この記事は2025年1月29日(水)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「西原宏一氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。


FXトレード戦略
(画像=Kiattisak/stock.adobe.com)

2025年1月29日(水)の午前11時すぎに、現役トレーダーの西原宏一さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。

西原宏一
青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラーなどを歴任後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。

現在の為替相場の傾向や相場観

今週初め、米国株はDeepSeekショックと称され、一時大きく値を下げた。

DeepSeekショックとは何か。DeepSeekに関してはコラムなどで何度か紹介しているが、今週話題になったのがDeepSeek-R1。中国のDeepSeekが、OpenAIのo1に匹敵する「考える力」を持った人工知能、DeepSeek-R1を発表したことが、マーケットを大きく動かしたようだ。

各種のベンチマークで、o1と同等かそれ以上のスコアを上げているにも関わらず、APIのコストはOpenAIのo1,o1-miniと比べて桁違いに安いのが特徴。

中華ものなので導きだされる答えに問題があるのは確かなのだが、西原氏がフォローしているAIの専門家も「APIのコストがとても安く、OpenAIと匹敵するレベルのものがオープンソースでリリースされてしまったことは、素晴らしいとしか言いようがない。」とコメントしている。

これを受け、米国株式市場ではテクノロジー株が大幅安。AI銘柄代表格のエヌビディアは一時18%安。マーケット参加者がエヌビディアの急落に驚き、精査する前にとりあえずリスクオフポジションを持ったという展開。

ただ「DeepSeekショックでAIバブルは崩壊」という記事が溢れ、大きく売られた米国の大型ハイテク株が昨日28日(火)は反発。エヌビディアは8%余り上昇。NASDAQ100は1.6%高で取引を終了した。

マーケットは混乱しているが、DeepSeek-R1の影響に関しては、もう少しマーケットを見極めたいところ。個人的には、DeepSeekの話題は数週間前からAI関連ニュースでは話題になっていたのでそれほどサプライズはなく、クロス円を中心に押し目を拾っていく方針。

では今後のAI関連についてはどうか。

DeepSeekショックに関しては意見が分かれている。ベストセラー「ブラック・スワン」の著者ナシム・ニコラス・タレブ氏は、AI主導の株価上昇に盲目的に飛びついた投資家がこれから直面する事態の「ほんの序章に過ぎない」と警告しているようだ。

DeepSeekショックでエヌビディアの時価総額は1日当たりの減少額としては米企業史上最大を記録。 ブルームバーグのインタビューで同氏は、今後の下落はエヌビディアが記録した2、3倍の規模になる可能性があると語ったとしている。

DeepSeekショックがAIバブル崩壊を暗示しているかどうかに関しては、マーケットでも意見が分かれており個人的にも決めつけないようにしているが、トランプ氏勝利から上げ続けた米国株が調整しても不思議ではない。

ただクラッシュするかどうかはわからない。

現在の為替相場の戦略やスタンス

ドルに関して気になるのが、先週の動き。添付したのがユーロ/米ドルの週足。

▽ユーロ/米ドルの 週足チャート

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(出所:ブルームバーグ)

10月から続落していたユーロ/米ドル(ドル上昇)が先週大きな陽線をだしている(ドル下落)ことも確か。 DeepSeekショックでも、リスクオフでドルはあまり買われなかった。

このことから、まだユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは底堅いのではないかと想定している。米ドル/円も円高にふれたのは一時的。ただ反発する力もあまりなく当面154.00~157.00円程度でもみあいの展開だろう。

こうした発想からスイスフランを中心にクロス円を押し目買いというスタンス継続で臨みたい。

▽スイスフラン/円 日足チャート

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(画像=羊飼いのFXブログ)

*:当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。