
総括
FX「介入以外のリラ安対策を打ち出す。今年のリラ円買いは、スワップでかろうじて益が残る」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価12位)
予想レンジ トルコリラ/円3.5-4.0
*2025年リラ円買いは、スワップでかろうじて益が残る
*介入以外のリラ安対策を打ち出す
*外貨準備が介入で半減、ただ下げ止まる
*4月消費者物価は高止まり
*カラハン中銀総裁は慎重
*クルド反政府組織=PKKが解散宣言
*トランプ大統領、トルコでのウクライナ・ロシア停戦交渉に参加も
*予想外の利上げ、貸出金利も引き上げ
*トルコ中銀、2024年に184億ドルの損失を計上
*米国の相互関税は10%
*裁判所はイスタンブール元市長の釈放を求める訴えを却下
*エルドアン大統領は政府の正当性を主張、野党のテロを非難
*トルコの外貨預金比率は34.25%で高い
*リセッション抜け出す、2024年のGDP成長率は3.2%
*中銀の目標は2025年末に政策金利を21%へ引き下げること
* 年末時点のインフレ予想は24%。
(2025年リラ円買いは、スワップでかろうじて益が残る)
年初来、対円で13.57%安、年間スワップが約36%、月当たり3%、5か月で15%。ここまで13.57%安、かろうじて益が残る。もう少し頑張って欲しいものだが、対ドルで下落基調が続いている。後述するように国民のリラ資金の海外逃避を防ぐ対策に効果が出ていない。ここを改善すれば燈が見える。
株価は米中関税合意、テロ組織PKKの活動終了で昨日は3.8%高。年初来0.85%安まで戻してきた。10年国債利回りは31.86%で高止まりしている。
(介入以外のリラ安対策)
イマモール・イスタンブール市長逮捕後のリラ安対策として、政府・中銀は、リラ買い介入、政策金利引き上げで対応しているが効果は薄い。
トルコ中銀は5月3日、以下のリラ安抑制策を打ち出した。
*外貨預金の準備金比率は、すべての満期にわたって 2%引き上げ
*満期1年以内の居住者との為替レポ取引から得られる資金に対する準備率が4%引き上げ
*法人のトルコリラ預金シェアが60%未満の銀行については、毎月0.3ポイントの増加目標を導入
*トルコリラ預金のために維持される必要準備金に適用される報酬率は、CBRT の加重平均資金調達コストの 84% から 86% に引き上げ
*輸出通達が改正され、トルコ中銀に売却される輸出収益の最低割合は2025年7月31日まで35%
*企業の輸出収入をトルコリラに外貨換算する際に適用される外貨換算支援率が、2025年7月31日まで3%に引き上げ
(外貨準備が介入で半減、ただ下げ止まる)
リラ買い外貨売り介入を行っているので外貨準備高は以下のように減少

(4月消費者物価は)
4月消費者物価は前月比3%上昇、前年比は37.86%上昇。予想は前月比3.1%上昇、前年比38%上昇。3月は前月比2.46%上昇、前年比38.1%上昇。
食品やエネルギー、その他為替相場の影響を受ける品目がリラ安の影響を受け、物価全体を押し上げた。
(カラハン中銀総裁)
カラハン中銀総裁は、「需要状況の悪化がデフレーションの進行を妨げる場合には、金融当局は行動を起こす用意がある。以前と比べて不確実性が高まっているので、慎重かつ引き締め的な金融政策スタンスを維持している」と述べた。
「インフレの恒久的な低下と物価安定が達成されるまで、金融引き締め政策スタンスは継続される」と改めて強調した。
また、「短期的には、為替レートの動向と食料価格がインフレに上昇圧力をかけ続ける」と指摘した。満期を迎える外貨保護預金口座から外貨への交換率は過去12カ月間で13.8%にとどまったと述べた。
(クルド反政府組織が解散宣言 40年超の武装闘争終了)
トルコの反政府武装組織クルド労働者党(PKK)は、組織の解散と武装闘争の終了を宣言した。PKKはトルコからの分離独立を目指し、40年超にわたり同国政府などを標的に襲撃を続けてきたが、終止符を打つ。