本記事は、吉武 麻子氏の著書『無駄をスッキリさせて、人生の質を高める 時間デトックス』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

無駄をスッキリさせて、人生の質を高める 時間デトックス
(画像=Creative_Hero/stock.adobe.com)

「予定の入れすぎ」をゆるめる

「時間がない」と言いがちな人の特徴の一つが、スケジュール帳に余白がないことです。朝から晩まで、予定が埋まっています。スケジュール帳に空欄ができようものなら、「ここなら空いている」と自分の時間を埋めようとします。

ドラマでは、社長秘書が社長に「今日の予定は、午前中に会議が2件、11時から記者会見、提携先の代表とランチミーティング、午後は工場視察に、新規プロジェクトのミーティング、そして投資家との会食が控えています」など、1日のスケジュールを伝えるシーンがあります。そのシーンを見ては、スケジュールが分刻みで決まっていることや効率のよさに憧れを抱く人もいるでしょう。
しかし、それはドラマ上の話であったり、分単位でスケジュール管理をしてくれる優秀な秘書がいたり、食事をしたい時に食事が用意されていたり、再現するには背景がだいぶ限定されます。
そうした条件を満たさない状態で、同じように予定を詰め込んでは、自分を苦しめるだけです。むしろ、引き算のスケジューリングを意識していきましょう。

バッファ時間を、タスクごとや1日の終わりに、もしくは曜日を決めて取ることをお伝えしたのも、人は時間を甘く見積もるからです。たとえやることが予定通り終わらなくても対応できるよう、余白時間を先にスケジュールに組み込んでおくのです。

手帳のページで、誰とも約束を入れない日時を決めてマーカーで囲うこともおすすめです。オンラインであっても、約束が1件でもあると、その予定を軸に前後の予定が決まってしまうし、毎日人との約束があると心も体も頭も疲れます。
もともと予定を詰め込むクセがある人は、特に、誰とも約束を入れない日を意識的につくってみてください。外勤の多い会社員の場合も、意識的に内勤の日をつくって、後回しにしがちな事務作業を進めると、頭もタスクもすっきりします。

「時間の見積もり」をゆるめる

「計画錯誤」は目標や計画に対してだけではありません。日々のタスクの時間の見積もりでも計画錯誤は見られます。1時間でできると見積もったことが、結果的に3時間かかったというような経験は、誰もがあるのではないでしょうか。

見積もり時間をほぼ誤差なく出せるかは、実現可能な計画を立てるうえでも、やりたいことを着実に進めていくうえでも、最大のカギと言っていいくらい重要です。
はじめは、「このくらいだろう」と見積もった時間の3倍の時間を確保して実行してください。見積もり時間と結果的にかかった時間を記録して、誤差を縮めていきましょう。

時間に余裕がありすぎてだらけそうな時は「ポモドーロ」

反対に、時間の見積もりに余裕を持ちすぎて「まだ時間があるからSNSでも見よう」と途中で集中力とモチベーションが切れる場合もあるかもしれません。
そういう時は、タスクではなく時間で区切ることもおすすめです。特に、集中力が長く続かない自覚がある人におすすめなのが「ポモドーロ・テクニック」です。
これは、25分の集中時間と、5分の休憩時間をセットで繰り返す時間術です。「ポモドーロ」は、イタリア語で「トマト」。考案者であるコンサルタント、起業家のフランチェスコ・シリロが学生時代に愛用していたトマト型のキッチンタイマーからつけられました。

ポモドーロ・テクニックでは、まずはタスクを「25分でできること」に分解していく必要があります。ここまでは、タスクに対して見積もり時間を予測することをお伝えしてきましたが、ポモドーロ・テクニックは、見積もり時間を25分と設定して、反対にその25分以内にできるタスクを見積もっていきます。
どちらの見積もりもできるようにしておくといいのですが、私は集中力を必要とするものや、時間を決めて早く終わらせたいものには、ポモドーロ・テクニックを活用しています。
ただ、個人的にはポモドーロ・テクニックで毎日時間管理をすると、焦って時間に追われ、疲弊するので、ここぞという時のみ使っています。

自分の心地よさを軸にタイムコーディネートをしておくと、そもそも自分がやりたいこと、楽しいこと、心地よいことに取り組むので、ぐっと気合を入れてアクセルを踏んで取り組まなくても、自然と自分がやりたくて動き出せます。
まずはタイムコーディネートでそもそも自分がやることを精査して、タスクにかかる見積もり時間を割り出す力を鍛えていきましょう。アクセルを踏まなくてもじわじわと車が動くクリープ現象のように、まずは負荷なく自分の内発的エネルギーで動き出せるようにするのが、一番エネルギーが持続するのです。
そのうえで、集中力が必要な時にポモドーロ・テクニックを使うと、着実に物事を進めることができます。

無駄をスッキリさせて、人生の質を高める 時間デトックス
(画像=無駄をスッキリさせて、人生の質を高める 時間デトックス)
「時間がない」が口グセのあなたへ、それ、本当に“やるべきこと”ですか?
吉武 麻子(よしたけ・あさこ)
1981年、神奈川県生まれ。TIME COORDINATE株式会社代表取締役。大学卒業後、旅行会社勤務を経て、26歳で韓国留学。その後、現地法人でキャスティングディレクターとして24時間365日仕事に追われる日々を過ごす。帰国後、キャリアとライフイベントの狭間で葛藤した経験から、疲弊せずに毎日を楽しみながら仕事のパフォーマンスもあげていく「タイムコーディネート術」を考案し、のべ4,000名以上に指南。心地よい時間の使い方で、ありたい未来をつかみに行くための「タイムコーディネート実践プログラム」や「タイムコーディネーター養成講座」を開講。また、シリーズ100万部発行の『時間の超基本』の監修や、タイムコーディネート手帳の製作販売、企業研修、時間の専門家として各種メディアにて掲載・連載執筆を行っている。2児の母。

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