「少額短期保険」が2006年に誕生し、今年20年目を迎えた。ペット保険、スマホ保険、熱中症保険、家事代行保険、フリーランス保険…。既存の保険会社ではかなわなかった新たな商品が数多く開発されてきた。
その担い手である少額短期保険会社は年々増え、現在123社を数える。成長業界をめぐってはM&Aがつきものだが、実際はどうなのか?
5社に1社がM&Aの“洗礼”
少額短期保険は名前の通り、保険金額が少なく、保険期間が短い保険。「ミニ保険」と呼ばれることも多い。2006年4月施行の改正保険業法で新たな保険業態として設けられた。
保険金額の上限は1000万円以内、保険期間は2年以内(生命保険・医療保険は1年以内)。保険金額の上限は種類に応じて詳細には定められている。
保険料は月額数百円~数千円で、気軽に保険に加入できる。少額短期保険会社はニッチなマーケットを狙い、消費者が「あったらいいな」と思える保険を商品化している。
少額短期保険会社は誕生から数年後の2010年度末に66社だったが、2018年度に100社を突破し、現在は123社が活動中。
上場企業の適時開示情報をもとに、少額短期保険会社を対象としたM&AをM&A Onlineが調べたところ、2010年以降で26件を確認できた。単純計算すれば、少なくとも5社に1社がM&Aの“洗礼”を受けている形だ。

SBIグループ、これまで6社を買収
この間、M&Aを最も活発化させたのが多様な金融事業を展開するSBIグループ。SBIホールディングス(HD)として3件、SBIインシュアランスグループとして3件の合計6件に上る。
SBIインシュアランスグループはSBIHD傘下の保険持ち株会社として2016年に発足し、SBI損害保険、SBI生命保険のほか、少額短期保険会社6社を抱えるが、この6社はいずれも買収した会社だ。
その第一弾として2012年、地震保険の日本震災パートナーズ(現SBIリスタ少額短期保険、東京都港区)を子会社化した。以降、家財保険、ペット保険などの専門業者を次々に取り込んできた。
◎SBIグループの少額短期保険会社
買収年 | 会社名 | 主な商品 |
2012年 | 日本震災パートナーズ(現SBIリスタ少額短期保険) | 地震保険 |
13年 | いきいき世代(現SBIいきいき少額短期保険) | 死亡保険 |
16年 | 日本少額短期保険(現SBI日本少額短期保険) | 家財保険 |
19年 | 日本アニマル倶楽部(現SBIプリズム少額短期保険) | ペット保険 |
20年 | 常口セーフティ少額短期保険(SBI常口セーフティ少額短期保険) | 賃貸住宅保険 |
23年 | 住生活少額短期保険(SBIペット少額短期保険) | ペット保険 |