日本の2014年10~12月の第4四半期の不動産投資額は1兆7,200億円で、前年同期比で1.5倍と大幅増加し、第4四半期のみの投資額としては観測史上最大となった。これらの増額の主な理由はJ-REITの市場価格が大きく伸長しているからだ。


J-REITの伸長の大きな理由とは?


ではJ-REIT市場の価格が伸びている理由を見てみよう。一般社団法人不動産証券化協会が発表しているJ-REITの時価総額は2014年12月で10兆5,784億円(前年同月比39%増)で10兆円を超えて世界第2位の市場になった。これらの大きな理由としては、日本銀行の大幅な金融緩和による超低金利政策が大きい。また通称、黒田バズーカと言われる日銀による強力なREITの購入発表やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がREITも投資対象に含めると発表したことから市場に期待感が生まれたことも値上がりの原因だ。

2014年ではアセットタイプ別に見ると、ホテルREITの値上がりが最も大きかった。これは東京五輪の決定や円安による海外観光客の増加により、ホテルREITへの期待感が投資マインドを高めたと言われている。また日本初のヘルスケアリートも加わり、投資の選択肢が広がるなど、2014年のJ-REIT市場はとにかく明るい話題が多かった。


米国と国内REITを比較 J-REITは投資価値があるか?



J-REITは価格が上昇し続けているため配当利回りは低下しているが、それでもなお、海外からJ-REITへ投資資金が流入している理由を見てみることにしよう。ここでは上述の日銀の超低金利政策が大きく影響している。他国のREITとイールドスプレッドを比べながらその魅力を探っていきたい。新光投信の調査によれば、2014年12月末のJ-REITの分配利回りは3.2%、10年国債利回りは0.3%のためイールドスプレッドは2.9%であった。一方米国のREITの分配利回りは3.5%、10年国債利回りは1.4%のためイールドギャップは2.2%であった。