本記事は、堀田 秀吾氏の著書『時間をムダにしない人の習慣』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

時間をムダにしない人の習慣
(画像=polkadot/stock.adobe.com)

飽きる前に休む

集中力が落ちるのは、疲れるからではなく飽きるから

「仕事でも勉強でも、集中するというのは、わき目もふらずにその作業を続けることだ」「集中力が切れるのは、脳が疲れたときだ」。そう思っている人は少なくないでしょう。ところが、実はその考え方こそが集中力を下げています。
イリノイ大学アーバナシャンペイン校のアリガとレラスは、「集中力が切れるのは脳のエネルギーが減るから」という定説に対して新しい説を唱えました。
彼らによると、集中が続かなくなるのは、脳が同じ目標に慣れてしまい、「この作業をがんばろう」という目的を少しずつ忘れてしまうためだといいます。
つまり、集中力が落ちるのは「疲れ」ではなく、「飽き」なのです。
ちなみに、彼らが研究で、被験者たちに単調な課題を長時間続けさせたところ、集中力は時間とともに下がりましたが、途中で「数字を思い出す」など別の刺激を短時間挟むと、集中力の低下が起こらなくなりました。
わずか数秒の切り替えが、脳を再び活性化させた。
つまり「休む」とはサボることではなく、脳を再起動することなのです。

25分集中して5分休むと集中力を維持できる

この考え方を実践的に仕組み化したのが、「25分間の集中作業と5分間の短い休憩を繰り返すことで、集中力を維持する」というポモドーロ・テクニックです。
生みの親は1980年代のイタリアの大学生、フランチェスコ・チリロ。
彼は「集中力が弱い」と悩む普通の学生で、試験勉強に身が入らず自己嫌悪に陥っていました。ある日、「せめて10分だけでも集中できるか試してみよう」と思い立った彼は、キッチンにあったトマト型のタイマーで時間を測ってみました(ポモドーロとは、イタリア語で「トマト」の意味です)
そして10分、15分、20分と少しずつ時間を伸ばしていったところ、彼がもっとも心地よく集中できた時間が25分だったのです。
このメソッドは、「集中の天才」が作ったのではなく、集中できなかった一人の学生の工夫から生まれたわけです。
また、理化学研究所の水野の研究では、45分の作業中に脳の活動を観察すると、やる気をコントロールする側坐核の働きが次第に鈍っていくことが確認されました。
ところが、被験者に「残り10分です」と残り時間を伝えるだけで、報酬を得たときに反応する脳の部位が強く働き出したのです。
同時に、「疲れた」と感じるときに活動する脳の部位の反応は低下。
つまり、時間を区切ることが脳をリフレッシュさせ、集中を「もう一度立ち上げる」きっかけになるのです。

今すぐできる集中力を維持するための3ステップ

これらの研究からわかるのは、大事なのは「集中し続ける」ことではなく、「集中の波をつなぐ」ことだということです。
25分集中し、5分休む。区切り、休み、また始める。
こまめに脳を休ませながら進む人のほうが、結果的に長く、深く、効率よく走り続けられるのです。
ですから、集中力を維持させたい人は、ぜひ次の3ステップを実践してみてください。

【STEP1】25分だけ集中する
最初から長くやろうとしてはいけません。
タイマーをセットして、25分間「だけ」没頭してみましょう。

【STEP2】5分だけ完全に離れる
25分集中したら、5分休憩します。
そのときも、座ったままスマホを見るのではなく、立ち上がって違う動作をしてみましょう。
コーヒーを淹れる、軽く歩く、深呼吸をする……。
とにかく、脳を切り替えることが目的です。

【STEP3】「あと○分」と声に出して区切る
作業を再開したら、「あと10分だけ」「あと3問だけ」と残りを具体化。
この声がけが、脳の「やる気スイッチ」ともいえる側坐核をもう一度活性化させます。

特に、納期や締め切りが迫っているときなどは、休憩をとる時間を惜しいと感じるかもしれませんが、そういうときにこそ、集中と休憩のメリハリをつけ、効率を上げましょう。

25分集中したら5分休憩。
これを繰り返して集中の波をつなげよう。

時間をムダにしない人の習慣
堀田 秀吾(ほった・しゅうご)
言語学者(法言語学、心理言語学)。明治大学教授。1999年、シカゴ大学言語学部博士課程修了(Ph.D. in Linguistics、言語学博士)。2000年、立命館大学法学部助教授。2005年、ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了、2008年同博士課程単位取得退学。2008年、明治大学法学部准教授。2010年、明治大学法学部教授。司法分野におけるコミュニケーションに関して、言語学、心理学、行動経済学、脳科学などのさまざまな学術分野の知見を融合した多角的な研究を国内外で展開している。著書に『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(クロスメディア・パブリッシング・共著)、『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)など。『科学的に証明された すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)は30万部を超えるベストセラー。

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