1月に予定されていたメガバンクの中間決算が出揃い、三菱 UFJ フィナンシャル・グル-プ(MUFG) <8306> 一人勝ちの様相が強まっている現状が明らかになった。メガ銀それぞれの強みを生かしていく戦略をとってはいるものの、MUFG の海外積極展開などを理由にした好業績だけが目立ち、三井住友フィナンシャルグループ(FG) <8316> とみずほフィナンシャルグループ(FG) <8411> の2行が遅れているように見える情勢だ。

MUFG と、三井住友FGおよびみずほFGの違いが最も端的に表れているのが海外への展開。その象徴とも見えるアユタヤ銀行の買収も、年明け早々の1月5日にアユタヤ銀の合併も完了した。アジア展開については、各国での貸し出し資金を増加させているほか、出資や提携戦略の展開を図るなど、さらに積極展開する構えだ。

決算としては、MUFG の連結純利益は9000億円。金融緩和が進む現状では、利ざや幅が大幅に縮むなど厳しい事業環境となりつつあるものの、積極展開する事業領域で補う動きだ。

海外市場への積極性でもメガ銀の中でも抜きんでて、他行と水をあけており、そうした差がこのほどの業績の違いにも表れているといえそうだ。

一方、三井住友 FG の決算はというと、連結での粗利益は2兆2303 億円となった。前期比で91億円の上昇となったが、SMBC 日興証券や SMBC フレンド証券の株式委託手数料の収入伸び悩みが利益の伸びも抑え込まれたと同社は分析。反対に、海外では三井住友銀行の貸し出し残高も増加し、資金利益も拡大したことにより増益につながったとのことだ。

MUFG と同様にに海外での融資などを展開することで利益増を確保したものの、展開の遅れや国内事業が足をひっぱった格好だ。今後さらに、海外での事業展開を加速させれば MUFG 同様に成長の余地を確保していける可能性も底上げされるだろう。

さらに、みずほFGはというと、連結経常利益が前年を上待ったものの約8080億円。同純利益も約5232億となった。連結純利益ベースでみれば7.0%の減少となり、業績を伸ばすMUFGに現状では水をあけられている格好だ。

ただ、MUFGに追いすがる他2行が手をこまねいているだけかというと、そうではない。三井住友FGの通期見通しに対する進捗率はすでに97%に達している。他方で、みずほFGについていえば、同社の通期見通しに対する進捗率ではほぼ9割と、順調に推移している。

さらに、三井住友FGもみずほFGも海外事業の展開を加速させており、MUFGを追撃する姿勢を決して崩してはいない。今後、各社が海外での事業をいかに収益に結びつけていくか、業績を追いかけていく上でも一つの焦点になりそうだ。

(ZUU online)

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