この記事は2025年10月2日に配信されたメールマガジン「アンダースロー:自民党がどの政策哲学・手法を選ぶかで命運は決まる」を一部編集し、転載したものです。

- 自民党総裁選のすべての候補のマクロ戦略は同じ
- 保守派・中道派・リベラル派では、政策哲学と手法が違う
- 保守派(高市氏、小林氏、茂木氏):新自由主義から新機軸への完全転換
- 中道派(小泉氏):新自由主義を部分的・漸進的に修正する新しい資本主義
- リベラル派(林氏):財政収支は黒字でなければならない
自民党総裁選のすべての候補のマクロ戦略は同じ
国内投資を拡大して、企業の貯蓄超過から投資超過に正常化し、コストカット型経済から完全脱却し、成長・投資型経済へ移行
投資の拡大が、労働生産性と成長率の上昇として、持続的な賃金の上昇につながる
保守派・中道派・リベラル派では、政策哲学と手法が違う
保守派(高市氏、小林氏、茂木氏):新自由主義から新機軸への完全転換(解党的出直し)
景気はまだ十分に強くない(高圧経済にまだなっていない)
経済・社会の課題を解決するには官民連携の投資・需要の拡大が必要
緩和的金融政策の継続
本格的な積極財政で、景気・投資・需要の拡大を強く
野党の政策を丸のみできる包容力があり、困窮している国民(特に保守派と若年層)の支持を取り戻し、安定政権への道が開ける可能性
中道派(小泉氏):新自由主義を部分的・漸進的に修正する新しい資本主義(岸田・石破政権の継承)
構造改革(規制緩和など)が足りない
民間部門の競争が足りない
ゾンビ企業の退出による新陳代謝のために利上げ
疑似的な積極財政で、新自由主義の欠点・負担を軽減
中途半端な政策哲学で方針がブレることを国民が嫌気し、政策哲学が明確な野党に支持が流れ、自民党の党勢の退潮が続くリスク
リベラル派(林氏):財政収支は黒字でなければならない(財務省・税制調査会の主導)
財政状況の悪化で、将来の大きな金利上昇を恐れて、企業は投資ができない
社会保障の持続性に対する懸念で、家計は消費ができない
日本売りの円安を是正するために利上げ
社会保障と税の一体改革で緊縮財政
財源の問題に拘ることで野党との協調もうまく行かず、困窮している国民(特に保守派と若年層)の支持を完全に失い、自民党も中規模政党化のリスク
図1:世界的潮流を踏まえた産業政策の転換=「経済産業政策の新機軸」(経産省)

図2:総裁選の論点

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