本記事は、永井 竜之介氏の著書『13歳からのマーケティング』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
「人がどう動くか」をよく知ろう
〜食品スーパーの売り場〜
人について考えることが「成功の近道」
ここまで「つくる」、「届ける」、「広める」、そしてブランドのさまざまなテーマと事例を取り上げながら、マーケティングについて学んできてもらいました。楽しみながら、やさしく、深く、面白く、読み進めてもらえていたら嬉しいです。
私たち自身のことでもある「消費者」について、さらに深く、より自分事として、理解を深めていきましょう。
ビジネスは、人がつくり、人に届けるものです。
だから、消費者である「人」が、どう考えて、どんな気持ちになって、どんな行動をするのかを知れば知るほど、考えれば考えるほど、ビジネスは成功に近づけるようになります。
人が、商品・サービスを「利用してみよう」と思って買ったり、買ったものを実際に使ってみて「また買おう」と感じてリピーターになったりする場面は、ビジネスにとってとても重要です。
人が商品を買おうと思う瞬間
人はお店を訪れて、売り場に並んだ商品を見たとき、多くの場合で「どれを選ぶか」をパッと決めます。人によって、商品によって、どれにしようか長く悩むこともあるかもしれませんが、食品スーパーやドラッグストアでは、およそ3〜7秒の間に「コレが良さそう」や「あっ、CMで見たことあるからアレにしよう」などと考え、すぐに商品を選びやすいことがわかっています。だから、その「パッと見」で選ばれやすいように、売り場で目立つデザインにしたり、記憶に残る広告にしたりすることが大切になります。
また、店に行く前にSNSのクチコミを調べておいて、何を買うのが良いかをあらかじめ決めておく人も増えています。特に、イヤホンやドライヤー、テレビやエアコン、といった家電を買うときには、先に調べて買いたいものを決めておき、お店では実物の最終確認だけをして買う人が多いでしょう。この場合、ネットやSNSで良いクチコミが増えるように、マーケティングを仕掛けておくことが大切になります。
新商品をつい買いたくなる理由
お店の中で、人はどんな順番で何分くらい歩くか……。お店の売り場を、人はどんな順番でどれくらい見るか……。こうしたお客の歩き方や目の動きについて実際に調べてみて、確かめながら店や売り場をつくっていることが多いです。
売り場で人が、「見やすい高さ」や「手を伸ばしやすい高さ」も調べてあります。顔よりも上で見上げなければいけなかったり、低くてしゃがまないと取れなかったりする場所に置かれている商品は、なかなか思うように売れません。人の肩からお腹の高さの場所は、見ようとしなくても、自然に目に入り、手を伸ばしやすい高さです。
だから、いろいろな会社が、この「商品を見やすく、取りやすい場所」をほしがるわけです。特に新商品の発売となったら、いろいろな会社の営業の人たちが、一つひとつのお店を訪れて、「新商品が出るので、売り場のココを使いたい」とお店に交渉して、商品が売れやすい場所に自分の商品を置くために頑張ります。
お客がつい買いたくなる仕掛け
スーパーの生鮮食品の売り場であれば、肉や魚が並んでいる横には、一緒に調理しやすい食材や調味料が置かれていることが多いはずです。そうすると、「どんな料理をつくろうか」と考えながら買い物をしているお客が、「あ、コレいいね」と思って「合わせ買い」をしやすくなるからです。
また、お客の多い時間帯にレジに行列ができることを予想して、列で待っている間に「最後にもう1つ」とカゴに追加したくなるお菓子や雑貨などの商品がレジ横に置かれていることもよくありますね。
人が「つい買いたくなる」ように、店や売り場はつくられています。もちろん食品スーパーだけでなく、コンビニも百貨店も、どの店も考えてつくられています。リアルの店だけでなく、通販サイトなどのデジタルの店も同じように、パソコンやスマホの画面のどこが見られやすいか、クリックやタッチをされやすいかなどを考えてつくられているのです。
専門はマーケティング戦略、消費者行動、イノベーション。産学官連携活動、企業団体支援、企業との共同研究および企業研修などのマーケティングとイノベーションに関わる幅広い活動に従事。主な著書に『人の“行動”と“心理”が見えてくる 13歳からのマーケティング』(総合法令出版)、『マーケティングの鬼100則』(ASUKA BUSINESS)、『分不相応のすすめ 詰んだ社会で生きるためのマーケティング思考』(CROSS-POT)などがある。
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