本記事は、西剛志氏の著書『結局、どうしたら伝わるのか? 脳科学が導き出した本当に伝わるコツ』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

ビジネス
(画像=M21Perfect / stock.adobe.com)

仕事のトラブルの多くは「低い解像度」が原因

「夢解像度」って、ご存じでしょうか?

「夜に見る夢をどのくらいの解像度で覚えているか」

いえ、違います。

「あ、通販でCMをやっている会社の新商品?」

それも違います(わからない人、すみません)。

将来やってみたいことやありたい姿のほうの「夢」です。

この「夢の解像度」が、実は「夢の実現性」とつながっています。


夢の解像度が高い人 → 夢の実現性も高まる
夢の解像度が低い人 → 夢の実現性が下がる

こんなシンプルな法則があるのです。

つまり、夢を実現させたければ、まずは夢の解像度を高めることです。

海外の有名経営者や、日本でもユニクロの柳井正さんや星野リゾートの星野佳路さんなどのインタビュー記事を読むと、すごい経営者は未来への解像度が高いなと感じます。

柳井正さんがバイブルにしているという書籍『プロフェッショナルマネジャー』の中にこんな記述があります。

「本を読む時は、初めから終わりへと読む。
ビジネスの経営はそれとは逆だ。
終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをするのだ」

ゴールを明確に持っているので、そこから逆算したときにそのプロセスも明確にできる。あとはそれを実行するかどうか、というところまで落とし込めるわけです。

もちろん、途中で失敗もあると思いますが、ゴールへの解像度が高ければ、そんなときもどう対策を練ればいいか、その解像度も高くすることができます。

「すぐれたリーダーは未来への解像度が高い」ということは、私の研究でも明確になっています。

卓越したリーダーは解像度の高いビジョンを示すことができます。そのビジョンを知って、一緒にやりたいという人が集まってくる。

ビジョンの解像度が高いからこそ、優秀な人材が集まりやすくなるのです。

以前、ある経営者がこんなことを言っていました。

「うちの会社にはいい人材が集まらない。会社の規模も小さいし、給与や福利厚生もそこまでよくはない。こういう会社にはいまどきは人が集まらないんですよね」

確かに人手不足という社会問題はあります。でも、そんななかでも人が集まる会社と集まりにくい会社があるのはなぜなのでしょうか? ベンチャー企業で給与も福利厚生もまだまだの会社に、いい人材は集まっていることがあります。なんで人が集まるのでしょうか?

人が集まる会社と集まらない会社の違いには、ビジョンの解像度が大きく影響していると思います。

ビジョンの解像度が高いので、相手に伝わりやすく、伝わったビジョンを知ってワクワクする。一緒にやってみたくなる。その結果、いい人材が集まっていきます。

解像度が高いと、「伝わりやすい状態」になっているのです。

伝えたいことが伝わらないというときは、「伝える側の解像度が低いままで伝えていないか」を確認してください。

「いい感じで仕上げてください!」
「もっとたくさんの人に届く感じでお願いします」

伝える側のイメージがフワッとしているままに伝えていないか。伝わらないときに、自分の解像度を振り返ってみるといいのではないでしょうか。

ちなみに、「お金持ちになりたい!」という願いがあるならば、「お金持ちの解像度」が大切です。

ただお金持ちになりたいというだけでは、もしつらいことがあったら挫折してしまいます。理由はそこに向かう快感が小さいからです。

快感は人を動かす「動機」になります。快感という動機をうまく使うためにも、解像度は大切なんです。

ただ、お金持ちになっても、その先の人生への解像度が低いと、ただお金が増えただけになってしまいます。

たとえば「FIRE」(資産運用で生活費を確保し、定年を待たずに退職する生活スタイル)をした人が、暇を持てあまし仕事に戻るという話を聞いたことがあります。これもFIREへの解像度が低いから起きることなのだと思います。

では、どうやれば解像度を上げることができるでしょうか?

おすすめの方法が「体験」です。

体験は解像度を大きく高める効果があります!

FIREをしたことがない人は、プチFIRE体験を事前にしてみるのがいいと思います。

空想FIREですが、仕事がない状態を1週間体験してみると、自分の心情がどう感じるかなど、実感できるのではないでしょうか。

「暇はけっこう苦手だな」とか「やることないってつらいな」とか「人と話さなくなるな」とか。

仕事で忙しいときは「自分の時間が欲しい!」「ゆっくりできる時間を!」と思うことがありますよね。でもずっと暇だと感じ方は真逆になるかもしれません。

『結局、どうしたら伝わるのか?』より引用
西剛志(にし・たけゆき)
脳科学者(工学博士)、分子生物学者。
1975年、宮崎県高千穂出身。東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。
30代で対人関係やストレスが重なった影響もあり難病を宣告されるも、脳の研究を通して自身のストレスをなくすことに成功し、半年で病気が完治。この出来事をきっかけに、「うまくいく人と、うまくいかない人との違い」を本格的に研究するようになる。
現在は、世界的に成功している人たちのコミュニケーションや脳のしくみ、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めてこれまで3万人以上に講演会を提供。テレビ朝日系『羽鳥慎一モーニングショー』や日テレ系『カズレーザーと学ぶ。』など各種メディア出演も多数。
著作は20万部のベストセラー『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)をはじめ、『1万人の才能を引き出してきた脳科学者が教えるやりたいことの見つけ方』(PHP研究所)、『脳科学的に正しい!子どもの非認知能力を育てる17の習慣』(あさ出版)、『低GI食 脳にいい最強の食事術』(アスコム)など、海外を含めて累計発行部数 42万部を突破。

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『結局、どうしたら伝わるのか?』
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  2. 相手の認知を変えるちょっとしたテクニックとは
  3. すぐれたリーダーは未来への解像度が高い
  4. 解像度を上げる「4メリットの法則」とは
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