第一生命、390億円でペット大手を傘下に
最大規模のM&Aを手がけたのは第一生命ホールディングスだ。2022年末、ペット保険大手で東証グロース上場のアイペットホールディングス(現アイペット損害保険)に完全子会社化を目的とするTOB(株式公開買い付け)を実施した。買収総額は390億円に上った。非生保領域での商品・サービスの拡大につなげるのが狙い。
第一生命HD自身、2020年に第一スマート少額短期保険(東京都江東区)を設立。熱中症保険、家事代行保険、航空券・宿泊のキャンセル費用保険などを取り扱っており、コロナ禍期には特定感染症保険も商品化していた。
中古品のゲオ、少額短期保険のノウハウ獲得へ
足元の2025年をみると、M&Aはすでに3件。ゲオホールディングスは、決済端末修理費用補償保険などを扱うあおぞら少額短期保険(東京都港区)を子会社化した。リユース(中古)品事業の拡大に伴い今後、商品破損や故障時の修理・交換需要の増加が予想されるのに対応し、少額短期保険のノウハウを獲得するのが狙いという。
実年齢ではなく健康年齢で加入できるリスク細分型の医療保険を扱う健康年齢少額短期保険(東京都港区)を子会社化したのは、従業員のメンタルヘルス・健康支援を手がけるアドバンテッジリスクマネジメントだ。保険と健康サービスを融合させた新商品の開発を進める。
一方、IT関連企業のスカラは3年前に子会社化した日本ペット少額短期保険(東京都渋谷区)を売却する方針を決めた。ITやAI(人工知能)などを組み合わせた新サービスの提案を目指してきたが、先行投資がかさんでいたという。
業界団体の日本少額短期保険協会によると、2024年3月末の保有契約件数は1158万件(前年比6.5%増)、収入保険料は1435億円(同6.6%増)。既成の生命保険・損害保険に比べると、規模は比べものにならないが、この20年の間、着実な成長を示している。
文:M&A Online