本記事は、山根 洋士氏の著書『聴く技術 あなたの会話が今日から変わる』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。
ちゃんと聴く。それだけで問題が解決する
「聴く」と相手が変わる
聴くことが大事とはよく言われますが、実際にちゃんと聴くとどんな効果があるのでしょうか。
本稿では心理カウンセラーの聴く技術をひもといていきます。でもその前に、あなたが「聴ける人」になることがいかに大切かを知っていただきたいと思います。
では、こんな話から始めましょう。
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ソリの合わない上司がいて、ことあるごとに意見がぶつかっていたんです。
別に嫌いなわけじゃありません。でも、納得できないことは何度も説明しますよね。
ときには口論になることもありました。
どれだけ丁寧に説明したつもりでも「いや」「でも」の応酬。
次はどう話そうかと考えているうちに疲れてしまって。一度、相手の話を黙って聴いてみたんです。
すると驚きました!
次第に上司が穏やかになる。どんどん口調が柔らかくなる。
おまけに「そうか」「たしかに」などと一人で納得し始めて、ついには「俺も間違っていた」「お前の言うこともわかる」と勝手に反省まで始めました。
最後は「話せてよかった。ありがとう」って……。
あんなに必死に説明してもダメだったのに、不思議と問題が解決したんです。
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どうですか?
無理して相手を好きになるわけでも、我慢して話を合わせるわけでも、必死に相手を説得するわけでもありません。
「聴く」を意識するだけで、状況が一変したわけです。
しかもこれは聴く技術でいえば、ほんの序の口。この本で紹介する「受容・共感・自己一致」をベースにした聴き方を使えば、あなたの抱えている悩みも解決できるかもしれません。
ここで思い返してみてください。
今日、あなたは誰と会話をしましたか? そして「よし、ここは聴くことに徹してみよう」と決めて、聴いてみた瞬間があったでしょうか。
あなたの生活のいたるところに、もっと「聴く」チャンスがあります。
- 営業先で顧客の話を聴く
- 上司、あるいは部下の話を聴く
- 家族の話を聴く
- 恋人や友達の話を聴く
こんなシーンで、もし何かうまくいっていないのだとしたら、「聴くスイッチ」を入れるだけで劇的に事態が好転する可能性があります。
あなたが「聴く」ことで、テコでも動かなかった相手が動き出したり、かたくなだった心が開かれたり、誰かの悩みがすっきりしたりすることがあるのです。
「あまり話さないこと」が第一歩
実はこれは、話を聴くプロである心理カウンセラーがやっていることと、とてもよく似ています。カウンセラーの「聴く技術」も、根っこにあるのは、まず黙って相手の話を聴くことです。
先ほどのエピソードを心理学(心理療法)的に説明するならば、徹底して聴くことで上司は「受容」と「共感」を感じられて、自然と考えが整理されて上司の中で「自己一致」が起こり、発言や行動が変わったのです。
話を聴くときの準備から、考え方、具体的な話のつなぎ方、質問の仕方などを解説していきます。
いきなり全部をマスターするのはたいへんですから、少しずつ「聴く」ことの意味を感じながら身につけていきましょう。
まずは、「あまり話さないこと」を実践してみることをおすすめします。
冒頭の例のように、それだけで何かが起こることもあるでしょう。
一方で、話さないで聴くのに徹することが意外と難しいと感じることも、あると思います。お互いに黙ってしまって不安になるかもしれません。
そんなときに役立つのが、本稿で紹介する聴く技術です。
実践中心のカウンセリングで一線を画し、これまでに8,000人以上の悩みを解決。心理学だけでなく、数多くの経営者やスポーツ選手などへの取材経験、AIやロボット工学、脳科学などを取り入れたメンタルノイズメソッドを開発。カウンセラー養成講座のほか、お金の心理学、自己肯定感、願望実現などの講座を主宰し、延べ受講生は2,000名を超える。
著書『「自己肯定感低めの人」のための本』(アスコム)がメンタル本大賞2021優秀賞を受賞。そのほか著書多数。
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- 沈黙を怖がらない人ほど、本音に近づける
- 本当に聴ける人ほど、全部は聴かない
- 聴いただけなのに、感謝される
