本記事は、きたの先生(喜多野 修次)氏の著書『97%は無意識 すべてがうまくいく脳の使い方』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
変化を阻む「見えない力」の正体
現状維持機能は、変わることに対してさまざまな引き戻しを起こしてきます。
しかも、身近なところで、とても自然な形で。
まるで危険から守ろうとする「守護者」のように、変化を阻止しようとするのです。
ここでは、そんな現状維持機能が起こす引き戻しの代表的な例をご紹介します。
これらを知ることで、変化の流れに惑わされず、安心して前に進めるようになります。
三日坊主という「優しい罠」
誰しも一度は経験のある「三日坊主」。
実はこれも、潜在意識にある現状維持機能が引き戻しをかけてくる典型例です。
フィリッパ・ラリーらの調査では、新しい行動が「自動化されるまで」には、平均で約66日、個人差は18日〜254日間かかったと報告されています。
この結果は「習慣化には最低でも2ヶ月以上の時間が必要な場合が多い」ということを示しています。
つまり、3日目というのは、まだ変化のスタートラインに立ったばかりなのです。
たとえば、新しくランニングの習慣を取り入れようと決意したとします。
最初の1日目、2日目は調子よく進みますが、3日目を境に急に面倒になってやめてしまう。
このとき、僕たちの現状維持機能は、今までやっていなかった新しい行動に対してこう反応します。
「これは自分にとって非日常だ」
「コンフォートゾーンを出てしまう」
このように判断し、なんとかして元の状態に戻そうとするのです。
最初の数日は早起きできても、だんだん起きるのがつらくなり、「今日は寒いからやめておこう」「あと5分だけ……」と二度寝してしまう。
このとき、僕たちの心の奥ではこんなセルフイメージが働いています。
「早起きが苦手だ」「ランニングは面倒だ」「続けるのは無理かもしれない」
こうした思考は、意識して生まれているものではありません。無意識から自動的に湧き上がってくるものです。
読書習慣を身につけようと決めたときも同じです。
最初の数日は「知識を増やすぞ!」と意欲的に本を開きますが、しばらくすると「今日は疲れているから」「難しい内容で頭に入らない」といった理由が次々と浮かんでくるのです。
つまり、三日坊主で終わってしまうのは、意志が弱いからではなく、脳の自然な防御反応だったのです。
これを理解すれば、自分を責める必要もなくなり、より効果的な習慣作りができるようになります。
重要なことをお伝えします。
「セルフイメージ」は「思考」に影響を与えます。
「思考」は「行動」に影響を与えます。
「行動」は「結果」に影響を与えます。
これは「認知・行動・結果モデル」と呼ばれる考え方です。
そのため、行動だけを変えようとしても、根底にあるセルフイメージを変えなければ三日坊主を抜け出すことはできません。
現状維持機能はあらゆる手を使って、元の僕たちに引き戻そうとします。
新しい習慣を定着させるには、まず「なりたい自分=未来のセルフイメージ」を、感情・思考・行動によって明確にして、脳内でニューロンの連携強化を積み重ねることが重要だといわれています。
頭のなかで理想の自分を鮮明に描き、イメージトレーニングを重ねることは、運動能力を改善するのと似たように、神経回路を強化する効果があります。
「動く前に神経が準備される」―― 実際動作を伴わなくても、運動野や補助運動野、内側前頭前野などが活性化し、それらの結びつきが強化されると考えられます。
これは「理想の自分の姿」が心地よく、自然なものとして脳が取り扱うようになる可能性があることを意味します。
ただし、単なる想像だけでは不十分で、具体的な行動や身体の体験的な身体作用との併用によって、より確かな習慣化が可能になります。
チャールズ・デュヒッグは習慣形成モデルにおいて、「トリガー」「行動」「報酬」のサイクル構造を軸に説明し、習慣を継続させるためには強い信念が不可欠だと述べます。
信頼できる自己に対する確信がある人ほど、変化の途中で挫折しにくいとされています。
一方で、自分にとっての理想像= アイデンティティから変化するというアプローチは、後続の心理学者ジェームズ・クリアによる概念「アイデンティティ習慣」の影響が大きく、より意識的に「自分は〇〇タイプの人間だ」と定義し直すことで行動を起こしやすくする手法として説明されていたりします。
この仕組みを理解して、優しく、でも着実にセルフイメージを書き換えていけば、新しい習慣は定着します。
変化への道のりでもっとも大切なのは、自分を責めることではなく、この見えない力の存在を知り、上手に付き合っていくことです。
現状維持機能は敵ではなく、僕たちを守ろうとしてくれている大切なパートナーなのですから。
それ以来、「人はなぜ変わろうとしても変われないのか?」という問いを軸に、心理学・認知科学・コーチングなどを幅広く学び、何百冊にもおよぶ書籍と数千万円規模の自己投資を通じて探求を重ねてきた。
自らを実験台にさまざまな手法を実践・検証し、無意識の働きを日常に活かす独自のメソッドを体系化。
その講座は「無理なく変われる」「スッと腑に落ちる」と多くの受講者から高い評価を受けており、
現在は講座や執筆活動を通して、「思考より先に、無意識が人生をつくっている」という仕組みを広く伝えている。
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