本記事は、永井 竜之介氏の著書『13歳からのマーケティング』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

人の“行動”と“心理”が見えてくる 13歳からのマーケティング
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

うまく広める仕掛けをつくろう
〜『名探偵コナン』〜

「広め方」を選んで組み合わせよう

人の“行動”と“心理”が見えてくる 13歳からのマーケティング
(画像=人の“行動”と“心理”が見えてくる 13歳からのマーケティング)

“広める”では、「広め方」を選ぶことになります。

広め方は、目的に合わせて選んだり、商品・サービスに合わせて選んだり、そして、ターゲットの人たちに合わせて選んだりします。この3つの「選ぶ」はどれも大切ですが、特に外せないのは、ターゲットに合わせて広め方を選ぶことです。

ターゲットの人たちが、普段、どんなところで情報を見たり探したりしているかをチェックしたうえで、上手く情報を仕掛けることはとても重要です。
見ないところに広告を出しても、ターゲットの目に入らず、無駄に終わってしまいますよね。だから、普段、テレビやラジオをよく見ている人たちに向けてなら、テレビやラジオに広告を出すのがいいですし、SNSを好む人たちに向けては、SNSに情報を仕掛けるのがいいことになります。

情報の探し方についても注意が必要です。その理由は、世代によって、情報の探し方がどんどん変化しているからです。シニア世代は、テレビやラジオ、新聞から情報を探すことがまだまだ多いです。それよりも下の30〜50代では、テレビなどの昔からあるメディアと、インターネットやSNSの新しいメディアを、どちらも使う人たちが多いでしょう。

10〜20代の若い世代は、新しいメディアを好む人が多いです。インターネットで検索して探すことを、Googleの利用が多いことから「ググる」と呼びましたが、それも古くなってきています。若い世代では、インターネットのウェブサイトで検索する人が減っていて、その代わりにSNSから情報を探すことの方が主流になっています。今後はさらに、自分で「SNSで探す」から、「AIに探してきてもらう」に変化していくと考えられますね。

「バズる」でお得に広める

人の“行動”と“心理”が見えてくる 13歳からのマーケティング
(画像=人の“行動”と“心理”が見えてくる 13歳からのマーケティング)

「広める」は、会社から人に、一方通行に情報を発信するだけではありません。会社からの情報を受けて、「すごい」「面白い」「お得」「感動した」「共感した」などと感じた人たちは、「他の人にも共有したい!」「自慢したい!」などと思ってクチコミを発信します。そのクチコミを、また他の人たちが受け取り、さらにクチコミが広がっていきます。これが大きくなると、「バズる」になるわけです。

特にSNSでバズると、すごい速さでグングン情報が広がります。「SNSで話題」は、テレビでも後から取り上げられやすく、テレビ効果でさらにバズっていきます。
これは、会社にとって安いコストで情報を広められて、とてもお得です。そのため、さまざまな「広め方」を組み合わせて「バズる」を狙うことが、どんなジャンルのビジネスにおいても「広める」の基本になっています。

1994年の連載開始以来、大人気のマンガ『名探偵コナン』は、2017年に発行部数が2億冊を超えました。そのタイミングで2つのキャンペーンが行われました。
1つは、マンガと同じ絵柄で似顔絵をつくることができるサービス「コナン顔メーカー」です。専用のホームページで、輪郭と目や口などのパーツを選んで似顔絵をつくり、つくった似顔絵を応募して当選すると、漫画の中に容疑者として登場できるというキャンペーンでした。
このデジタルのキャンペーンと組み合わせられたのが、もう1つで、新聞を使ったリアルのキャンペーン「2億冊事件」でした。「あなたもコナン顔メーカーで自分の顔をつくって、物語に登場してみよう」と宣伝する広告を、読売新聞の朝刊で全国に発信し、都内では号外も配られました。
リアルとデジタルの相乗効果で、この2つのキャンペーンはSNSで7,000万人以上に見られ、似顔絵をつくった人は200万人、応募は40万人を超えて、コナン風の似顔絵がSNSにたくさん投稿されて広まりました。
『名探偵コナン』は、2025年の劇場版『名探偵コナン隻眼の残像』が公開され、それに合わせてネトフリックスで過去作すべてが配信されるタイミングで、また面白い「広める」を仕掛けました。
渋谷駅前(スクランブル)交差点近くのビルの壁一面を丸ごと広告でおおい、アニメ内の「毛利探偵事務所」と「喫茶店ポアロ」が渋谷の街に現れたように見せたのです。1階にはおなじみのキャラクターたちが描かれ、多くの人たちが写真を撮り、投稿・拡散して、SNSで大きな注目を集めました。

13歳からのマーケティング
永井 竜之介(ながい・りゅうのすけ)
高千穂大学 商学部 教授
専門はマーケティング戦略、消費者行動、イノベーション。産学官連携活動、企業団体支援、企業との共同研究および企業研修などのマーケティングとイノベーションに関わる幅広い活動に従事。主な著書に『人の“行動”と“心理”が見えてくる 13歳からのマーケティング』(総合法令出版)、『マーケティングの鬼100則』(ASUKA BUSINESS)、『分不相応のすすめ 詰んだ社会で生きるためのマーケティング思考』(CROSS-POT)などがある。

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