本記事は、吉武 麻子氏の著書『無駄をスッキリさせて、人生の質を高める 時間デトックス』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

「メール・パソコンのデータ」を捨てる
「仕事ができる人は、机の周りがきれいに片づいている」と、耳にしたことがありませんか。デスクの上が書類などで散らかっていると、余計なものが目に入ってくるため、仕事に集中できなくなるからです。
年間150時間、ビジネスパーソンは探し物に時間を費やしているという調査結果があります。忙しい時ほどデスク周りが汚くなり、探し物で余計に時間がなくなる経験がある人もいるでしょう。
これは、デスク周りに限ったことではありません。パソコンの中も同じです。
とある企業での研修で、タスクの分類をするワークをしていた時です。その時に、「緊急ではないが、重要なこと」のタスクとして、「共有データの整理」をあげた人がいました。その理由が、以前の似た案件のデータを探したいのに、整理されていないために検索だけで30分以上かかり、時間を無駄にしているということでした。自分のデスク、自分のパソコン内だけなら自分の責任ですが、共有データは他の人にも影響を及ぼします。
パソコン内の書類・写真・動画などのデータや、メールボックスは整理をしないとすぐにあふれます。たとえば「毎月15日に30分集中してデータ整理をする」などルールを決めて定期的に見直し、不要なものは捨てましょう。
ものがあふれるのとは違い、デジタルデータは増えても影響を感じにくいものです。
ところが、探すのに時間がかかったり、スマホやパソコンの処理速度が落ちたり、ため込むととても危険なのがデジタルデータです。
自分の周りのモノはもちろん、スマホやパソコンのデジタルデータも定期的に捨てていきましょう。
「何となくやっている仕事」を捨てる
1日のログを見直しながら、「何となくやっている仕事」はないか、洗い出してみましょう。たとえば次のような業務です。
- 前任者がやっていたから何となくやっている、実はそれほど重要ではない業務
- さほど重要な議題もないのに、毎週開催されている定例会議
- 惰性で書いている日報
一つひとつの業務の意図や背景を探らず、ただ「言われたから」「やることが当然だから」という理由だけでやっていることがあれば、一度立ち止まって「そもそも何のためにやっているのか」を考えてみてください。
もしも、必要がない、改善したほうがいいと思うことがあれば、捨てていきます。
そして、捨てたことで生まれた時間で、より生産性の高い仕事(「緊急ではないが、重要」な仕事)に取り組んでいきます。
個人の判断で捨てられることもあれば、上司の承認が必要な場合もあるでしょう。
まずは、現状分析を行い、改めてその業務の目的や背景を理解します。非効率な業務や、時代遅れになっている部分があれば、上司や関係者と相談しながら、業務フローの変更を検討していきます。
業務フローの変更に際しては、「捨てる」の判断基準を設定すれば、判断に迷わなくなります。たとえば、「お客様の満足度に影響しない」「社員の成長に影響しない」「リスクマネジメントに影響しない」「業績に影響しない」があげられるでしょうか。
仕事だけではありません。日々の行動一つひとつに目的意識を持つと、迷いもなくなります。すると、行動にブレがなくなるので、時間を無駄にすることもありません。
「他人軸」を捨てる
「緊急度」と「重要度」を軸に、やることを4領域に分けるという話をすると、たまに「緊急度の基準はわかるけど、重要度は何を基準に判断したらいいですか?」と質問を受けます。
それに対して「未来の『ありたい自分』にとって重要かどうかで判断してください」と、私は回答をしています。
私たちはつい知らず知らずのうちに、世間体や他人からの目を気にして、いわゆる「一般的」「普通」から大きくずれない選択をしたり、他人にもその枠を押しつけたりしてしまいます。結婚や出産、マイホーム購入など、一般的な基準をもとにライフプランを考えることも、それにあたるでしょう。
もちろん、ライフプランを考えること自体が悪いことではありません。ある程度の基準となる計画を立てることで、将来的に準備することを把握し、将来の不安を軽減できるからです。
ただし、そのライフプランを柔軟に活用できればいいのですが、「〇歳までにマイホームを購入しなければ」「老後のために2千万円を貯めなければいけないから、海外旅行には行かない」など、その基準にがんじがらめになっていませんか?
人と違う道を歩むという決断は、ものすごく不安だし、怖くもあるし、大変かもしれません。
しかし、周りの目を気にしながら、人がつくった道を歩き続けるのも、結果的には疲れます。それは、人に合わせて生きることになるからです。
どちらにしても大変なら、自分が納得する道を選ぶのがよいのではないでしょうか。
どちらを選ぶにしても、自分で選んで、決める。他人軸ではなく、自分軸で生きるということです。

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