本記事は、加藤 ヒロ氏の著書『書いて「億売り人」になる』(フォレスト出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

書いて億売(おくう)り人になる
(画像=Blue_Studio/stock.adobe.com)

読者の心を開き、信頼を築く「共感とわかりやすさ」の技術

「売れる文章」を構築するための、具体的な実践スキルの世界へと足を踏み入れていきましょう。
あなたがどれほど素晴らしい価値提案(ベネフィット)を考え出し、どれほど綿密なリサーチを行ったとしても、それが読者の心に届かなければ、すべては水の泡となってしまいます。
読者の心にメッセージを届けるためには、まず、閉ざされている心の扉を、そっと、しかし確実に開いてあげる必要があります。
そのための鍵となるのが、この最初のスキル―「共感」と「わかりやすさ」の技術です。
「共感」によって読者の心に寄り添い、信頼の扉を開き、「わかりやすさ」によってあなたのメッセージをストレスなく、心の奥底まで届ける。
この2つは、あらゆる文章スキルの土台となる、最も重要で基本的な技術です。

「億売り人」は小学生に語りかけるように書く

私が文章を書く上で、常に自分に課している絶対的なルールがあります。
それは、「小学生にも伝わる言葉で書く」ということです。

これは、決して内容のレベルを低くするということではありません。
それどころかむしろ逆で、どれほど専門的で複雑な内容であっても、その本質を誰にでも理解できるように、平易で、わかりやすい言葉に翻訳して届ける、ということです。
なぜなら、私たちは、読者があなたの文章を、一字一句集中して、熱心に読んでくれるなどと、決して期待してはならないからです。

現代人は、あまりにも多くの情報に囲まれ忙しい状況です。そのため、彼らはスマートフォンをスクロールしながら、電車の吊り革に揺られながら、家事の合間のわずかな時間で、あなたの文章を斜め読みしているのかもしれません。
そんな状況で、難しい専門用語や、回りくどい表現、一文が長々と続くような文章を目にしたら、どうなるでしょうか?
読者の脳は瞬時に「これは読むのが面倒だ」「理解するのにエネルギーがいる」と判断し、あなたの文章を閉じてしまうでしょう。
あなたの貴重なメッセージを、読者の脳にストレスなく届けるために、私が実践している「わかりやすいライティング」の基本原則をいくつかご紹介します

1文1メッセージを徹底する
1つの文には、1つの情報だけを込めるのが基本になります。
伝えたいことが複数あるなら、いさぎよく文を分けましょう。

1文は、短く、読みやすくシンプルに
1文が長い文章は、それだけで読者の集中力を奪います。
主語と述語を近づけ、不要な単語を削ぎ落とします。リズミカルでテンポの良い文章を心がけましょう。

専門用語を避ける
あなたにとっては当たり前の言葉でも、読者にとっては未知の言葉かもしれません。専門用語は使わないか、使う場合は必ずわかりやすい言葉で補足説明をします。

漢字を多用しない
漢字の多い文章は、それだけで読者の読む気をなくします。漢字が連続で並んでいて、ひらがなのほうが読みやすい場合は、ひらがなを上手く使いましょう。

視認性を意識する
一文の行数がとても長く、改行がされていない文章や句読点が打たれていない文章は、視認性が悪く、とても読みにくいものです。
視認性の良さというものも読みやすい文章にとってとても重要です。

このように「徹底的にわかりやすく書く」ことは、単なるテクニックではありません。それは、「読者の貴重な時間を奪わない」という、書き手としての最大の「思いやり」であり、「他者貢献」の表れなのです。

「共感の橋」を架ける技術

あなたの文章が、どれほどわかりやすく、読みやすいものであったとしても、それだけではまだ、読者の「心」を本当に動かすには不十分です。

なぜなら、その段階では、読者はあなたの言葉を、まだどこか他人事として、少し離れた場所から冷静に眺めているに過ぎないからです。
この、読者とあなたの間にある見えない心理的な壁を取り払い、「この人は、私のことを本当にわかってくれている」「この文章は、まさに私のために書かれているのかもしれない」と強烈な当事者意識を持ってもらうための鍵こそが、「共感」です。

共感とは、一言で言えば、読者に「わかる、わかる!」「本当にそうなんだよ」と、心の底から感じてもらうこと。あなたの言葉が、読者が心の奥で抱えている感情や考えと、ぴたりと重なったとき、そこに初めて「共感」という名の温かい橋が架かり始めるのです。
では、どうすれば、この「共感の橋」を架けることができるのでしょうか?
それは、決して読者の心を操るようなテクニックを使うことではありません。むしろその逆で、徹底的に相手の立場に立ち、その心に深く寄り添い、思いやりをもって語りかけることに尽きます。
例えば、あなたが日々の仕事や将来に悩むビジネスパーソンに向けて文章を書くとしましょう。
いきなり「私のノウハウは素晴らしいですよ!」と語り始めるのではなく、まずは相手が置かれている状況に、深く思いを馳せるのです。

「毎日、朝早くから満員電車に揺られて会社へ向かい、夜遅くまで仕事に追われる。家に帰れば、家族との時間もままならず、ただ眠るだけの日々。そんな毎日の中で、ふと心のどこかで『本当に、自分の人生はこのままでいいのだろうか?』と感じる瞬間が、誰にでもあるのではないでしょうか」

このように、多くの人が共通して抱えるであろう、言葉にならない思いをあなたが代わりに言葉にしてあげる。それは、読者にとって「そうなんだよ、よくぞ言ってくれた!」という、深い理解と安堵の感情を生み出します。さらに、こう続けます。

「とはいえ、大切な家族のため、そしてご自身の将来のため、すぐに今の生活を投げ出すわけにもいかない。何かを変えたいと願いながらも、目の前の現実との間で板挟みになり、もどかしさを感じてしまう。そう思ってしまうのも、決して無理のないことだと思います」

これは、単に同意を求めているわけではありません。相手の葛藤や苦しみを「その通りですよね」と受け止め、「そう感じてしまうのは、あなたが弱いからではないのですよ」と、その心を優しく肯定してあげる行為です。

このように、相手への深い思いやりから生まれた言葉で、読者が「はい、その通りです」「(この筆者は)私のことをわかってくれている」と、自然に心の中で頷けるような「共通の土台」を一つひとつ丁寧に築いていくのです。
そうすることで、読者の心の中には、あなたに対する警戒心ではなく、「この人は、私の味方だ」「この人になら、安心して悩みを打ち明けられるかもしれない」という、温かい信頼感が着実に育まれていきます。
そして、その信頼関係という強固な土台が築かれて初めて、あなたが本当に伝えたいメッセージや、読者の人生をより良くするための具体的な提案が、相手の心にスッと染み込み、真剣に受け止めてもらえるようになります。
読者があなたの言葉に頷くのは、テクニックによって「言わされた」からではありません。あなたの深い思いやりと共感に触れ、心が自然に「YES」と答えているのです。

「わかりやすさ」が読者の思考の負担を軽くし、メッセージをスムーズに届けるための「頭への配慮」であるならば、「共感」は読者の心の壁を取り払い、あなたを信頼できるパートナーとして受け入れてもらうための「心への配慮」です。

この2つの技術を車の両輪として機能させること。それこそが、読者の心を開き、あなたの言葉を深く、そして確実に行動へとつなげるために重要で、最初に身につけるべき実践スキルなのです。

書いて「億売り人」になる
加藤 ヒロ(かとう・ひろ)
セールスライター。
サラリーマンとして15年間勤務した後、2007年に独立。2015年からはセールスライターとして本格的に活動を開始し、これまで携わってきたプロモーションの累計売上は15億円を超える。
現在は、現役セールスライターとして活動、企業・出版社のプロモーション支援を行う一方、セールスライターの育成にも注力。ライターを養成する「セールスライティングアカデミー」を主宰し、チーム運営および講師として後進の指導にも力を入れている。
埼玉県、岐阜県、沖縄県など、自然の中での多拠点で活動中。

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