本記事は、石上 和平氏の著書『社長はなぜ、いつも孤独なのか? その答えは「ふくろう」にあった。』(游藝舎)の中から一部を抜粋・編集しています。

社長
(画像=polkadot / stock.adobe.com)

隣の芝生が青く見えて、自己疑念が芽生える危険性

社長という立場で仕事をしていると、競合他社や知り合いの会社の成長ぶりが、気にしないつもりでもどうしても気になってしまうものです。

自社の業績が足踏みしている中で、知り合いの社長の会社が着実に成長し、売上を伸ばしている様子を横目で見てしまうと、どうしても心穏やかではいられなくなります。

「俺、何やってんだ……」

隣の芝生は青く見えるものです。そのせいで、自分に自信が持てなくなってしまうこともあるでしょう。

「自分が信じていることは本当に正しいのだろうか?」「自分は間違っていたのではないか?」─こうして社長は自分自身を疑い始めます。

これがまさに「自己疑念」という状態です。孤独なだけでなく、自分のことさえ信じられなくなるのです。会社の存在意義どころか、自分自身の存在意義さえ見失いかねません。

社長が自己疑念に陥ると、経営は途端にうまくいかなくなります。自分自身を疑っているようでは、社員のことなど到底信用できないからです。社員たちは社長の心の動きに非常に敏感で、「自分たちは信用されていない」と感じた途端、心は社長から離れていってしまいます。

社員との間に心の壁ができてしまったある社長は「社員を全員入れ替えてしまいたい」とまで言い出しました。自分を疑い始めると今度は社員を疑うようになり、やがて会社自体が傾きかねません。さらに自己疑念が深まり、孤独を通り越して心の病を患ってしまう社長すらいるのです。

実際、つい1年前までは元気だったのに、今では精神の不調に苦しんでいる社長を私も目の当たりにしました。

程度の差こそあれ、すべての社長が一度は自己疑念に苛まれることでしょう。ソフトバンクの孫正義氏やユニクロの柳井正氏ほどの成功者であっても、自分に疑念を抱いてしまうことがあるかもしれません。つまり、どんな社長でも自己疑念に陥る可能性があるのです。

だからこそ、社長には定期的に頭と心のメンテナンスを行うことが必要なのです。メンタルケアの観点では、アドラー心理学を解説した『嫌われる勇気』という本に学ぶ点があります。同書では「自分の課題と他人の課題を明確に区別すること」の重要性が説かれており、社長はともすれば社員の課題まで自分のこととして抱え込みがちですが、他人のネガティブな感情まで引き受けていては本当に自分が病気になってしまうと警鐘を鳴らしています。

要するに、社長は他人の課題まで背負わず、自分自身の心身を守る術を持たねばならないのです。

なぜ、リーダーは占いに頼るのか?

アメリカのレーガン元大統領は、占星術師の助言に従って自身のスケジュールや国家の重要政策を決定していたと言われています。

日本の安倍晋三元首相も、占いをかなり気にしていたとされています。

古くは武田信玄やナポレオンも、占いに頼っていたと言われています。

現代でも、重要な決断を下す際に占い師に頼る経営者は少なくありません。

古今東西、孤独なリーダーの多くは、部下にも家族にも言えない胸の内を占い師に打ち明けてきたのです。

リーダーは毎日が意思決定の連続です。しかも、その大半は将来どうなるか不確実なものばかり。それでも二者択一であればAかBかを選び抜いていかなければなりません。だからこそ、リーダーは何かしら判断の拠り所となるもの ―― 背中を押してくれる存在を必要としています。

様々な人から相談を受けている占い師は、人の悩みの〝生きたデータベース〞的な存在とも言えます。占い師の言葉には、単なる迷信と切り捨てられない一面があるのです。

だからこそ、占い師に「12月に動け!」「あなたはこういう人と縁がありますよ」と告げられると、「やっぱり自分の直感は正しかったんだ」と納得して決断を下すことができるのです。

つまり孤独なリーダーには、占い師でもコーチでも〝話を聞き背中を押してくれる存在〟が必要なのです。

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『社長はなぜ、いつも孤独なのか?』より引用
石上 和平
株式会社ちょんまげ代表取締役。兵庫県芦屋市出身。
バーテンダーやクロス職人を経て、2004年に株式会社R4に入社。
営業職としてキャリアをスタートし、2006年には東京支社の立ち上げを担い、支社長としてマネジメントと採用支援に従事。
その後、株式会社オークファンや株式会社びりかんなどで法人営業や組織変革コンサルティングを経験し、200名以上の経営者と1,000件以上の組織課題に向き合う。
こうした経験をもとに、2015年に「合同会社ちょんまげ」を設立(2017年に株式会社化)。
経営者向けコーチングサービス「社長のふくろう」を展開する。
「夢の助かるる世をつくる」というビジョンを掲げ、経営者の人生に寄り添うコーチングを通じて、夢の実現を支援している。
提供する「社長のふくろう」は、経営者の「苦労」を「不苦労(ふくろう)」に変えることを目指したサービスで、仕事・経済・健康・人間関係など8つの領域にわたる人生のビジョンを明確化し、行動変容を促すコーチングを行っている。
また、児童養護施設での学習ボランティア経験などから「人の夢を応援すること」に強い情熱を持ち、将来的には子どもたちへのコーチング支援や、社会貢献型の資金循環システムの構築にも取り組んでいる。

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