本記事は、石上 和平氏の著書『社長はなぜ、いつも孤独なのか? その答えは「ふくろう」にあった。』(游藝舎)の中から一部を抜粋・編集しています。

コーチングで生まれた「強制的に自分と向き合う時間」
起業して1年ほど経ったころ、目の前の「緊急かつ重要」な業務に追われ、本当に必要な「緊急ではないが重要」なことがおろそかになっていると感じ始めました。目指す未来にちゃんと近づけているのか、定期的に振り返る必要性を痛感したのです。
そこで「社長のふくろう」の無料セッションを試してみました。コーチは単に話を聞くだけでなく事業目線のアドバイスもくれ、「これならビジネスが前進できそうだ!」と強く感じました。
同世代の経営者でコーチングを受けている人は周りにいませんでしたが、世界の名だたる企業のトップがコーチングを受けていると知り、私も定期的にセッションを受けることにしました。
第三者であるコーチとのセッションによって、自分だけではつくりにくい「強制的に自分と向き合う時間」を確保することができるようになりました。重要課題を明確にしながら、確実に前に進めるようになったのです。
自分だけでは優先順位を付けにくい問題に対しても、コーチングを受けることで何を先にやるべきか明確になっていきました。
ビジョンを言語化した瞬間から事業が加速
セッションでは毎回まず振り返りから始まり、事業や組織など相談したい課題にフォーカスして話を進めます。その中で「なぜその課題が生じているのか?」「どう解決すればいいのか?」といった問いを投げかけてもらうことで、自分の中にある答えを引き出してもらっています。話しているうちに目指す未来の解像度がどんどん上がっていく感覚があり、つい多くのテーマを持ち込んでしまい、時間延長をお願いすることもあるほどです。
コーチングで整理できたことは数え切れないほどあります。まず事業面では、ビジョンを明確に言語化できました。ちょうど出資を受けて3カ月ほど経ったタイミングでコーチングを始めたのですが、その頃はサービスの導入社数がまだ一桁台で、市場に受け入れられるかどうか手探りの状況でした。そこで「アウトバウンドセールスが楽しくなる」「ベンチマークしている米国企業のようになる」といった指標を掲げ、いつまでにそれを達成するか細かなタイムスケジュールを設定しました。ビジョンを言語化した瞬間から、事業が驚くほどのスピードで進み始めたのです。
組織面では、アクションプランを策定することができました。プロジェクトマネジメントの経験は豊富でしたが、組織マネジメントの経験はなかったため、経営者として組織をどう作ればいいかイメージできず多くの課題を抱えていました。セッションを通じて、まずは階層型の組織を作ってマネジメント層を任命し、メンバーをどう管理していくかというプランをまとめました。その上で、毎回のセッションでアクションプランの進捗をチェックし、着実に組織化を進めました。
また、それまで全社横断のタスク管理ができていなかったので、コーチの助言で私1人で抱えていたタスクを見える化し、全社で管理する仕組みに変えました。事業の成長に伴い必要となる基本的な事柄について、数多くの気づきを得ました。
コーチングを受けた幹部の経営者意識が向上
私はコーチングを通じて、経営の未来に対する解像度が格段に上がり、リスクを事前に察知・回避できる力が向上したと実感しています。しかし私だけが成長しても、幹部や社員との間にギャップが生じかねません。組織全体の成長のためには、幹部も同じ視座を持ち、ビジョンを共有する必要があると考えました。
実際、私自身がコーチングの大きな効果を感じたため、幹部にも受けてもらうことにしました。すると幹部たちは自発的に動き、提案力も高まり、経営者に近いリーダーシップを発揮する人材も現れました。チーム全体の一体感が増し、組織全体のパフォーマンスも大幅に向上しています。
コーチングを取り入れたことで、社員1人ひとりが経営者視点で仕事に取り組む組織へと変貌を遂げつつあります。
自分をアップデートしてくれる存在
市場や社内の状況は凄まじい速さで変化しています。スタートアップで事業を拡大しようとする経営者にとって、現状を把握して対応するだけでも一苦労です。さらに競合が現れるなど、不安要素も次々と降りかかります。そうした対応に追われているうちに、気がついたら時間ばかりが過ぎて「自分がどこにいるのか?」「ゴールに向かって進めているのか?」「そもそも何を目指しているのか?」が分からなくなることがあります。
だからこそ、明確なビジョンが欠かせません。どんなステップで事業を展開していくかが明確になっていれば、着実に前に進むことができます。自分自身を見失わずに目標実現の可能性を高めるには、エグゼクティブコーチングが非常に有効だと実感しています。
悩みを誰かに相談しても「良いアドバイスをもらえて良かった」で終わり、次の瞬間には元の業務に戻ってしまい、結局何も変わらない ―― そんな経験はないでしょうか。しかし「社長のふくろう」ではアクションプランを必ず作るため、ボトルネックを解消する行動を優先的に実行できます。こうして課題がどんどん取り除かれていきます。
考える時間を強制的につくるという意味でも、コーチングを受けるメリットは大きいと感じます。中長期的なビジョンを考える時間の重要性は頭では分かっていても、日々の業務に追われてつい後回しにしてしまうものです。パソコンに向かっていると、頻繁にやって来る通知の対応に流されてしまいますが、私の場合、コーチングを受ける時間はオフラインにして〝デジタルデトックス〞のようにしています。コーチングを受けなければ、こうした時間を持つことは恐らくなかったでしょう。
私にとって「社長のふくろう」は“自分をアップデートしてくれる存在”です。日々目先のことばかり追って自分の成長が止まってしまうと、事業や組織の成長に追いつけなくなってしまいます。しかし「社長のふくろう」でアクションプランを定めて実行し、定期的に振り返ることで、自分自身が成長し続けている状態を保てています。
「社長のふくろう」は、私自身が気がついていないことにも気づかせてくれて、まるで私の肩に乗った〝ふくろう〞のように、私よりも私のことを理解して導いてくれる存在なのです。
この事例の教訓
- 日々の業務に追われがちな経営者でも、意識的に「緊急ではないが重要」なことに時間を割くことで、未来への視界がクリアになる。
- ビジョンを明確に言語化し、アクションプランを実行・検証し続けることで、経営者自身が成長し、事業の成長を加速できる。
行動のヒント
- 日々の業務から離れ、未来を考える時間を定期的に確保する(例:デジタルデトックスの活用)。
- 自社のビジョンや長期目標を明確に言語化し、達成すべき指標と期限を設定する。
- ビジョンから逆算した具体的なアクションプランを作成し、定期的に進捗を振り返る。
- 幹部やチームとビジョンを共有し、必要に応じてコーチングなど成長の機会を設けて組織全体で前進する。
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社長のためのエグゼクティブコーチング 社長のふくろう®

バーテンダーやクロス職人を経て、2004年に株式会社R4に入社。
営業職としてキャリアをスタートし、2006年には東京支社の立ち上げを担い、支社長としてマネジメントと採用支援に従事。
その後、株式会社オークファンや株式会社びりかんなどで法人営業や組織変革コンサルティングを経験し、200名以上の経営者と1,000件以上の組織課題に向き合う。
こうした経験をもとに、2015年に「合同会社ちょんまげ」を設立(2017年に株式会社化)。
経営者向けコーチングサービス「社長のふくろう」を展開する。
「夢の助かるる世をつくる」というビジョンを掲げ、経営者の人生に寄り添うコーチングを通じて、夢の実現を支援している。
提供する「社長のふくろう」は、経営者の「苦労」を「不苦労(ふくろう)」に変えることを目指したサービスで、仕事・経済・健康・人間関係など8つの領域にわたる人生のビジョンを明確化し、行動変容を促すコーチングを行っている。
また、児童養護施設での学習ボランティア経験などから「人の夢を応援すること」に強い情熱を持ち、将来的には子どもたちへのコーチング支援や、社会貢献型の資金循環システムの構築にも取り組んでいる。
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