(画像=Thinkstock/Getty Images)

リーマンショック前、先進国の株や国債への投資信託が人気だったが、リーマンショックを機に流れは一変し「新興国」「資源国」「高金利」がキーワードとなった。
とりわけ、ブラジルの株や債券、さらに通貨選択型ブラジルレアル建ての投資信託は日本の投資家に圧倒的な支持を得ている。そして今、そのブラジルレアルが再び正念場を迎えているのだ。

バーナンキ・ショック


2013年5月25日、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長(当時)が議会証言で量的緩和第3弾(QE3)の早期縮小に向けた出口戦略に触れた。世界中にばらまかれた米国の緩和マネーが引き揚げられることを懸念した新興国の株式や債券市場はパニックに陥った。

ブラジルの経済環境は依然厳しい状況


ブラジルでは2014年から2期目に突入した左派・労働党所属のルセフ政権が、貧困対策や社会福祉の充実を公約に掲げつつも、財政規律の重視に舵を切ったことを投資家は好意的に受け止めた。ルセフ氏が財政に注力すると宣言した背景にあるブラジルの経済環境は依然として厳しい。
ルラ前大統領時代の2010年、実質経済成長率は7.5%だったが、2014年は0.2%程度、2015年は0.6%程度にとどまる見通しで、リーマンショック後に多くの投資を呼び込んだ勢いはもはや無い。
さらに2014年秋以降、原油価格の下落に端を発したロシア・ルーブルの急落は新興国通貨にも下落の影響を及ぼした。ブラジル中銀は通貨スワップ介入に加え、スポット市場での米ドル売り介入を実施し、今後も為替介入プログラムを継続する方針をあきらかにしたことで投資家はブラジル投資に対する楽観的な見通しを見直すチャンスを失った。それを表すかのように上述の投資信託協会のデータでは14年1月以降再びブラジルレアルは買い越しに転じている。

今度は本物かも知れない


ブラジル最大の巨大企業である国営石油会社ペトロブラスを舞台とした汚職疑惑がきっかけとなり、ブラジルではルセフ政権に対する逆風が強まっている。同社は取引先に賄賂を要求し、その一部が不正な政治献金という形で多くの与党有力政治家に流入していることが明るみに出た。この汚職疑惑は政権を揺さぶる一大事件に発展しつつあり、ただでさえ景気の低迷とインフレに苦しむブラジル経済に暗い影を落としている。
こうした背景があり、ブラジルレアルの下落が止まらない。3月13日の外国為替市場ではブラジルレアルはドルに対して4%近く下落し、1ドル=3.28レアルと2003年4月以来の安値をつけた。多くの投資家は、ブラジル中銀が実施してきた為替介入を予想していた。
しかし、ブラジル政府は今回のレアル安を食い止めるために外貨準備は使わない方針だと伝えている。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事も新興国市場は米国の利上げに備える必要があるとの認識を示している。
マーケットは米国利上げ後の新たな基準を探るために、新興国のみならず世界中の投資家に対しても、今度こそ試練を与えるかも知れない。(ZUU online 編集部)