本記事は、西剛志氏の著書『結局、どうしたら伝わるのか? 脳科学が導き出した本当に伝わるコツ』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

ビジネスウーマン
(画像=miya227 / stock.adobe.com)

解像度を上げる「4メリットの法則」

私は長年「うまくいく人はどんな人か」というテーマで研究をしているのですが、うまくいく人は、「理解への誘導」が上手な人が多いです

うまくいく人は、自分一人の力では何もできないことを知っています。周りの協力があって初めて成果を上げられることをわかっているのです。

なので、どうしたら人が動くかを考えています

ここまで書いてきたように、人が動くのは解像度が高まったとき(理解ができたとき)です。つまり、動いてほしければ、動きたくなるベースになることへの解像度を高める必要があります。

でももし、動いてほしい人の解像度が低かったとしたら。うまくいく人は、動いてほしい人の解像度が上がるように導いていくことが得意なのです。

「これをしてください」
「自分でインプットしてください」

無理やり理解しろというようなことは言いません。だって、無理やり言ってしまうと、「やりたくない」という感情を生むことを知っているからです。

ではどうやって理解に導いていくか。

その方法のひとつが、「4メリットの法則」です。

そのままなんですが、相手にとってそれをすることのメリットを4つ伝える。それだけです。

私が講演をするときにやっている事例を紹介します。

講演会に参加している人に2人1組でAさん、Bさんを決めてもらいます。Bさんは後ろの席に行ってもらい、「これからやることは絶対見ないでください」とお願いします。

私はホワイトボードに「Bさんに伝えてほしいメッセージ」を書いて、Aさんだけに見てもらいます。

そして、Aさんに対してこう言います。

「このメッセージのメリットを4つ書き出してください」

そして、4つのメリットを書き出してもらったら、4つのメリットを伝えたあとに、本題のメッセージを伝えてもらいます。

実際にあったのは、こんな感じです。

「うまくいく人には習慣があって、年収1500万円以上の3割以上がやっていることです」
「さらに、たった6分やるだけで、ストレスが68%なくなります」
「毎日やると認知の低下が起きづらく、健康寿命も伸びることがわかっています」
「ビルゲイツやイーロン・マスクなども大切にしている習慣です」

それが何かというと、
それは、「本を読む」という習慣です!

『結局、どうしたら伝わるのか?』より引用
(画像=『結局、どうしたら伝わるのか?』より引用)

こう伝えられると、どうでしょうか?

「本を読むのは大切だよ!」と言われても「まあそうだろう」と思う程度かもしれませんが、メリットを伝えられてから言われると、より「読書は大切」「もっと読んでみよう!」と思わなかったでしょうか?

「本を読むメリットはこの4つです」と言ってから4つのメリットを話すのも、効果はありますが、先にメリットを話して、答えを最後に言うほうがより効果的です。

同じことでも伝え方を変えるだけで伝わり方は大きく変わります。

この方法は仕事でも活用できる方法です。

たとえば、商品の販促物をつくるとき。

4つのメリットを伝えて→その答えがこの商品です、という流れをつくると、よりお客さんに伝わるかもしれません。

あなたが新しい仕事を誰かに任せるときにも使えます。

この仕事を任せる相手がやる意義(メリット)を4つ伝えます。そしてラストでこのキラークエスチョンです。

「ちなみにいま、この仕事をやってみたい気持ちって、どのぐらいある?」

最後の質問をすることによって、相手のこの仕事への解像度もわかります。

「すごいやってみたいです」ということであれば、現状での解像度は合格レベルといえます。

一方で「やってみたい気持ちは5割ぐらいですかね」とか「1割です」といったように、低い数値を挙げた場合は、まだこの仕事をやる意味が腑に落ちていないということでもあります。

解像度が足りないときは、さらにその仕事のメリットをプラスしていきます。

実際に解像度が足りないということは、この仕事のことがさまざまな角度から見えていないということです。視点を提供しながらメリットをプラスしていってください。

それでもどうしても伝わらないということも、あるかもしれません。

そんなときは、相手のニーズを把握していきます。そのニーズを考えながら解像度を上げていくことです。

また、あなたと相手で一緒に解像度を上げていくのも、おすすめの方法です。

「いま解像度が3ということなら、どうやって7、8にできるか一緒に考えていこう」というように、一緒にやっていきます。

一緒にやっていくメリットは、解像度が上がっていかないポイントがどこにあるかを発見できるという点です。

「どういう意図で言ったと思いますか?」
「何が一番大事だと感じましたか?」

こんなふうに聞いてみると、あなたと相手の間で大事に思っていることがズレていたり、目指す方向性が違っていたりすることがあります。そうなると、いくら説明をしても解像度はなかなか上がっていきません。

そこで、認知のズレを矯正して解像度を上げるためにも、一緒に考えていくことが大切になるのです。

『結局、どうしたら伝わるのか?』より引用
西剛志(にし・たけゆき)
脳科学者(工学博士)、分子生物学者。
1975年、宮崎県高千穂出身。東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。
30代で対人関係やストレスが重なった影響もあり難病を宣告されるも、脳の研究を通して自身のストレスをなくすことに成功し、半年で病気が完治。この出来事をきっかけに、「うまくいく人と、うまくいかない人との違い」を本格的に研究するようになる。
現在は、世界的に成功している人たちのコミュニケーションや脳のしくみ、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めてこれまで3万人以上に講演会を提供。テレビ朝日系『羽鳥慎一モーニングショー』や日テレ系『カズレーザーと学ぶ。』など各種メディア出演も多数。
著作は20万部のベストセラー『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)をはじめ、『1万人の才能を引き出してきた脳科学者が教えるやりたいことの見つけ方』(PHP研究所)、『脳科学的に正しい!子どもの非認知能力を育てる17の習慣』(あさ出版)、『低GI食 脳にいい最強の食事術』(アスコム)など、海外を含めて累計発行部数 42万部を突破。

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『結局、どうしたら伝わるのか?』
  1. 「信頼感」をつくる重要性とは
  2. 相手の認知を変えるちょっとしたテクニックとは
  3. すぐれたリーダーは未来への解像度が高い
  4. 解像度を上げる「4メリットの法則」とは
  5. 相手の本音を引き出す方法とは
  6. 話すスピードで伝わり方が大きく変わる
  7. 脳の特性から考えたうまい「謝罪の方法」
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