フジ・メディアHD、取締役案で米ダルトンと激突へ
株主のみならず、一般にも大きな関心を集めるのが元タレントの性暴力問題に揺れるフジテレビを傘下に置くフジ・メディア・ホールディングス。取締役人事案をめぐって会社側と大株主の米投資ファンドのダルトン・インベストメンツ(保有割合7%超)が真っ向から対立している。
6月25日の株主総会ではダルトンがSBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長ら12人の取締役選任を提案する。会社側はこれに反対し、社長昇格が内定している清水賢治専務ら11人の人事案を諮る。
米議決権行使助言会社の有力2社の対応は分かれた。グラス・ルイスはダルトンが提案した12人中、北尾氏ら5氏の賛成を推奨。一方、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシズ(ISS)は会社提案の取締役候補全員への賛成を推奨した。
フジ・メディアHD株式については4月に旧村上ファンド系の投資会社が保有割合を11.81%まで高めたことが判明。このうちの約9%を個人として共同保有する村上世彰氏の長女・野村絢氏が事実上の筆頭株主となっており、総会での議決権行使の行方が注目される。
社長再任が危ぶまれる太陽HD、解任議案の提案も
プリント基板向け材料メーカーの太陽ホールディングスが6月21日に開く株主総会では佐藤英志社長の取締役再任議案が否決される可能性が出ている。
約20%の株式を保有する筆頭株主のDIC、各10%超保有する香港投資ファンドのオアシス・マネジメント、創業家がそろって佐藤氏の再任に反対の意向を表明。さらに、オアシスは佐藤氏が過大な報酬を得ているなどとして同氏を含む取締役2人の解任議案を株主提案している。
再任可決には過半数の賛成が必要だが、すでに株主のおよそ4割が佐藤氏の再任に反対しており、どこまで同調者が広がるかが焦点だ。
佐藤氏は2011年に社長に就任し在任14年に及ぶが、この間、売上高を3倍、営業利益を4倍に拡大した。こうした実績を踏まえ、会社側は「取締役としての適格性に疑義が生じる余地がない」としている。
太陽HDに対しては国内外の複数の投資ファンドが非公開化案を提案しており、これに今後どう対応するのかについて株主の質問が飛びそうだ。
文:M&A Online