昨年、スカイマーク <9204> の株価は大きく動いた。特に7月の終わりにエアバスから違約金の請求をされてからの動きは激しかった。もともとスカイマークはLCCの台頭などで業績不振に陥っており、2011年の秋ごろからズルズルと株価は下げ基調となっていた。
そこへ昨年の7月、エアバスから契約解除と700億円という巨額な違約金請求があり、さらに株価は急落した。一時期1,400円を付けた株価は8月12日に2014年の最安値である153円をつけたのだ。高値からほぼ10分の1の水準である。その後、エアアジアによる救済が報じられると一転して急伸、この話に現実味がないとわかるとまた下げるという激しい動きだった。
ANAとの提携検討の真意
このような状況の中で、JAL <9210> が手を挙げた。というよりもスカイマークがJALに救いを求め、これにJALが応じた。ANA <9209> にとってもスカイマークは魅力的な存在であることは確かだ。なぜならば、スカイマークは羽田の発着枠を36往復分保有しているからだ。しかし、スカイマークは提携先にはJALを選んだ。なぜならJALがスカイマークへの資本注入を求めなかったことや共同運航を推奨していることが要因だ。JAL自身が共同運航にとどめているのは新規投資や路線開設が2016年度まで実質的に行えないことが大きく影響している。
そして、スカイマークは航空業界に格安料金を持ち込み、第三極を形成したという自負があり、独立路線を維持しようとしている。JALにしてもスカイマークにしても思惑が一致したという状況だ。しかしながら、この救済には国土交通省がからみ、単独支援には「待った」をかけ、ANAとの共同運航を求めたのだ。JALは公的支援での再生をしている状況であり、現在、法人税等の支払いもない。ここでJALに実質的な路線拡大を許してしまえば、ANAとの競争をゆがめてしまうことになるという判断だ。
ANAにとってみれば難しい判断である。スカイマークはANAによる救済は拒絶している。ANAにしてみれば「スカイマークが経営破綻し、羽田の発着枠を再配分してもらう」という形が望ましいだろう。しかし、格安料金を持ち込んで経営不振を自ら招いたスカイマークの救済に意味を見出しにくいが、無関心を押し通してJALと提携ということになれば、ライバルであるJALをさらに巨大にしてしまう。