本記事は、石上 和平氏の著書『社長はなぜ、いつも孤独なのか? その答えは「ふくろう」にあった。』(游藝舎)の中から一部を抜粋・編集しています。

社長の頭の中のモヤモヤがスッキリ
例えば、社員の定着率が低く社内ビジョンも共有できずに悩んでいた30代後半の山田社長は、私とのコーチングを通じて頭の中のモヤモヤを整理しました。対話を通して「社員
全員が幸せになれる会社にしたい」という力強いビジョンを明確に言語化できたのです。
ビジョンが明確になると社員たちも共感し、会社は次第に一枚岩のチームへと変貌しました。
このように、「頭の中では未来像(ビジョン)を描いているが、うまく言語化できない」という経営者は少なくありません。コーチングを通して経営者の想いが明快なストーリーとして整理されることで、初めて社員とも共有可能な強いビジョンが生まれます。社長自身の頭の中の霧が晴れると、組織全体にも明るい展望が行き渡るのです。
1人では意外と難しいビジョンづくり
社長の頭の中にある漠然とした理想を言語化し、明確なビジョンに落とし込むために、私たちは
仕事面では「◯年までに売上◯◯億円を達成する」「◯年に後継者へ社長職を譲り、自分は会長に就任する」といった目標、プライベートでは「平日も家族と過ごせる自由な暮らしをしている」「家族と海外旅行を楽しんでいる」など、思いつく限りの理想の姿をコーチと共に描いていきます。
そして次に、そのビジョンを実現するための具体的なアクションプランも明確にしていきます(例:「会社売却に備え、◯◯年までに負債を△△円に圧縮する」など)。漠然とした夢も文字にすることで現実味が増し、「本当に達成できるかもしれない」という手応えが生まれてきます。
とはいえ、このビジョンづくりを最初から最後まで1人でやり遂げられる社長はほとんどいません。実際「妻にも幹部にも本音を共有できない」という声はよく耳にします。だからこそ第三者であるコーチの出番なのです。外部のコーチだからこそ社長も心の内を打ち明けることができ、私たちは「なぜそれを目指すのか?」「本当に自分が望んでいるのか?」といった本質的な問いを投げかけ続けます。そうすることで社長自身が自らの本当の想いに立ち返ることを促すのです。
答えを出すのはあくまで社長本人。私たちコーチはその深い内省のプロセスを根気強く支えていきます。
このようなビジョン構築と振り返りを月1回のセッションで積み重ねていくと、5年後にそのシートを見返したとき「紙に書いた夢が現実になっている!」と驚く瞬間にきっと出会えるでしょう。
仕事がうまくいかない原因は家庭にある!?
仕事だけでなく社長の人生全般をサポートしていると、興味深い現象を目にします。家庭やプライベートな面が改善されていくにつれて、ビジネスの状況もいつの間にか好転していくのです。
やはり人生のあらゆる要素は結局つながっています。ビジネスが順調でも家庭が崩壊していればいずれ支障が出ますし、逆に家庭が円満になれば仕事にも良い影響が及びます。
実際、子どもの不登校など家庭の問題が経営者の心を重くし、会社の成長を妨げていたケースもあります。人生全体を総合的に捉えなければ、最終的な幸福にはたどり着けないのです。
「社長のふくろう」のセッションでは毎回、最初に「今日のテーマ」を決めていただきます。「今日は何をテーマにセッションを進めていきますか?」とお尋ねすると、「仕事は順調だけれど最近健康管理が疎かなので考えたい」「会社はうまく回っているけど妻との会話が減っているので家族のことを話したい」といった具合に、仕事以外の要望が出てくることも少なくありません。その際には健康や家族をテーマにコーチングを行います。そうすることで人生全体のバランスが整い、結果として仕事にもプラスに作用するのです。
よく「仕事とプライベートは車の両輪」と言われますが、まさに社長自身の幸福度が上がれば社員にも以前より優しく接するようになり、組織全体に良い波及効果が生まれます。実際、コーチングを受けてウェルビーイングが高まった社長は「幹部にもコーチングを受けさせたい」と言い、社内に1対1のミーティング制度を導入したり、自社で社員向けのコーチング制度を立ち上げたりする例も出てきました。「社長のふくろう」のメソッドは、そうして社長から幹部へ、幹部から社員へと広がり始めているのです。
あなたが変われば会社も変わる――。
では、まず何から変えていきますか?
実際に「社長のふくろう」を体験した経営者がどのように仕事やプライベートに変化をもたらしたのか、そのドラマをひも解いていきます。彼らの生の物語から、きっとあなた自身の働き方や生き方にも通じるヒントが見つかることでしょう。
経営者の幸福なくして、企業の真の成功なし。
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社長のためのエグゼクティブコーチング 社長のふくろう®

バーテンダーやクロス職人を経て、2004年に株式会社R4に入社。
営業職としてキャリアをスタートし、2006年には東京支社の立ち上げを担い、支社長としてマネジメントと採用支援に従事。
その後、株式会社オークファンや株式会社びりかんなどで法人営業や組織変革コンサルティングを経験し、200名以上の経営者と1,000件以上の組織課題に向き合う。
こうした経験をもとに、2015年に「合同会社ちょんまげ」を設立(2017年に株式会社化)。
経営者向けコーチングサービス「社長のふくろう」を展開する。
「夢の助かるる世をつくる」というビジョンを掲げ、経営者の人生に寄り添うコーチングを通じて、夢の実現を支援している。
提供する「社長のふくろう」は、経営者の「苦労」を「不苦労(ふくろう)」に変えることを目指したサービスで、仕事・経済・健康・人間関係など8つの領域にわたる人生のビジョンを明確化し、行動変容を促すコーチングを行っている。
また、児童養護施設での学習ボランティア経験などから「人の夢を応援すること」に強い情熱を持ち、将来的には子どもたちへのコーチング支援や、社会貢献型の資金循環システムの構築にも取り組んでいる。
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