2015年2月、住宅金融支援機構は長期固定型の住宅ローン「フラット35」の適用金利を6カ月連続で引き下げ、過去最低の水準とした。ところが、3月には一転して適用金利を引き上げ、11ヵ月ぶりに上昇となった。民間金融機関の住宅ローン金利も同様に、3月には固定金利の適用水準を引き上げている。果たして潮目は変わったのだろうか。
「フラット35」とは
フラット35とは、住宅金融支援機構と民間金融機関とが提携して提供している長期固定金利住宅ローンである。民間金融機関にはない、最長35年の長期固定金利住宅ローンを組めることが最大の特徴だ。民間金融機関の住宅ローンで必要な保証料が不要なことや、繰上げ返済や返済方法の変更を行う場合も、手数料がかからないというメリットがある。
民間金融機関は主に短期資金で資金調達を行うため、長期固定金利の住宅ローンを取り扱うことは難しいとされている。そこで、住宅金融支援機構は、フラット35を取り扱っている民間金融機関から住宅ローン(フラット35)を買い取り、それを担保とする債券を発行する。このようにして長期の資金調達を行い、長期固定金利を可能としているのだ。
変動金利と固定金利の違い
住宅ローン金利には変動金利と固定金利がある。実は、その基準自体が異なっているということを、理解していない人は意外に多い。
変動金利は短期金利の代表である「無担保コールレート」を基準としている。これは日本銀行の金融調節によってコントロールされている。これに対して、固定金利は長期金利を基準とし、長期資金の需要・供給の市場メカニズムの中で決まるという色合いが強い。一般的に、長期金利は将来の物価変動や、将来の短期金利の推移などについての予想が織り込まれるという特徴がある。新聞等で長期金利が報じられる場合、その指標金利となる債券、特に長期国債(満期までの期間が10年のもの)を指している。