本記事は、石上 和平氏の著書『社長はなぜ、いつも孤独なのか? その答えは「ふくろう」にあった。』(游藝舎)の中から一部を抜粋・編集しています。

コーチング
(画像=Trueffelpix / stock.adobe.com)

なぜエグゼクティブコーチングが必要なのか?

エグゼクティブコーチングが必要とされるのには、主に3つの理由があります。

第一に、激しく変化し複雑化する経営環境に柔軟に対応するためです。グローバル化や技術革新によって変化のスピードは増す一方で、日本では少子高齢化による市場縮小や人手不足も深刻です。社長1人の気づきと判断だけでこうした状況を乗り越えるには限界があります。

第二に、リーダーとして成長し続けるためです。社長には組織を率いる強いリーダーシップが求められますが、自分では弱点に気づきにくいもの。仮に課題を認識できても、最適なリーダーシップの取り方を独力で見出すのは容易ではありません。コーチングを活用すれば、自ら考え行動するプロセスを通じてリーダーとしてのスキルを磨き続けることができます。

そして第三に、経営者特有の孤独とストレスに対処するためです。社長という立場上、悩みや迷いを社員に打ち明けることはできず、多くの社長が誰にも本音を相談できない孤独を抱えています。だからこそ、自分を理解し応援してくれる存在が必要です。

その存在がコーチです。コーチは常に経営者の味方となり、重要な決断に臨む際には問いかけを通じて背中を押してくれる心強いパートナーです。世界の名だたる経営者たちが生涯にわたりコーチを信頼し続けるのは、コーチが心の支えとして大きな役割を果たしている証拠でしょう。

加えて、社長を支える専門家は税務・法務など分野ごとに数多く存在します。しかし専門領域が細分化されすぎて、「結局誰に相談すべきか分からない」という声もよく聞かれます。その点、エグゼクティブコーチは特定分野に限らず、経営者のあらゆる悩みに寄り添える存在です。幅広い課題を横断的にサポートできるコーチの役割は、これからますます重要になっていきます。

エグゼクティブコーチングの主なメリット

以上の理由から、エグゼクティブコーチングを受けることで得られる効果も非常に大きなものがあります。まず、コーチとの対話によって経営課題の発見と解決のスピードが格段に向上します。コーチが様々な角度から問いを投げかけることで、1人では見落としていた組織上の問題点やリーダーとしての癖に気づくことができます。さらに毎月のセッションで進捗を確認し軌道修正を重ねるため、忙しい中でも戦略実行にスピード感が生まれます。

また、コーチとの対話は日常業務に追われて後回しにしがちな「会社を俯瞰する時間」を強制的に確保する役割も果たします。定期的に緊急度は低いが重要度の高いテーマに向き合うことで、長期的視点で事業や組織を見直す習慣が身につくのです。

さらに、コーチングは経営者ご本人の成長にも直結します。答えを自ら導き行動するプロセスの繰り返しによって、リーダーとしての洞察力や意思決定力が鍛えられていきます。そして何より、コーチはどんなときも経営者の味方でいてくれる存在です。社内でも家族にも言えない悩みを打ち明けて整理できる場があることは、大きな安心材料でしょう。

実際、野村総合研究所が2019年に実施した調査によれば、「適切な社外の相談相手とのつながりがないこと」が小規模事業者にとって重要課題を相談できない最大の理由(46.0%)となっていました。コーチがいてくれることで「自分は1人ではない」という心強さを得られ、経営者はより前向きに挑戦を続けることができます。

もちろん、コーチに100%すべての悩みを打ち明けるわけではないでしょう。しかし、社員や家族にも話せない悩みを相談できる相手を得られるのは、コーチングならではの大きなメリットです。

以上のようにエグゼクティブコーチングには大きな価値があります。では、私自身が経営者へのコーチングに情熱を注ぐに至った原体験とは何だったのか ─ そのエピソードをお話ししましょう。

社長が幸せでなければ、みんなが幸せにならない

私がコーチングと出会ったのは今から十数年前、前職の中小企業向けコンサルティング会社に勤めていたときです。当時、オンラインコーチングの新規事業立ち上げに携わり、経営者から一般の方まで約100人のクライアントを担当しました。もちろん誰にとってもコーチングは人生を豊かにする意義あるものです。しかし限られたリソースで、「より大きな社会的インパクトを生むにはどうすればいいのか?」と、私は葛藤しました。

転機は、経営者や投資家など社会への影響力が大きい数名のクライアントとのセッションでした。彼らとの対話を通じて、経営者本人だけでなく社員たちにも前向きな変化が生まれ、社内の空気が明るくなるのを目の当たりにしました。志ある経営者が成長し幸せになれば、その社員や家族、取引先まで笑顔になる ―― そう考えたとき、胸が高鳴りました。

「いっそ経営者に特化しよう」。そう決心した私は独立起業し、2017年にエグゼクティブコーチング事業「社長のふくろう」を立ち上げました。社長が幸せになると、その幸せの輪は社員や家族、取引先へと広がっていきます。そして、やがては社会全体にまで波及するのです。私はこの信念を胸に、経営者が苦労を乗り越えて成功することで世の中に幸せの輪を広げたいと心から願っています。それこそが私の使命だと感じているのです。

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社長のためのエグゼクティブコーチング 社長のふくろう®

『社長はなぜ、いつも孤独なのか?』より引用
石上 和平
株式会社ちょんまげ代表取締役。兵庫県芦屋市出身。
バーテンダーやクロス職人を経て、2004年に株式会社R4に入社。
営業職としてキャリアをスタートし、2006年には東京支社の立ち上げを担い、支社長としてマネジメントと採用支援に従事。
その後、株式会社オークファンや株式会社びりかんなどで法人営業や組織変革コンサルティングを経験し、200名以上の経営者と1,000件以上の組織課題に向き合う。
こうした経験をもとに、2015年に「合同会社ちょんまげ」を設立(2017年に株式会社化)。
経営者向けコーチングサービス「社長のふくろう」を展開する。
「夢の助かるる世をつくる」というビジョンを掲げ、経営者の人生に寄り添うコーチングを通じて、夢の実現を支援している。
提供する「社長のふくろう」は、経営者の「苦労」を「不苦労(ふくろう)」に変えることを目指したサービスで、仕事・経済・健康・人間関係など8つの領域にわたる人生のビジョンを明確化し、行動変容を促すコーチングを行っている。
また、児童養護施設での学習ボランティア経験などから「人の夢を応援すること」に強い情熱を持ち、将来的には子どもたちへのコーチング支援や、社会貢献型の資金循環システムの構築にも取り組んでいる。

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