本記事は、永井 竜之介氏の著書『13歳からのマーケティング』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
「ちょうどいい値段」はいくら?
〜クリスマス商戦〜
買いやすい値段に合わせて売ればいい
商品・サービスに対して「ちょうどいい」と感じる値段は人それぞれで、タイミングや状況によっても変わりやすいものです。ただ、多くの人が「ちょうどいい値段」に感じやすい、全体の相場はあります。
多くのジャンルで少しずつ値上げがつづいていますが、自販機の飲み物はペットボトルなら160円、缶なら130円など、習慣的に受け入れられている値段や自分の経験からわかっている値段などいろいろあるものです。
また、他の人たちが大体いくら使っているかという“みんな”の傾向をチェックして、「なるほど」「これくらい使えばいい」と考え、ちょうどいい値段を確認することもよくあるでしょう。この“みんな”が、自分の周囲にいる具体的な“みんな”か、SNS上の見知らぬ“みんな”か、雑誌やテレビが特集する“みんな”かによって、実は結構あやふやで変わりやすく、操作もされやすいものであることは知っておきましょう。
クリスマスのプレゼントにちょうどいい値段
クリスマスは、多くの人がプレゼントなどにお金を使うタイミングで、さまざまな商品・サービスが競い合うように売られることから「クリスマス商戦」と呼ばれます。
クリスマスのプレゼントにちょうどいい値段にも、“みんな”の相場があります。友だちへのプレゼントは約3,000円、親から子へのプレゼントなら子の年齢に応じて、幼児には3,000円〜5,000円、小学生には3,000円〜1万円、中学生には5,000円〜1万円だといいます。カップルや夫婦間のプレゼントでは、高校生は約5,000円、大学生は約1万円、社会人では2万円を超えるといった具合に上がっていきます。
商品・サービスを「売る側」は、こうした買う側にとって「ちょうどいい値段」を調べておき、それに合わせたちょうどいい値段にすることで、お客から選ばれやすくなります。
「ちょっと高い」を買いたくなる理由
〜コンビニスイーツ〜
いつでも安い方が選ばれるわけじゃない
あなたは、いつでも、何でも、「安く買いたい!」と思いますか?
「買う側」のお客としては、できれば「良いものを安く買いたい」と思うのが自然ですよね。もちろん、「お得に買いたい」や「節約したい」と思って買いものをする場面の方が多いでしょう。でも、本当に「いつでも、何でも」ですか?
ゴールデンウィークやクリスマスなどのイベント時期。入学式や卒業式といった晴れの行事。誕生日やパーティーなどの特別な日。あるいは、勉強・スポーツ・仕事などで特に頑張った日。こうした場面で、趣味のグッズを買ったり、洋服やコスメを買ったり、食事をしたりするときには、多くの人が「せっかくだから」「こんなときくらいは」と思って、ちょっと高い商品やサービスを買いやすくなる傾向にあります。
特に増えているのが、頑張った自分や誰かへの「ごほうび」の買いものです。頑張った自分や誰かに「ごほうび」をあげたいと思って、いつもよりもちょっと高いものを選びたくなるのです。
このとき、人は「安い」や「コスパが良い」では逆に満たされない気持ちになって、手の届くくらいの「ちょっと高くて良いもの」が欲しくなります。だから、相場よりもちょっと割高感のある高めの値段がピッタリになるわけです。
アイスの「ハーゲンダッツ」は、自分へのちょっとしたごほうびとして選ばれつづけてきた商品の1つですね。
コンビニスイーツも、プチごほうびの1つです。2009年にローソンで発売された「プレミアムロールケーキ」が火付け役になり、ちょっと高くて美味しいコンビニスイーツが人気になりました。ローソンだけでなく、セブンイレブンやファミリーマートなどコンビニ各社が競い合うように「プチぜいたく」なスイーツをつくっていき、いまではすっかり定番の人気ジャンルになっていますね。
300円を超えることも珍しくないコンビニスイーツが売れつづけている背景にも、「今日は頑張ったから」「自分へのごほうびに」といった人の本音があります。
専門はマーケティング戦略、消費者行動、イノベーション。産学官連携活動、企業団体支援、企業との共同研究および企業研修などのマーケティングとイノベーションに関わる幅広い活動に従事。主な著書に『人の“行動”と“心理”が見えてくる 13歳からのマーケティング』(総合法令出版)、『マーケティングの鬼100則』(ASUKA BUSINESS)、『分不相応のすすめ 詰んだ社会で生きるためのマーケティング思考』(CROSS-POT)などがある。
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