認知症など神経系疾患の医薬品に中枢神経に働きかけて治療を図るものがあり、製薬メーカーも取り組みを進めている。この中枢神経領域剤として、大日本住友製薬 <4506> が、新薬の発売に向けて着々と手を進めつつある。

同社が進める中枢神経領域剤は抗うつ剤、統合失調症治療剤などを含む分類で、キーパーソン病やてんかんの治療薬もこの種類だ。市場調査大手の富士経済も、市場拡大を予測。抗うつ剤、統合失調症治療剤については患者数の増加や新薬の発売が見込まれることから、2013年の市場規模は5393億円だったところから、2022年までに6617億円へ成長すると見込まれている。

大日本住友製薬が開発を進めるのは、統合失調症の治療薬で、臨床試験を着々と進めている。統合失調症の治療薬に用いられる医薬品には主に「定型抗精神病薬」と「非定型抗精神病薬」の2種類があるが、同社が進めるのは非定型抗精神病薬・ルラシドンの試験だ。

ルラシドンで進められている臨床試験は、安全性と有効性の検証を狙いとする臨床試験は通常、3段階で行われる。全てのフェーズを終了し、厚生労働省への申請が行われる。その後、審査を受け同省からの承認を経て初めて国内での販売が可能になる。

公表された同社の資料によると、ルシラドンの臨床試験においては、第3フェーズの臨床試験が完了。試験では統合失調症の治療における有効性が確認されているとのことだ。同社は「ルラシドンの統合失調症における有効性を示す最も適したデータであると考えている」としている。 同結果を受けて、ルシラドンの統合失調症の治療薬としての申請に進むことが予想されている。

さらに、統合失調症治療薬の分野は患者数の拡大などから、市場の活発化が見込まれており、大塚ホールディングス(製薬) <4578> やイーライリリー、ヤンセンファーマなども治療薬の製造、販売を進めている。大日本住友製薬の臨床試験の完了は、申請・承認取得まで問題なく推移すれば、同領域で存在感を高めることにつながりそうだ。

大日本住友製薬では、他疾患の治療用の中枢神経領域剤の開発も進めており、意欠如・多動症(ADHD)治療剤の研究開発も進める。治療剤として「dasotraline」の臨床試験も進めており、第2フェーズまで完了しており、今後さらに精神疾患治療薬の開発を進める構えだ。

(ZUU online)

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