この記事は2026年1月9日にSBI証券で公開された「2026年の有望銘柄を探る(3)~活躍期待の「フィジカルAI」関連銘柄は?」を一部編集し、転載したものです。

2026年の有望銘柄を探る(3)~活躍期待の「フィジカルAI」関連銘柄は?
(画像=SBI証券)

目次

  1. 2026年の有望銘柄を探る(3)~活躍期待の「フィジカルAI」関連銘柄は?
    1. 2026年は大幅続伸でスタート~足元のスピード調整は投資チャンスになる可能性も
    2. 市場の注目は「AI」から「フィジカルAI」に拡大
    3. 「フィジカルAI」は、日本企業にチャンスをもたらす?
  2. 一部掲載銘柄を解説!
    1. SMC(6273)~得意の空気圧機器がフィジカルAIで飛躍する可能性も
    2. 日本精工(6471)?"フィジカルAI"時代のロボティクス基盤部品企業
    3. 三菱電機(6503)~ 総合電機の一角、生活と産業を支える

2026年の有望銘柄を探る(3)~活躍期待の「フィジカルAI」関連銘柄は?

2026年は大幅続伸でスタート~足元のスピード調整は投資チャンスになる可能性も

平素よりご愛顧いただいております「日本株投資戦略」は、今回が新年第1号となります。本年もよろしくお願い申し上げます。

2026年の東京株式市場は、勢いの良いスタートとなりました。日経平均株価は1月5日・6日の2営業日で2,178円上昇し、昨年10月31日終値52,411円(終値ベースの史上最高値)を上回りました。その後、1月7日・8日は続落(合計で1,400円安)となりましたが、年初2営業日の大幅高を考慮すれば、健全なスピード調整といえるかもしれません。

こうした中、「日本株投資戦略」では、昨年末以降「2026年の有望銘柄を探る」と題してレポートを提供しています。今回はその第三弾で「フィジカルAI」関連銘柄について検討します。本テーマを2026年でもっとも有望なテーマとして注目している市場参加者は多いようです。SBI証券の株式投資サービス「テーマキラー!」でも、「今月の注目テーマ」として取り上げています。

「日本株投資戦略」では、「フィジカルAI」のポイントをご紹介しながら、同分野での活躍期待の「フィジカルAI」関連銘柄を探っていきたいと思います。仮に株式市場が当面スピード調整となった場合、そこが有力テーマ銘柄の投資チャンスになるかもしれません。

市場の注目は「AI」から「フィジカルAI」に拡大

フィジカル(物理)AIは、AI(人工知能)がロボットや機械などの「身体」を通じて現実世界(物理空間)を認識し、自律的に判断し、行動する技術です。

カメラやセンサーを通じて周囲を理解し、AIがどう動くか判断し、ロボットや機械が実際に動くことによって現実の世界を変えていく技術です。動きの中には、モノを掴む、運ぶ、組み立てる、掃除する、倉庫で動き回るといった様々な動きが含まれます。

現地時間1月6日から米国で開催されているテクノロジー見本市「CES 2026」において、AI半導体大手エヌビディアのジェンスン・ファンCEOが基調講演を行い、「チャットGPTモーメントがフィジカルAIにもやってくる。もうすぐだ」と述べました。ロボット工学に大変革が起きようとしています。

株式市場の関心が「生成AI」から「AIインフラ」へ進化した後、投資の持続性への問題等が意識されるなど「AIブーム」も踊り場を迎えています。投資マネーが「AIインフラの次」を求める中、フィジカルAIへの注目度は高まる方向にあります。折しも労働人口の減少やサプライチェーンの再構築が求められる中、世界はフィジカルAIによる変革を求めていると考えられます。

「フィジカルAI」は、日本企業にチャンスをもたらす?

生成AIと異なり、フィジカルAIは物理的に「動く」ことが大きな相違点です。AIがロボットや機械と結びついても、摩耗や振動、温度変化、荷重変動、汚れ、湿度といった物理ストレスから逃れることはできません。言い換えれば、これらの物理ストレスをうまく克服しないことには、フィジカルAIは期待した成果を得られません。

日本企業の多くは、信頼性や耐久性、精密性といった分野で実績を積み上げてきました。今回の「日本株投資戦略」では、フィジカルAIのサプライチェーン構造で「上流」に当たる要素技術をもつ企業にスポットを当て、以下の条件で絞り込みを行いました。

東証上場銘柄(一部スタンダード市場銘柄も含む)
フィジカルAIのサプライチェーン構造で「上流」に当たる要素技術をもつ企業
業績予想を公表するアナリストが2名以上
直近四半期累計純利益が前年同期比で増益、または黒字転換
来期市場予想(Bloombergコンセンサス)純利益が増益
信用規制・注意喚起銘柄を除外

図表の銘柄は上記の条件を満たしています。掲載の順番はコード番号順です。掲載銘柄を要素技術的に分類したのが以下の箇条書きです。なお、安川電機(6506)は下記の「サーボ」における有望企業で上記の条件も満たしていますが、2026年2月期第3四半期決算発表が1月9日(金)予定である点を考慮し、今回は除外しました。

【サーボ】三菱電機(6503)
命令通りに、正確な位置・速度・回転力で動くように制御されたモーターと制御機構

【空気圧機器】SMC(6273)
圧縮空気の力をエネルギーとし、直線運動や回転などの機械的な動きを自動的に作り出し、制御すること

【減速機】ナブテスコ(6268)、ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)
歯車等を使いモーターの回転を遅くし、トルク(回転力)を大きくする機器

【センサー】キーエンス(6861)
現実世界を認識し、AIが考えることでロボットや機械が自律的に判断し、行動できるようになる

【ベアリング】日本精工(6471)、NTN(6472)、ジェイテクト(6473)、ミネベアミツミ(6479)
機械の回転する軸を支え、摩擦抵抗を減らしてエネルギー効率を高め、部品や機械の消耗を防ぐ

2026年の有望銘柄を探る(3)~活躍期待の「フィジカルAI」関連銘柄は? 2026年の有望銘柄を探る(3)~活躍期待の「フィジカルAI」関連銘柄は?
(画像=SBI証券)

一部掲載銘柄を解説!

SMC(6273)~得意の空気圧機器がフィジカルAIで飛躍する可能性も

◎空気圧機器の世界的大手企業

空気圧機器を主力製品としている会社です。圧縮空気を生成するコンプレッサ、空気を浄化する清浄化機器、空気圧補助機器、方向制御機器、圧縮空気の力で人の手に代わる動作を生み出すアクチュエータなどの駆動機器を製造・販売しています。海外売上高比率は80%(2025年3月期)に達するグローバル企業で、中国、その他アジア、米国、欧州など幅広く進出しています。空気圧機器の市場シェア(2024年)は国内で62%、世界で36%(ともに会社調べ)に達します。同社の空気圧機器は半導体、自動車、電機、機械、食品、医薬など幅広い産業で使われています。

◎フィジカルAIの中核的企業になる可能性

世界のロボット市場は2025年に500億ドルから2030年には1,110億ドルに成長するとの分析(2025年7月 ABIリサーチ)があります。その重要な成長エンジンがフィジカルAIであるとみられます。既存のFA等とフィジカルAIの違いは、FA等が決まった動きを求められるのに対し、フィジカルAIは毎日異なる動きをする柔軟性が重要になる点です。機械やロボットを動かす動力としては油圧や電気もありますが、軽くて安全な空気圧が重要なポジションを占める可能性があります。

◎足元の業績は踊り場

中長期的にフィジカルAI分野での活躍が期待される同社ですが、2026年3月期業績は昨年11月に見通しが下方修正され、売上高は340億円減額の8,160億円(前期比3.0%増)、営業利益は320億円減額の1,830億円(前期比3.8%減)に改められました。自動車市場の低迷や半導体の回復遅れが響いているようです。大型設備投資で減価償却費負担も重くなっており、短期業績は踊り場となっています。

ただし、半導体市場はメモリー分野などで再び活況になりつつあります。自動車についても、関税問題への懸念は後退する方向にあります。中長期的視野に立てば、足元の業績踊り場が買いチャンスにつながる可能性もありそうです。

■ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)~減速装置に展開、AIロボット関連の面も

◎減速装置中心のグローバル企業

減速装置と、その応用製品であるメカトロニクス製品(アクチュエーターおよび制御装置)を生産・販売しています。主力製品であるハーモニックドライブRはわずか3点の基本部品から構成され、小型・軽量でありながら高トルク(ねじる力・回す力)と高精度を兼ね備えた減速機です。産業用ロボット、半導体製造装置、車載向けを中心に幅広い分野で使用されています。販売先の地域別構成比(2025年3月期)は、日本39%、欧州30%、北米21%、中国10%と、地域分散が比較的バランスよく進んでいます。

◎業績は回復局面

2026年3月期第2四半期(2025年4~9月期)は、売上高278億円(前年同期比4.8%増)、営業利益4.65億円(前年同期は6.37億円の赤字)と増収・黒字転換となりました。営業利益は当初予想3億円を上回りました。中国向けが想定より良好だったことに加え、円安も寄与しました。将来の売上高につながる受注高も前年同月比14%増となりました。2026年3月期の営業利益は15億円と、前年の6百万円から大幅に回復する計画ですが、市場予想営業利益(Bloombergコンセンサス)は2026年3月期21億円、2027年3月期67億円が見込まれています。

◎AIロボット関連としての側面も、株価は高値から大きく下落

現在、AI(人工知能)技術の進化に伴い、人型ロボットに代表されるAIロボットの開発が世界的に進んでいます。本格普及は2027年以降とされ、2050年には10億台規模の巨大市場が誕生する可能性があります。同社は2026年3月期第2四半期(2025年4~9月期)に、すでに15社からの引き合いに対応しています。株価は2020年12月高値の9,510円から大きく下落した水準にありますが、業績回復とAIロボット関連としての評価浸透が重なれば、失地回復の可能性もありそうです。

日本精工(6471)?"フィジカルAI"時代のロボティクス基盤部品企業

◎ベアリング大手。NTN、ジェイテクトがライバル

ベアリング大手で精密機械部品の製造・販売を行う企業です。自動車部品や産業機械向け製品を提供し、世界中で事業展開しています。

「ベアリング(転がり軸受)」は機械の軸を支え、摩擦を低減して円滑に回転させる部品です。自動車1台あたり100?150個程度使用され、自動車、産業機械、航空・宇宙など幅広い用途があります。当社は国内トップ、世界3位のシェア(2025年3月31日時点)を誇り、国内のライバルはNTN(6472)、ジェイテクト(6473)などです。

売上構成比(2025年3月期)は「自動車事業」51%、「産業機器事業」38%で、地域別内訳は日本33%、中国22%、米州19%、その他アジア14%、欧州12%と、グローバル展開が進んでいます。

◎AIロボティクス企業へ戦略的出資を実施。フィジカルAI領域での展開に期待

昨年11月4日発表の2026年3月期第2四半期(2025年4?9月期)決算に合わせ、2026年3月期の業績予想を上方修正しました。予想営業利益は220億円→300億円(前期比5.4%増)となりました。自動車生産の上振れ、中国補助金政策による需要増のほか、持分法適用会社の完全子会社化による負ののれん発生益が寄与しました。

また昨年10月30日にはAIロボティクス企業「アールティ」へ戦略的出資を実施。ロボット事業強化を本格化させる方針です。フィジカルAI領域での技術連携が期待されます。

配当は安定還元を基本方針とし、配当性向30?50%、DOE下限2.5%を目標としています。会社計画では2026年3月期の年間配当は前期同額の34円を予定しています。1月8日終値1,035.5円で計算する予想配当利回りは3.2%と、好配当利回りを期待できる銘柄としての魅力もあります。

三菱電機(6503)~ 総合電機の一角、生活と産業を支える

◎空調冷熱システムに強み

三菱電機は1921年に「三菱造船株式会社」の電機製作所として設立され、現在は総合電機メーカーの一角として以下の分野に展開しています(2025年3月期売上構成比)。

ライフ(34.6%):ビルシステム、空調・家電
インダストリー・モビリティ(25.9%):FAシステム、自動車機器
インフラ(19.3%):社会システム、電力システム、防衛・宇宙システム
ビジネスプラットフォーム(2.3%):情報システム
セミコンダクター・デバイス(4.5%):パワーデバイスなど

空調冷熱システムに強みを持ち、住宅用ダクトレスエアコンは米国でトップシェア、業務用換気機器は国内トップシェアを誇ります。昇降機は世界96ヵ国に展開し、保守対象は120万台。さらに、パワーモジュールでは世界トップクラスの技術力を有しています。

◎FA部門の業績は拡大傾向

三菱電機のFA部門は「インダストリー・モビリティ」セグメントの47%、全社売上高の13.8%(2025年4~9月期)を占めています。シーケンサ(PLC)、サーボ、CNC(数値制御)など豊富なラインアップを強みとしています。地域別構成比(同)は日本40%、中国28%、中国除くアジア21%、その他となっています。

2026年3月期第2四半期決算(2025年4~9月期)で当事業は売上高が前年同期比7.5%増、営業利益が45.3%増と増収増益でした。中国ではスマートフォン、工作機器関連が、国内・中国・台湾におけるAI半導体関連が好調でした。当事業の売上高営業利益率(同)は9%と全社(8.2%)より高く、同社の重要な稼ぎ頭といえそうです。

2025年10月31日発表の第2四半期決算(2025年4~9月期)は全社的にも好調でした。インフラ部門を中心に価格改善効果もあり、売上・利益ともに上半期として過去最高水準。通期計画は以下の通り上方修正されました。

売上高:5兆4,000億円 → 5兆6,700億円(+2.7%)
純利益:3,400億円 → 3,700億円(+14.2%)

フィジカルAI、防衛・宇宙にとどまらず、AIサーバー構築ブームで重要な電力、空調にも展開しており、現在の事業環境では「総合電機」の強みが生きていると見受けられます。業績も拡大傾向であり、引き続き株式市場での活躍が期待されます。

▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。

鈴木 英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長
・出身:東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味:ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技:どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物:サイゼリヤのごはん
・好きな場所:秋葉原(末広町)
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的な寄稿も多数