本記事は、大野 萌子氏の著書『いつも感じがいい人はこんなふうに話している』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。
「でも」という口ぐせの背景にあるヤバい心理
無意識のうちに相手を否定する言い方はほかにもあります。
私の知っている人に、会話の中でやたら「でも」を使う人がいます。
「今日はすごく暑いね」
「でも朝は涼しかったよ」
深い意味はなくて、どちらかといえば言葉のつなぎとして使っているのかもしれません。
「昨日のイベントは予想より人が多かった割には、スムーズに進んだよね」
「でも、来場者の読みがちょっと甘かったよね」
仕事だとこんな言い方をすることもあります。
よくある会話かもしれませんが、気をつけたほうがいいのは、「でも」という言い方は基本的には、前の言葉を打ち消す、否定のための言葉であるということです。
「でも」が口癖になっていると、何気ないやり取りでも相手に否定的な印象を与えがちです。
友達と映画を見に行った帰りに、
友人 「あの映画すごく面白かった!」
自分 「でもちょっと長かったかな」
悪気はなくとも、ちょっと話の盛り上がりに冷や水をかけているかもしれません。
同僚 「仕事だいぶ進んだね」
自分 「でもあともう少し頑張らないと」
前向きな返事のつもりが、これではマイナスの響きを含んでしまいます。
会話の第一声が「でも」だと、無意識のうちに相手を否定することになるのです。
返答のひと言目を「でも」などの否定の言葉で返すのは、感じが悪い人が言いがちな代表例です。
人は時に、相手より優位に立ちたい、あるいは主導権を握りたいという気持ちから「でも」を使います。いわゆる“マウントを取りたい”タイプや、周囲を従わせたい“支配欲”のある人が口にしがちです。
「私はマウントなんて取らない」「誰かを従わせようなんて考えたこともない」そう思うかもしれません。
しかし、「でも」をよく使う人は、マウントを取るタイプの人だけではありません。
意見を言いたいけれど真正面からぶつかるのが怖い── そんな気弱さが、「でも」を口にさせることがあります。相手の意見を受け止めるフリをしつつ、反論するための“クッション言葉”として「でも」を口にしてしまうのです。
とはいえ、遠慮のつもりでも、実際は相手を否定してしまうわけですから、やはり「でも」を連発するのは感じが悪いわけです。
「いや」「無理」「ダメ」などのあからさまな拒絶のフレーズよりは、「でも」は柔らかく聞こえます。
しかし根底にあるのは同じ“否定”です。
繰り返されると、相手は「この人と話すと心がざわつく」と感じ始めます。なぜなら、ビジネスシーンで注目される心理的安全性が損なわれるからです。
心理的安全性は、近年のビジネスシーンでよく聞かれるキーワードです。職場やチームにおいて「自分の意見や感情を表現しても、否定や攻撃を受けず、立場や評価が脅かされない」という安心感を指します。
つまり「ここで発言しても笑われない」「失敗しても非難されない」と思える環境のことです。
心理的安全性があると、人は自由に発言し、学び合い、協力できるため、チームの成果が高まります。欠けると、沈黙や萎縮が生まれます。
2012年にGoogleが、生産性の高いチームは心理的安全性が保たれている、という趣旨の研究結果を発表し、話題になりました。
これはチームだけの話ではありません。人間関係全般に通じます。
「この人となら安心して話せる」と思える相手となら、もっと話したくなるものです。
逆に、否定的なことばかり言う人とは、安心して話せないので自然と距離を置くようになります。
私は、感じのいい人とは「心理的安全性が保たれている人」だと思います。相手を否定せず、偉ぶらず、プレッシャーを与えない人です。
感じのいい人になりたければ、「この人とは話しやすい」と思われる人になることです。
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