本記事は、堀田 秀吾氏の著書『時間をムダにしない人の習慣』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

時間をムダにしない人の習慣
(画像=illustratica/stock.adobe.com)

人の幸せを願う

家事・仕事・勉強が「なぜか続かない」日の突破口

「あなたが今やろうとしていることは、誰かの喜びにつながるか」。
一見哲学的な問いのようですが、これは私たちの行動エネルギーと幸福度を左右する、非常に重要な視点です。

自分のためだけに行う行動よりも、誰かのためを思って行う行動のほうが、幸福感が上がり、継続するモチベーションも強くなるということは、科学的に証明されています。
カリフォルニア大学のリュボミアスキーらは、「被験者に、親切な行動を週に5回、6週間にわたって行うよう依頼する」という実験を行いました。
親切な行動は一日に5回行っても、3日間に5回行っても、一週間のうちに5回行ってもよい。
内容も、お金の絡まないことならなんでもよく、親切にする相手も誰でもよいという条件です。
すると、6週間後、親切な行動を続けたグループは、そうでないグループに比べ、明らかに幸福度が高くなっていました。

ちなみに、親切な行動を毎日行ったり、たくさん行いすぎたりすると、脳が慣れて刺激を受けなくなり、幸福感を得づらくなるため、自分の幸福度を高めるうえでは、親切な行動を一週間のうち1日だけ、5回まとめて行うのが、もっとも効果的とのことです。

利他的感情は、脳の報酬系を活性化する

他者への親切が「自分の幸福」につながる理由は、脳の仕組みにあります。
ヒューストン大学のラッドらの研究は、自分のためより、他人のために行った行動のほうが、達成後の幸福感が高いことを示しています。
特に、以下のような「具体的で達成しやすい親切」は非常に効果的です。

  • 相手を笑わせる
  • 相手の役に立つ
  • この場所をきれいにする

こうした明確な行動は「やった」という達成感を生み、脳の報酬系が活性化してドーパミンが分泌されます。
その結果、気分が上がり、集中力が高まり、もっと人のために行動したくなるという循環、いわば利他行動の「ポジティブスパイラル」が生まれます。

さらに、セントルイス・ワシントン大学のモローハウエルらの研究によると、ボランティア活動などを行うと、うつになる確率が少なく、ボランティア活動を長くやればやるほど、幸福を感じる度合いが高くなるという結果が出ています。

また、ドイツのリューベック大学のパークらの研究では、利他行動をすると、脳の共感や思いやりをつかさどる部位と、喜びや満足感をもたらす報酬系の領域が活性化し、相互に連携して幸せを感じやすくなるということが示されました。

人間はこれまで、互いに助け合うことで、種として生き残ってきました。
利他的な行動によって幸福感を得るのは、「人間が生きのびるため、脳に組み込まれたプログラム」であり、他者の幸せを願うことは、自然で理にかなった行動であるともいえるのです。

今日、一つだけ誰かを喜ばせると、自分の脳が一気に前へ進む

誰かを喜ばせる行動は、大げさなものである必要はありません。
ほんの小さな親切で十分です。
たとえば、同僚に一言、感謝やねぎらいの言葉をかける、誰かの仕事を一つ手伝う、家族のために食器を洗う、高齢者に席をゆずる……。

そうした行動をたった一つとるだけで、脳は「自分は誰かの役に立てた」という達成感を覚え、前へ進むためのスイッチが入ります。

人間の脳は、利他的な行動をとった瞬間にドーパミンが分泌され、気分や集中力が自然と上向きます。
なかなかやる気が起きないときでも、「誰かの役に立てた」と思えたとたん、それまで動かなかった体が軽くなり、「もう少しやってみようかな」「次にやるべきことに取りかかってみよう」という前向きなエネルギーが戻ってくるのです。

やる気が出ないときは「誰かの幸せ」のために動いてみよう。
驚くほどすぐに行動できるようになる。

時間をムダにしない人の習慣
堀田 秀吾(ほった・しゅうご)
言語学者(法言語学、心理言語学)。明治大学教授。1999年、シカゴ大学言語学部博士課程修了(Ph.D. in Linguistics、言語学博士)。2000年、立命館大学法学部助教授。2005年、ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了、2008年同博士課程単位取得退学。2008年、明治大学法学部准教授。2010年、明治大学法学部教授。司法分野におけるコミュニケーションに関して、言語学、心理学、行動経済学、脳科学などのさまざまな学術分野の知見を融合した多角的な研究を国内外で展開している。著書に『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(クロスメディア・パブリッシング・共著)、『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)など。『科学的に証明された すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)は30万部を超えるベストセラー。

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