本記事は、堀田 秀吾氏の著書『時間をムダにしない人の習慣』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

時間をムダにしない人の習慣
(画像=Atlas/stock.adobe.com)

最強のコスパ習慣。教えるつもりで学ぶ

インプット中心で学んだことはなかなか身につかない

勉強したことをなかなか覚えられない。
仕事で学んだことがなかなか身につかない。

そうしたことが起こる原因の一つとして、「学び方」がインプット中心になっていることが考えられます。

ワシントン大学セントルイス校のネストイコらは、学生たちを

① 「後で(誰かに)教える」ことを前提として学ぶグループ
② 何も前提とせずに学ぶグループ

の2つに分け、一定時間学習をさせた後で、テストを行いました。
その結果、①のグループは、②のグループより、成績が有意に高かったのです。

学んだことを、後で誰かに教えるためには、

• 分解
  ↓
• 再構築
  ↓
• 例に落とし込む

というプロセスが必要です。

たとえば、「利息」という仕組みについて学び、人に教えるとき、たいていは、

  • 分解:
    学んだ内容を「利息とは何か」「利息はなぜ発生するのか」
    「元金とは何か」「単利と複利の違いは何か」などに分ける。

  • 再構築:
    教える相手が混乱しないよう、筋道立てて組み立て直す。

  • 例に落とし込む:
    「たとえば1,000円を年利10%で預けたら、1年後に利息が100円ついて、1,100円になる」など、わかりやすい例を挙げる。

という流れになるのではないでしょうか。

そして、このプロセスの中でも、特に「再構成」が、得た知識を長期記憶へ移す鍵だと言われています。

一方、ただ漫然と教科書を読んだり人の話を聞いたりする「インプット中心の学習」では、どうしても情報をそのまま受け取るだけになってしまうため、「分解→ 再構築→ 例に落とし込む」のプロセスが起こらず、記憶に定着もしないのです。

教える意識が「学習の自動化」を起こす

ここで大事なのは、「実際に誰かに教えなくても良い」という点です。

つまり、「後で誰かに教えるつもり」で学ぶだけで、脳の中で自然と「分解→ 再構築→ 例に落とし込む」のプロセスが発生し、学んだことが定着しやすくなるのです。

「なかなか学んだことが身につかない」という人は、ぜひ次の習慣を実践してみてください。

① 人に教える(聞いてもらう)
新しいことを学んだら、「明日、部下(家族)に5分で説明するなら?」と考えながら整理しましょう。
そうすると、学んだことに対する理解が深まり、記憶に残りやすくなります。

② メモを「講義ノート」にする
話を聞いたり資料を読んだりしながらメモを取る場合は、ただのメモではなく、定義/例/図解まで入れ込み、「誰かに渡す教材」のつもりで書きましょう。
そうすると、どこに理解不足があるかが一発でわかるようになります。

誰かにわかりやすく教えるつもり、伝えるつもりで学ぶ。
それこそが、もっともコスパよく記憶を定着させる方法なのです。

「教える」ことは、単なるアウトプットではない。頭の中で学習内容を整理し、深い理解へ導くための、もっとも効率的な学習技術である。

時間をムダにしない人の習慣
堀田 秀吾(ほった・しゅうご)
言語学者(法言語学、心理言語学)。明治大学教授。1999年、シカゴ大学言語学部博士課程修了(Ph.D. in Linguistics、言語学博士)。2000年、立命館大学法学部助教授。2005年、ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了、2008年同博士課程単位取得退学。2008年、明治大学法学部准教授。2010年、明治大学法学部教授。司法分野におけるコミュニケーションに関して、言語学、心理学、行動経済学、脳科学などのさまざまな学術分野の知見を融合した多角的な研究を国内外で展開している。著書に『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(クロスメディア・パブリッシング・共著)、『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)など。『科学的に証明された すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)は30万部を超えるベストセラー。

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