ファイナンシャルプランナー
(写真=Thinkstock/Getty Images)

ファイナンシャルプランナー(FP)には3つの役割〜立ち位置があるので、この選択を誤ると、自分自身が期待しているような成果は得られません。そのため、業務実績や内容などを確認し、FPを一緒くたに見ないようにすることが大切です。

本来、FPとは「個人資産を効率的かつ安定的に管理する役割を担う」ことが使命ですから、商品提供を前提にした情報提供やコンサルティングは行わないはずです。ただ、FPが業務上用いるライフプランニング(個々のお客さまの将来設計に基づいて行うコンサルティング手法)は、将来の未実現利益を提供する保険や投資商品などの金融商品を販売する上で有効な販売手法なので、販売手段としてFPライセンスを活用している方が多いのも事実です。


実態調査からわかる現実

FPの資格認定を行っている日本FP協会では、定期的に『FP実態調査』を行っています。母数が少ないことからも確実にビジネスをしている人が回答していると思われますが、逆に、資格として認知が広がっても、本業として活動されている方が非常に少ないことも痛感できます。このアンケートでわかるのは、生計が成り立っているFPの少なさです。

2010年7月実施の調査内容では「FP業務の売上の有無」という質問に対して、「90%前後の方が売上無し」と回答し、また、「年間収入に占めるFP業務の割合」は、「50%前後の方が10%未満」という数字からも、この仕事を生業とする難しさを垣間見ることができます。ビジネスとして成立するためには、「誰に」、「どんなサービスを」、「どのように」提供しているのか?を考えることが必要です。


“公正中立”とは?

以前から、FP相談において保険や投資商品、住宅ローンなどの販売サイドの意見に対するセカンドオピニオンを求められることは多々ありました。ただ、最近は、「(保険ショップや住宅展示場などで)“公正中立”な独立系FPに相談をしてもらったのだけれど、不安なので、相談に乗ってもらいたい」というご相談が増えていることがとても気になります。

情報が増えている状況で、お客さま自身も、本当の意味で自分の味方になってくれる「用心棒」は誰なのかを確認している現状があると感じています。ビジネスは、謝金をもらう方の要望にお応えするのが本来のあり方ですが、仮に商品提供に基づくビジネスをしている場合、間を取り持つFPは、商品提供サイドに対して一定の配慮をせざるを得なくなるはずです。

相談料を安価〜場合によっては無料にし、相談件数をたくさん受けている“公正中立”FPが、例えば、1件3,000円の相談料で月30件の相談を受けしているとすると、収入は月9万円〜年108万円です。しかしプロと宣言している以上、独立系FPも日本人の平均給与程度の収入はあるはずです。民間給与実態統計調査結果(2013年)によると、日本人の平均給与は414万円ですから、差額の306万円/年(約25万円/月)は他の方法で収入を得ていることになります。

もし、この差額306万円を保険販売、つまり保険会社から支払われる手数料(保険料の10%・7年間※1)で賄なっている場合、1件当たりの保険料が月5,000円ならば、1件当たり月500円の収入が得られます。つまり、トータルで500 件もの保有契約数を持っていなければ、月25万円の収入は得られません。また、均一な時間軸で契約しているとすると、月6件ペース ※3で新規契約を増やしていかないと、収入を維持できない計算になります。

※1:手数料率は、初年度40%、以降の6年間は5%とした場合の加重平均
※2:25万円÷500円/月/件=500件
※3:500件÷(7年×12ヶ月)

また、話したり書いたりという情報提供系のお仕事で賄なっている場合、例えば、1件当たり10万円で講演活動を行っているのなら月2.5件ペース、1件当たり5万円で執筆活動をしているであれば月5件ペースで、情報提供していかないと収入を維持できないことになります。

FPの提供するサービスは、その守備範囲の広さから、“わかりづらい”と捉えられがちです。この点がFPという職業を“怪しく”させている一因なのですが、個々のFPが異なる業務をしている以上、お客さま自身で、そのFPを見極める必要があります。まずは売上構成など「どんな活動で収入を得ているのか」がわかれば、「何が本業か」も把握できますし、実際は誰のために仕事をしているのかも確認できます。


実務家FPの見分け方…何を言っているかではなく、何をしているのか?

以上の基準に基づき、独立系実務家FPがお客さまサイドに立ち、サポートするFPかどうかを見分ける3つのポイントをお伝えします。

1)そのFP自身が「ライフプラン」を持って実践しているか?
そもそも、FPは「ライフプラン」に基づき、お客さまのサポートを行います。従ってFP自身がそれを実践していないことは詐欺同然だと感じます。プロが“机上の空論”を振りかざしても、信用はできないでしょう。

2)「公正中立」「自分自身が提供している商品を購入してくれれば、相談料は無料です」というキーワードについて、実際の業務を確認しましょう。
FPが中立だと謳っていても、実際は、平等でない場合もあります。

3)「公表できる実績」をどれだけ持っているか?
業務別(情報提供系や相談実行支援系など)、スキル別(担当分野別)に確認しましょう。信用は、見えるモノです。公表できない仕事が多いとそれだけ怪しく感じるうえ、リスクを高めることになります。

繰り返しになりますが…「何を期待するか」により、選択すべきFPは違ってきます。依頼すると修正はできても、変更はしづらいので、最初の第一歩を間違えないようにしてください。依頼前にインターネットなどでFPの氏名や会社名などを検索し、事故情報などがないかを必ず確認しましょう!

佐藤 益弘(さとう・よしひろ)CFPR認定者、FP技能士(1級)、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー。 株式会社優益FPオフィス 代表取締役。 大手メーカーの不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、FP資格を取得。現在、顧客サイドに立った実務家FPのネットワーク確立のため、「 マイアドバイザー 」を主宰。

(ZUU online 編集部)

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