メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「市場は比較的好調、関税、送金税、裁判官選挙懸念、弱い景気の中」メキシコペソ見通し

予想レンジ 7.2-7.7

(通貨4位、株価3位)

 (ポイント)
*健闘、ペソは12通貨中4位、株価は3位
*メキシコ大統領:送金税撤廃へ米国と交渉へ
*CPIが4%台に上昇
*メキシコの対米自動車輸出、平均関税率15%
*ペソは過大評価、今年リセッション入りの公算大-BOA
*ゴールドマン・サックス、2025年GDP予想を上方修正
*IMFが成長見通し下方修正、シェインバウム大統領が反論
*フィッチが投資適格級を維持、好悪材料併記
*S&P、フィッチが現大統領のメキシコの財政運営を評価
*メキシコの郷里送金とは
*シティの調査は
*リセッションは免れるも低成長、指標は引き続き弱い
*6月1日に昨年ペソを急落させた要因となった裁判官選挙が実施される

(ペソは12通貨中4位、株価は3位)
 5月のペソは前半は比較的強かったが、後半に入って上昇一服。年間では4位で対円1.19%安。5月高値は7.615、現在は7.45。月間はここまで南アランドに次いで2位の対円2.19%高。
 ボルサ株価指数は世界3位で年初来16.93%高。10年国債利回りは9.42%。

(メキシコ大統領:送金税撤廃へ米国と交渉へ)
 シェインバウム大統領は、米下院が送金税率を5%から3.5%に引き下げる法案を可決したと知ったと述べた。メキシコは送金税の撤廃に向けて米国との交渉を続けると述べた。

(CPIが4%台に上昇)
 5月前半の消費者物価指数は前年比で4.22%(同3.96%)、コアが3.97%(前回3.9%)。
家畜価格の上昇(10.25%)によるもの。

(メキシコの対米自動車輸出、平均関税率15%)
エブラルド経済相は、メキシコで組み立てて米国に輸出される自動車の関税率は平均で25%ではなく15%になると述べた。メキシコ製品に対する関税軽減措置によるという。
同氏は「米国に輸出している他の国と比べて非常に大きな利点だ」とで語った。
軽減措置は米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠した輸出に適用されると述べた。
 トランプ米政権は3月26日、全ての輸入車に対し事実上25%の関税を課すと発表。関税は4月初めに発効した。

(ペソは過大評価、今年リセッション入りの公算大-BOA)
 先行きの見方、今回は悲観的なものを取り上げる。
米銀バンク・オブ・アメリカ(BOA)はメキシコ・ペソについて弱気な姿勢だ。メキシコ経済の減速や、外国人による国外送金への課税を目指す米法案などのリスクを挙げ、対ユーロでペソ下落を見込んだ取引を顧客に勧めている。
 最近の上昇で、ペソはマクロ経済のファンダメンタルズから見て約10%過大評価されていると同行のストラテジストは分析。メキシコ経済は今年、リセッションに陥る可能性が高く、中銀がさらなる利下げを実施すればペソの見通しに重くのしかかると予想した。

 メキシコ中銀は2024年3月以来、政策金利を11.25%から8.5%に引き下げており、今後も利下げを継続するとみられている。

 相対的に高い金利によりペソのパフォーマンスは新興国通貨の中で際立っているが、利下げが続けばキャリー取引の妙味は薄れることになる。
 ペソは今年に入り対ドルで7%余り上昇しており、中南米通貨ではブラジル・レアルに次ぐ好パフォーマンスとなっている。メキシコは、トランプ政権による上乗せ関税の影響を免れた数少ない国の1つでもある。

(メキシコの郷里送金とは)
 トランプ政権は、送金に金額の5%を課税するという提案をしていた、これはメキシコと米国の二重課税協定に違反するだけでなく、メキシコの年間外貨収入に33億ドル以上の打撃を与える可能性がある。昨年の送金は過去最高の647億4,500万ドルに達し、農工業製品の輸出544億3,000万ドル、観光業の329億5,600万ドル、石油輸出284億2,600万ドルを上回った。自動車産業の輸出は1,939億700万ドルに達した。

 世界銀行の推計によると、移民労働者は毎年6,600億ドル以上を米国から主にメキシコ、中国、インド、フィリピン、グアテマラに送金している。