インターネット経由で不特定多数の人が任意の組織に財源の提供や協力を行うことをクラウドファンディングという。群衆(crowd)と資金調達(funding)から作られた造語であり、ソーシャルファンディングと呼ばれることもある。2014年の金融商品取引法改正によって日本においてもこのクラウドファンディングが解禁された。これまでもアメリカにおいて、クリエイティブな仕事に携わっている人がそのアイディアをインターネットで公開。一人当たり数十ドル程度の資金提供を数多く集め、さまざまなプロジェクトが開始されてきた。
アイディアはあるが資金がない映像作家、劇団、デザイナーなど多種多様な人々が参入、その資金提供を糧として夢が現実のものになった事例も数多く見られる。日本でも参入要件が緩和、多くの参入が見込まれており、今、金融市場で最も注目を集めているのがクラウドファンディングだ。
中小企業やベンチャー企業への資金流入が期待
アベノミクス3本目の矢である成長戦略の一つとして「新規・成長企業へのリスクマネー供給策」が話し合われてきた。そして、金融商品取引法改正によって企業がインターネットを活用して広く資金を募ることが可能となった。これまでは、ある事業者が不特定多数の人を対象として資金を集めようとすると有価証券の募集となってしまうため、金融商品が取り扱える証券会社の仲介が必要であった。
つまり、最低資本金や兼業規制などの条件を整える必要からハードルが高いものだったのだ。法改正により仲介する企業の緩和が見込まれ、起業をする際にインターネットを通じて一定の条件下で株主の募集勧誘が可能になればそのハードルはかなり低くなる。この要件緩和を受けて、大きな資本や強固な体制を持たない企業がクラウドファンディングに参入し、中小企業・ベンチャー企業に資金が流れる期待が持たれている。