本記事は、吉武 麻子氏の著書『無駄をスッキリさせて、人生の質を高める 時間デトックス』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

無駄をスッキリさせて、人生の質を高める 時間デトックス
(画像=hiro/stock.adobe.com)

「年間目標」を捨てる

新年になると、「今年の目標」を立てる人も多いと思います。ところが、4月や5月に「新年に立てた目標」を聞くと、多くの人が覚えていません。ある研究によると、新年に立てた目標を年末まで覚えている人は1割に満たないそうです。9割の人が忘れてしまうなら、「年間目標」は不要ではないでしょうか。

大事なことは、立てた目標を達成すること。達成するためには日々の行動に分解して、実施していくことです。
目標が大きければ大きいほど、中間のゴール設定も難しいものです。「目標を立てても、そこから必要なタスクを棚卸しできない」というご相談はよくあります。これはまさに、期間が長すぎることが原因です。「目標・計画・タスクの分解」ができなければ、目標達成はほぼ不可能と言って過言ではありません。

そうならば、「(年間目標などの)長期目標を立てなければいけない」という思い込みは、思い切って捨ててしまいましょう。特に、個人のやりたいことにおいては、地に足のついた、実行可能な行動計画を立てるためにも、年間目標を4つの3カ月目標に分解することをおすすめします。3カ月目標だと、ゴールまでに必要なタスクを想定しやすいからです。
そのうえ、持ち時間を現実的に把握できます。今、目標を立てたとして、目標達成に向けて行動できる時間がどれくらいあるでしょうか。1カ月先、2カ月先までは、すでに予定が入っていることもあるでしょう。それを前提に置いておかないと、理想上での計画になり、最初からつまずくことになります。

「年間目標」を立てる不都合は、他にもあります。
たとえば、行動すれば目標が変動することもよくあります。「一度目標を立てて行動に移したら、思ったほどやりたいことではなかった」「実は、より優先順位の高いことがあった」など、行動したからこそ気づくことが多々あります。
また、年間目標は「今じゃなくても、この1年で達成できればいい」と、言い訳もしやすいのです。後回しにして、気づいたら数年が経っていた、となりかねません。
感染症の影響で、そのうち行こうと思っていた海外旅行に行けなくなることも起こります。世の中は、自分中心に待っていてはくれないのです。

個人の目標に関しては、年間目標のような長期目標ではなく、スモールサイズの目標のほうが、実現可能な計画を立てられそうではないでしょうか。
年間目標の代わりに、3カ月目標を4つ立てましょう。もちろん、その4つの目標がすべて達成できたら最高ですが、そうでなくても、やりたいことが着実に進んで1つないしは2つ、3つと達成できる可能性が高まります。大きな1つの目標だけだと、達成できたかどうかになります。ところが、目標を細分化すれば、たとえ時間の見積もりが甘くても、目標に対してやりたいことがより現実的に、着実に、進められます。

「いつか時間ができたら」を捨てる

「いつか時間ができたらやろう」と思って、ずっとその場所にステイさせている「やりたいこと」はありますか?
あなたを責めているわけではありません。誰しもが「いつか時間ができたら」と思いますが、「いつか」は自分で「いつ」と決めなければ、残念ながら一生できません。

これは、「人間はもともと怠け者」という話につながります。長年私は、やりたいと思いながらも、ピラティスを始められずにいました。
「他にやることがたくさんある」「スタジオを探すのも億おっ劫くう」「立地が悪い」「予約が面倒」「子どもを送って家に戻ってきたら、もう外に出たくなくなる」など、やりたい理由よりも、やりたくない理由が上回り、ピラティスを始められずにいたのです。

ところが、ある日突然、「やりたい」が「やる」に、「いつか」が「いつ」と決まりました。前から行きたいと思っていたカフェが、何気なく目星をつけていたピラティスのスタジオと近かったこと、そのスタジオの紹介クーポンをいただけたことが重なったのです。この機を逃すまいと、ピラティスの体験会に予約しました。
ひょんなきっかけでピラティスに通い始めた私ですが、子どもを送ったらカフェで仕事をし、ピラティスに行き、カフェに戻ってホッと一息つくというゴールデンルーティンが確立し、ピラティスを継続できました。

「やりたいこと」が実現したのは、「やりたい」を「やる」に、「いつか」を「いつ」にセットしたからです。「いつか時間ができたら」の状態では、永遠に「やりたいことをやる」時間は来ません。「いつか時間ができたら」という淡い期待はさっさと捨てて、「いつ」を決めてしまいましょう。

「時間がない」が口グセのあなたへ、それ、本当に“やるべきこと”ですか?
吉武 麻子(よしたけ・あさこ)
1981年、神奈川県生まれ。TIME COORDINATE株式会社代表取締役。大学卒業後、旅行会社勤務を経て、26歳で韓国留学。その後、現地法人でキャスティングディレクターとして24時間365日仕事に追われる日々を過ごす。帰国後、キャリアとライフイベントの狭間で葛藤した経験から、疲弊せずに毎日を楽しみながら仕事のパフォーマンスもあげていく「タイムコーディネート術」を考案し、のべ4,000名以上に指南。心地よい時間の使い方で、ありたい未来をつかみに行くための「タイムコーディネート実践プログラム」や「タイムコーディネーター養成講座」を開講。また、シリーズ100万部発行の『時間の超基本』の監修や、タイムコーディネート手帳の製作販売、企業研修、時間の専門家として各種メディアにて掲載・連載執筆を行っている。2児の母。

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