本記事は、西剛志氏の著書『結局、どうしたら伝わるのか? 脳科学が導き出した本当に伝わるコツ』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

本音
(画像=beeboys / stock.adobe.com)

相手の本音を引き出す方法があった

「一緒に働いている人の本音がわからない」
「話していても、それが相手の本音かどうか、不安になることがよくある」

そんなとき、どうしたらいいでしょうか。

話していることが相手の本音かどうかを見極めるのは難しいですよね。

本音を引き出そうとして、よくやってしまうミスがあります。それが一方的な「本音を教えて」という聞き方です。

「今日は本音を教えてほしいんです。遠慮なく言ってください」

そうストレートに伝えたところで、相手が正直に話してくれるかはわかりません。

こういうときは、「本音を教えて」の前に、ワンステップあると効果的です。

「私の本音を話します。だからあなたの本音も教えてほしい」

先に自己開示してしまうのです。

先に自分を開示すると、相手もそれに応えないといけないという気持ちになり、本音を話してくれる可能性が高まります。

さらに本音を引き出すいい方法があります。

それが、「投影法」というやり方です。これも脳の特性から考えた方法です。

マーケティングではよく使われている言葉ですが、この「投影法」がコミュニケーションで役立ちます。

『結局、どうしたら伝わるのか?』より引用
(画像=『結局、どうしたら伝わるのか?』より引用)

「一般的に、会社ってストレスを感じる場所らしいんだけど、多くの人はどんなことに悩んでいると思う?」

こういう聞き方をするのが「投影法」です。

あなたの本音を聞くのではなく、一般的な意見を聞きたい。そういう聞き方をするのです。

投影法は、あいまいな情報や状況を相手に与えることで、その人の特性や心の中を見いだそうとする人格評価法のひとつです。

挙げた例文でいえば、「一般的に」というあいまいな聞き方をしながら、そこに投影されるその人の考え、本音を見いだしていきます。本音はこういうところに表れるのです。

さらにほかにも本音を引き出す方法はあります。そのひとつが「場所変え」です。

仕事のことであれば職場よりもほかの場所のほうが、本音が出やすい傾向にあります。

また、座る場所も影響します。

正面に座るよりも、斜め向かいや横の位置に座るほうが、相手に緊張感を与えなくなるので、より正直な心境を聞きやすくなります。「バーカウンター効果」は確かにあるんです。

座る位置に関して、特に私がおすすめしたいのは「斜め向かいに座る」です。

真横に座ると対等な位置で同じ方向を見ている状態になります。このとき、お互いの視線は並行していて交わりません。そのせいで冷静になってしまい、赤の他人みたいな関係になってしまう可能性があります。

でも、斜めに座るとお互い視線の先に相手がいて、さらに視線が交わるので、一緒のゴールを共有しているイメージが生まれやすいんです。なので、私は斜めに向き合う座り方をすすめています。

『結局、どうしたら伝わるのか?』より引用
(画像=『結局、どうしたら伝わるのか?』より引用)

ちなみに会議で真正面に座ってしまうとバチバチが起こりやすくなります。

それと、聞き方でもうひとつポイントがあります。

それが「なぜ」ではなく「何が」という聞き方です。

「何がクエスチョン」です。

「なぜそうなったのかな?」より「何がそうしたのかな?」という聞き方をしたほうが、肯定的で前向きな聞き方ができることがわかっています。

「なんで」という聞き方は、相手を非難しているように聞こえます。一方で「何が」と聞くと、相手は自分を客観的に見ることができ、冷静に対応できるのです。

ちなみに、前向きな話、ポジティブな話のときは「なぜ」と聞いてもいいのですが、うまくいかなかったときに「なぜ」と聞くと、相手はネガティブな感情になりやすいのです。


✖ 「なぜ行動しないんですか?」
〇 「何があなたの行動を妨げてるのですか?」
✖ 「なぜ挑戦したくないのですか?」
〇 「何があなたに挑戦したくないと感じさせているのですか?」
✖ 「なぜそう思うのですか?」
〇 「何があなたにそう思わせるのですか?」

いずれにしても、大前提として大切なことがあります。それは信頼感があることです。信頼感がない相手には心のうちを正直に話す気持ちが起きにくいからです。まずは信頼感を築くことを考えてください

『結局、どうしたら伝わるのか?』より引用
西剛志(にし・たけゆき)
脳科学者(工学博士)、分子生物学者。
1975年、宮崎県高千穂出身。東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。
30代で対人関係やストレスが重なった影響もあり難病を宣告されるも、脳の研究を通して自身のストレスをなくすことに成功し、半年で病気が完治。この出来事をきっかけに、「うまくいく人と、うまくいかない人との違い」を本格的に研究するようになる。
現在は、世界的に成功している人たちのコミュニケーションや脳のしくみ、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めてこれまで3万人以上に講演会を提供。テレビ朝日系『羽鳥慎一モーニングショー』や日テレ系『カズレーザーと学ぶ。』など各種メディア出演も多数。
著作は20万部のベストセラー『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)をはじめ、『1万人の才能を引き出してきた脳科学者が教えるやりたいことの見つけ方』(PHP研究所)、『脳科学的に正しい!子どもの非認知能力を育てる17の習慣』(あさ出版)、『低GI食 脳にいい最強の食事術』(アスコム)など、海外を含めて累計発行部数 42万部を突破。

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