2030年に売上高5000億円を目指す

アマダの2024年3月期業績は売上高10.3%増の4035億円、営業利益13.3%増の565億円と2年連続で過去最高を更新した。近く発表する足元の25年3月期業績は売上高0.4%増の4050億円、営業利益6.2%減の530億円が見込まれている。

金属の板を切断、穴あけ、曲げ、溶接などを行う板金加工機が売上高のおよそ75%を占め、これに切削・研削盤、微細溶接機、プレス機の各部門が続く。海外売上高比率は6割を超える。

アマダは2031年3月期に向けた長期ビジョンで売上高5000億円を目標に掲げる。この中で重点戦略として打ち出したのがレーザー技術を軸とする新領域の拡大だ。

具体的にはeモビリティー(電動車)、半導体、医療といった成長分野への展開で、巨費を投じる今回のビアメカニクス買収もその流れにある。

M&A Online

(画像=「M&A Online」より引用)

2018年、切削機械の米マーベルを子会社化

過去のM&Aはどうか。一つの山が訪れたのが2018年。名村造船所傘下でプレス機向け自動材料搬送装置メーカーのオリイメック(現アマダプレスシステム)を買収した。125億円を投じ、アマダとして当時、最大のM&Aだった。

また同じ年、米国で初となる買収を手がけた。切削機械メーカーのマーベルマニュファクチャリング(現アマダマーベル、ウィスコンシン州)を傘下に収めた。同社は軽量型鋼の切断加工機(バンドソー)を主力とする。

一方で、2015年に工作機械の旋盤事業をDMG森精機に、2019年にはリース子会社のアマダリースを東京センチュリーにそれぞれ売却するなど、事業の入れ替えも進めてきた。

M&Aだけで設定枠をオーバー

長期ビジョンに連動する現行の中期経営計画(2023年4月~26年3月)では売上高4000億円、営業利益640億円を目標とする。売上高については1年目で達成した。

総投資は3年間で1000億~1200億円を予定。このうち半分の500億~600億円を「研究開発・M&A」に振り向ける予定としていたが、エイチアンドエフ、ビアメカニクスの買収額が合計700億円近くとなり、M&Aだけで設定枠をオーバーした形だ。

中計最終年度の2026年3月期はトランプ関税の影響次第で業績の下振れリスクをはらむ。世界経済の動向を見極めつつ、大型買収でグループに迎え入れる両社のPMI(M&A後の統合プロセス)をどう円滑に進めるのかが肝要となる。

◎アマダ:主な沿革

出来事
1946 東京都豊島区で創業者の天田勇が機械修理工場を始める
1948 天田製作所設立
1961 東証2部上場
1964 アマダに社名変更
1969 本社を神奈川県伊勢原市に移転
1971 東証1部上場(2022年4月に東証プライム市場に移行)
1973 淀川プレス製作所(大証2部)の株式30%を取得し、グループ化
園池製作所(東証2部)の株式49.4%を取得し、グループ化
1978 ワシノ機械(東証1部)の株式16.7%を取得し、グループ化
1981 ワシノ機械が淀川プレス製作所を吸収合併
1989 ワシノ機械がアマダワシノ、園池製作所がアマダソノイケに社名変更
2000 アマダソノイケがアマダワシノを吸収合併し、アマダマシニックスに
2003 アマダマシニックスを吸収合併
2012 スイスの機械商社を買収し、アマダスイスを発足
2013 抵抗溶接機メーカーのミヤチテクノス(現アマダ微細溶接事業)をTOBで子会社化
2015 アマダマシンツール(現アマダマシナリー)の旋盤事業をDMG森精機に譲渡
持ち株会社制に移行に伴いアマダホールディングスに社名変更
切削工具の三和ダイヤ工販(現アマダサンワダイヤ)を子会社化
2018 米国の切削機械メーカー、マーベルマニュファクチャリング(現アマダマーベル)を子会社化
名村造船所傘下でプレス機用材料供給装置メーカーのオリイメック(現アマダプレスシステム)を子会社化
2019 リース子会社のアマダリースを東京センチュリーに譲渡
2020 持ち株会社制を廃止し、アマダに社名変更
フィンランドの自動化装置メーカー、エルケーアイケルドマン(現アマダオートメーションヨーロッパ)を子会社化
2022 「長期ビジョン2030」を策定
2025 (1月)カナデビア傘下のプレス機メーカー、エイチアンドエフの子会社化を発表
(4月)半導体基板加工機メーカー、ビアメカニクスの子会社化を発表

文:M&A Online