③高齢化社会における不動産


2011年3月11日に発生した、東日本大震災は、不動産に対する概念を変えました。それまで高級住宅街としてもてはやされてきた場所が、地震にたいする強度という評価尺度で見ると必ずしも価値が見出せるとは言えないと認識されたからです。
特に、高齢者が気をつけなければいけない不動産の条件が明確になったことは特筆すべきです。以下に、高齢者が気をつけるべき3点を整理します。

1.埋立地のマンションや戸建てであって、駅から10分以上離れた場所は避ける。
2.マンションの場合、10階より上の階は避ける。
3.車がすれ違える道が整備されていない場所の不動産は、避ける。

1.は、生活になんらかの支援が必要になった場合、支援の手が届きにくくならないように気を付けるポイントです。災害時でなくても電車で移動が難しい場所に住居を構えると、受けられる支援が限られてしまいます。地盤の強さは、建物の脆弱性だけでなく、道路やその他のインフラの脆弱性ともリンクします。

2.は、震災によって明らかになった点でしょう。一時的であれ、断続的であれ、エレベーターが使えない状況で避難できない、外に出られないという状況に陥ってしまうのはおおよそマンションの10階より上の階です。高層マンションへの憧れなどは見直した方が良いのかもしれません。

3.は、支援や救助が届きやすいインフラが整っているかの目安になります。
団塊の世代が後期高齢者になる数年後、戸建からマンションへと住み替える人たちも増えるでしょう。人口が減るのですから、今よりも都市計画におけるゾーイングが進むことは明らかです。

では次の章で、人口が減りゾーイングが進んだ世界で価値があるマンションや戸建て等の不動産の条件を整理します。


④20年~30年後に価値が見出せる不動産、住環境の条件


少子高齢化のなかでゾーイングが進むと、これまで戸建にこだわっていた層の住み替えや、相続による住み替えが発生します。少子高齢化社会となった社会で価値が残る不動産の条件は、次の4点です。

1.地盤が強い(埋立地でない)こと。
2.駅から10分以内であること。
3.車がすれ違える幅の道路が整備されていること。
4.24時間365日チーム体制で動いている医療機関が地域内にあること。

この4つの条件は、高齢者であっても、子育て世代であっても共通して望ましいとされる条件です。新築物件の広告に惑わされることなく、20年後、30年後に人がどう暮らせるかをイメージして不動産を選びましょう。
これまでは、駅に近くその地域でランドマークとなるマンション物件などが良いとされていた時代もありました。しかし、人間の暮らしに目を向けると、本質的な利便性と華やかさは必ずしも一致しません。そして、地震がいつ起こるかは、誰にもわかりません。仮に災害に見舞われても揺るがない価値をわすれずに、不動産選定を行うのも良いと思います。

今後不動産市場の需要は、団塊の世代に再び目を向けることになるでしょう。団塊の世代は、人生経験社会経験ともに豊富です。
目の肥えた彼らのお眼鏡にかなうマンション物件など、それらが今後価値が見込める物件と言えるのかもしれません。

BY nao

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