本記事は、新井 亨氏の著書『トップ1%の富裕層が子どもに伝える 世界一のお金の教育』(KADOKAWA)の中から一部を抜粋・編集しています。
なぜ日本人はお金の話を避けて生きるのか
日本では、お金の話をすると、場の空気(雰囲気)が一気に変わります。収入の話をすれば「生々しい」と言われ、投資の話をすれば「危ないことをしている」と思われ、お金が増えた(稼げている)と語れば「自慢」と受け取られる。だから、多くの人が無意識のうちに、お金の話を避けるようになります。
これは個人の性格の問題ではなく、長い時間をかけて、日本社会に根付いた文化です。戦後の日本では、「真面目に働くこと」が最も尊い価値とされてきました。努力、忍耐、責任感は確かに、日本を支えてきた大切な美徳です。
しかし、その一方で、お金に関する話題は「欲深いもの」「下品なもの」として扱われるようになりました。
お金を語るより、仕事の内容を語り、収入を語るより、努力について語り、「お金の話はしないのが普通」という空気が生まれました。
家庭でも同じで、親が子どもに対して、仕事の話はしても、収入の話はしない。生活費の話はしても、資産の話はしない。
「子どもが知る必要はない」とお金の話題は家庭の外へ追いやられてきました。
しかし、その結果、何が起きたでしょうか。
お金の話をしないまま大人になり、お金の知識を持たないまま社会に出て、働き始めてから初めて、税金の重さ、社会保険料の負担、生活費の現実に直面して絶望する。結婚して家庭ができて将来の不安が増えても誰にも相談できない。
お金の話をする文化がない日本では、気づけば、「分からないけど、とりあえず働く」という状態が当たり前になっていますが、とても危険なことです。
なぜなら、お金は「知らない人ほど損をする」仕組みだからです。税金も、保険も、投資も、知識がある人は得をし、知らない人は損をする選択を続けます。
それでも、日本では「知らないこと」が恥ではなく、「お金の話をすること」の方が恥だと感じる人が多いため、お金の話を避ける文化は、子どもにもそのまま引き継がれます。
親が避けている話題は、子どもが社会人になっても無意識に避けるようになります。
お金の話はしない、投資の話はしない、収入や資産の話はしないまま大人になってしまうので、お金を扱う力が身につかないのは当然です。
ここで、少し厳しいことを言いますが、お金の話を避けるという行動そのものが、すでに「貧しくなる選択」になっているのです。
家庭でお金の話をしなければ学ばず、学ばないので増やすことができない。増やせなければ、労働収入のみに依存して働き続けるしかない。
この流れが、世代を超えて繰り返されてきました。そして今、その影響が社会全体に広がっています。働いても生活が楽にならず、その結果将来が見えず、お金の不安が消えない。不安はあるのに、お金の話は避け続けて後回し(考えないよう)にする。
これは、問題の根本を放置して直視しないまま生きることと同じです。お金は、汚いものでも、危険なものでもありません。人生を守るための道具であり、選択肢を広げる力です。
お金を理解しないままでは、子どもに未来を教えることはできません。家庭の中で、お金の話をして収入や支出の仕組みを共有し、投資や資産について一緒に考えるだけで、家庭の空気は変わります。
お金の話は隠すものではなく、学び、考え、扱うものだと伝わります。日本がもう一度豊かさを取り戻すために必要なのは、特別な制度でも、難しい政策でもなく、ただ家庭の中で、お金の話が普通になることです。
億りっ子が育つルール
お金の話を避ける家庭では、お金の力は育たたず、豊かさを遠ざける。
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