氏名略):経営統合の狙いは大きく2つあります。1つ目はITシステム体制の強化、2つ目は成長を支える基盤の強化です。

まず、ITシステムの強化ですが、当社は主要となる事業として保証サービスを提供しているため、銀行や保険会社と似たように、信頼性が重要であるという特徴があります。つまり、短期的な利益だけでなく、長期的な取引の安定のために、アフターサービスを含めたインフラの信頼性の構築が非常に重要です。例えば、ATMが動かない銀行を信用しにくいのと同じように、保証も必要なときに確実にサービスを提供できる体制が不可欠です。そのため、システム基盤を強固にすることで、安定したサービス提供を目指しています。

これまでも社外取締役としてメディアシークの西尾社長に参画いただき、システムに関するアドバイスをいただいてシステム基盤の強化が進みました。一緒に仕事をさせていただくうちにお互いに統合するのがいいのではないかという話が自然と上がり、経営統合を決める一つのきっかけになりました。我々が提供する様々なシステムを内製化し、SaaSとしてお客様向けに提供することも、より一層取り組みやすくなります。ITシステム体制の拡充により社内基盤を強化するとともに、それを新しいビジネス展開につなげていきたいという想いがあります。

Solvvy株式会社
(画像=Solvvy株式会社)

——経営統合をする上で、決め手となったのはどのようなものでしょうか?

安達:やはり相性が非常によく、働きやすさを感じていたことです。メディアシークの持つシステム開発力と、我々の保証業務の知識が融合することで、Solvvyの強みであるストックビジネスコンサルティングを提供することが可能になりました。

さらに、今後プライム市場への上場を目指すにあたり、財務基盤をはじめとした上場要件をクリアできることも、経営統合の大きな動機でした。

——システムの強化だけでなく、財務面でもメリットがあったということですね。

安達: はい、プライム市場上場に求められる50億円の純資産基準を満たすために、メディアシーク社との統合が効果的でした。

また、これによりSaaSやFinTechの開発も加速し、新たな収益源を確保する計画です。我々の主軸は保証事業ですが、その基盤となるIT体制を強化することで、システムの外販やコンサルティングサービスの展開をより充実させることができます。これが2つ目の狙いである、成長を支える基盤強化の部分です。

中期経営計画の詳細について

——では、次に、2024年8月に発表された中期経営計画について、特に注力されているポイントをお伺いしたいと思います。

安達:今回の中期経営計画では、ストックビジネスコンサルティングにより既存の事業領域を深掘りすることと、新たなマーケットを開拓していくことの2軸を掲げております。

 既存事業としてHomeworthTech事業やExtendTech事業では、保証を軸に事業者様に対して様々な付加価値を提供してきております。ここにストックビジネスコンサルティングを組み合わせることで、事業者様の新たな収益獲得に貢献していく計画です。HomeworthTech事業においては住宅領域、ExtendTech事業においては、再生可能エネルギー関連領域やGIGAスクール構想に基づく教育ICT関連領域を中心に今後も事業を大きく拡大してまいります。

——新たに追加された「LifeTech事業」と「FinTech事業」についても詳しく教えてください。

安達:「LifeTech事業」では、メディアシークとの経営統合により提供することが可能となった、SI(システムインテグレーション)事業やSaaSプロダクトの開発をこの事業に集約させる予定です。

「FinTech事業」では、特にカスタマーファイナンスサービスを強化し収益化を目指しています。組込型金融(エンベデッドファイナンス)の形で、事業者のサービスに直接組み込まれるようなシステムを提供することで、簡単にカスタマーファイナンスの機能が利用できる仕組みを目指しています。特にリフォーム業界向けに、見積もりから分割払いなど各種決済までを一貫してオンラインで完結させるデジタルプラットフォームを開発中です。これにより、リフォーム業者の手間を省きながら、エンドユーザーにもシームレスで快適な体験を提供できるようになります。

——それぞれの事業を強化するために、どのような戦略を取っていますか?

安達:まず、既存の「HomeworthTech」と「ExtendTech」の両事業において、既に安定的な成長を見込んでいます。特に、再生可能エネルギー関連機器の保証や、教育ICT機器の保証は、今後も需要が増える見通しです。引き続きクライアントとの関係を密にとりながら、ストックビジネスコンサルティングを提供していきたいです。

「LifeTech事業」に関しては、メディアシーク社が持つ高度なシステム開発力を活用し、顧客ニーズに沿ったシステムコンサルティングやプロダクトを、迅速に市場投入していく体制を整えています。

「FinTech事業」は、現在開発フェーズですが、サービスをローンチできればリフォーム業界をはじめとする特定業界でエンドユーザーが簡単にローンを組むことができるようになり、事業者も手間が省ける仕組みを構築中です。

——たしかに、建築領域で分割払いといった仕組みがあると、顧客にも事業者にもメリットが大きいですね。他にSaaSの強化について具体的な事例を教えていただけますか?

安達:例えば「おうちbot」というSaaSプロダクトは、メディアシーク社と共同開発した住宅事業者向けのチャットボットサービスです。ノーコードで簡単に導入でき、住宅事業者が自社専用にカスタマイズしたチャットボットを簡単に設置できます。さらに、AI技術を取り入れた新機能の追加も計画しており、これにより中小規模の事業者でも手軽に先進的なカスタマーサポートを導入できるようにします。

このように、既存のプロダクトを強化しつつ、新しい技術や市場ニーズに合わせた開発を進めていきます。

新会社の由来について

——ブランド戦略についてお聞かせください。新しい会社名「Solvvy」について、どのような意味が込められているのでしょうか?

安達:「Solvvy(ソルヴィー)」という名前は、「Solve with you」という当社のタグラインにもなっているセンテンスから生まれており、共に解決していく、共に成長していくという共創の理念を表しています。

メディアシーク社との統合を通じて、ともに寄り添い高め合った感覚が非常に強く、その共創の精神を企業のブランドにも反映させたいと考えました。クライアントとも一緒に課題を解決し、ビジネスを成長させていく姿勢が「Solvvy」という名前に込められています。

——Solvvy社の強みについてもう少し教えていただけますか?

安達:当社の強みは「ストックビジネスコンサルティング」にあります。

基本的には、保証や金融サービスがマネタイズの手段ですが、そこを起点にして、顧客の事業に付加価値を提供し、長期的な関係を築いていくことを目指しています。保証というのは、顧客との接点が長期にわたるため、アフターサービスを起点とした事業展開が可能です。これにより、クライアントのロイヤルカスタマー化や収益化を支援することができます。

具体的には、我々は3つのフェーズでクライアントを支援します。最初は「仕組み化フェーズ」で、データベースや問い合わせ窓口、アプリなどを整備し、事業者のアフターサービスをインフラとして強化します。次に「活性化フェーズ」では、プロモーションやキャンペーンを通じてユーザーの活性化を図ります。そして最後に「収益化フェーズ」で、活性化されたユーザー層から安定した収益を得る仕組みを構築します。

Solvvy株式会社
(画像=Solvvy株式会社)

——保証を起点としたコンサルティングという独自のアプローチが興味深いですね。

安達:保証をベースにしながらも、そこからデジタルマーケティングや金融、システムインテグレーションといった多様な付加価値を提供することで、クライアントの事業拡大に寄与したいと考えています。

我々の目標は、単なる保証会社を超えて、コンサルティングファームのような存在へと進化することです。保証を足がかりに、クライアントの課題を総合的に解決し、長期的な成長を支援する会社を目指しています。

——なるほど。保証という分かりやすいサービスを起点にして、深い関係性を構築するというのは理にかなっていますね。

安達:おっしゃる通りです。保証はシンプルで導入しやすいサービスですから、クライアントにとっても理解しやすく、負担が少ない。そこから関係を深めていき、より多くの付加価値を提供していく。これが我々の営業戦略でもあります。保証の導入をきっかけに、デジタルマーケティングやSI、金融といった広範なサービスへとつながる提案を進めていきたいと考えています。

Solvvy株式会社
(画像=Solvvy株式会社)

成長可能性と展望について

——今後の成長可能性と展望についても教えていただけますか?

安達:グループ全体として、今後3年間で売上と利益を倍増させることを目標としています。その基盤となるのは、既存の住宅領域や再エネ領域、教育ICT領域です。

次に、SaaSやFinTechの分野に力を入れ、これらを成長のドライバーにしていきたいと考えています。これらの強化を通じて、売上と利益を倍増させるというのが基本的な戦略です。

——基盤を強化しつつ、新規事業での成長も目指しているということですね。他に成長のための具体的な方策はありますか?

安達:はい、非連続的な成長も視野に入れています。その一つが、M&Aや事業提携の活用です。また、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)も立ち上げたいと考えており、これらを通じて新たな企業への投資を行い、成長を加速させていきます。特に、アーリーステージの企業に投資し、5年から7年のスパンで上場を目指す企業を育てる計画です。これにより、新たなビジネスチャンスを積極的に取り込んでいきたいと考えています。

——M&Aの戦略について、もう少し詳しくお伺いできますか??

安達:M&Aの分野においては、メディアシーク社の西尾社長が豊富な経験を持っています。これまでに6社を上場に導いた実績があり、既に種を蒔いている企業もいくつかあり、常に先を見据えて投資を行っています。お金を投資するだけでなく、戦略面やIT、人的リソース、オフィスの環境整備など、多方面からサポートを行いながら、投資先企業の成長を支援していく方針です。

——そうした多角的なサポートがあることで、投資先も安心して成長できそうですね。非連続的な成長に向けて、今後も積極的な動きを期待しています。

安達:ありがとうございます。私たちは、確かな基盤の上に新しい事業の柱を立て、さらにM&AやCVCを駆使することで、長期的な成長を実現していきたいと考えています。今後も積極的に事業の拡大を図りながら、企業価値を高めることに注力していく予定です。

——御社の非連続的成長がすごく楽しみですね。本日はお時間いただき、ありがとうございました。

Solvvy株式会社
(画像=Solvvy株式会社)
氏名
安達 慶高(あだち よしたか)
社名
Solvvy株式会社
役職
代表取締役社長

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