売上高・利益は2期連続で過去最高
こうした中、同社の業績はどうか。2024年8月期が売上高3.5%増の1352億円、営業利益19.4%増の43億7700万円、最終利益8.5%増の34億5100万円。4期連続の増収増益で、売上高・各利益項目は過去最高を2期連続で更新するなど強固な経営基盤を持つ。
同社の強みは国内書店(店舗での販売)、法人外商(法人への営業)、海外事業を3本の柱とする点。
部門売上高は順に447億円、536億円、323億円(残る45億円は文具雑貨販売、出版など)で、大学や企業、官公庁を主要顧客とする法人外商のウエートが最も大きい。海外事業も初めて300億円台に乗せた。
海外第1号店として米サンフランシスコに紀伊国屋書店を出店したのは1969年。現在、米国21店舗を筆頭に、シンガポール、タイ、インドネシア、フィリピン、台湾、アラブ首長国連邦など10カ国・地域に43店舗を展開する。英国には事務所を構える。
◎紀伊国屋書店の2024年8月期決算
売上高 | 1352億円 | 3.5%増 |
(部門別) | ||
・国内書店 | 447億円 | 3.2%増 |
・法人外商 | 536億円 | 0.8%増 |
・海外事業 | 323億円 | 9.1%像 |
・その他 | 45.4億円 | 0.5%増 |
営業利益 | 43.7億円 | 19.4%増 |
最終利益 | 34.5億円 | 8.5%増 |
海外店舗拡大へM&Aの出番は?
紀伊国屋書店は2027年の創業100周年を見据え、グローバルに事業基盤を強化し、書店と出版界を取り巻く諸問題の解決に向けて、主導的かつ建設的な役割を果たすべく挑戦するとしている。
その一環として目標とするのが国内・海外各100店舗体制の確立。国内については昨年来の2件の買収で達成の見通しがほぼ立つ。
一方、海外は目標まで道のりが長いのが実情。最大市場の米国では大リーグ30球団が本拠地を置く全都市(ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスは本拠地重複)に書店を展開する構想を持っている。
今後、時間との“勝負”ともなる中、米国や東南アジアでは新規出店のほか、現地書店チェーンの買収も選択肢とみられ、次の一手が要ウオッチとなりそうだ。
文:M&A Online