観戦ブームの加速に国際プロテニスの発展が寄与
錦織の活躍がこうした観戦ブームを加速させたことはもちろんだが、錦織という花を咲かせた土壌としての「国際プロテニス」の発展にも注目すべきだろう。少々歴史を遡ると、現在のプロテニスのシステムが始まったのは1968年のプロアマの壁をなくした「オープン化」以降。それ以前の四大大会は、いずれもアマチュアに限定されていた。
ちょうどこの頃、テレビのカラー放送や衛星中継が普及し始める。メディアの進歩を背景に、放映権収入とスポンサーの増加が、オープン化を可能にしたとみられる。
こうして活性化したプロテニスにさらなる拍車をかけたのが、1989年の「冷戦終結」だった。90年代以降、旧ソ連圏の国々から富と名声を求めるハングリーな若者達がどっとテニスに参入し始め、外来勢が優勢になり、地元勢が淘汰されるいわゆる「ウィンブルドン現象」が四大大会を含め、どの大会でも当たり前となっていった。
ファンとスポンサーの増加が再び好循環を生み、近年は賞金額も増大していっている。1989~2014年の25年間に、世界のGDPは4倍、米国は3倍に拡大したが、この間、全米オープン、全英オープンの男子優勝賞金はそれぞれ約10倍、全豪オープンにいたっては19倍にも増えた。
プロテニスの人気は、今やサッカー、ゴルフをも凌ぐグローバルな輝きを持ち始めている。錦織の勝敗に一喜一憂するだけでなく、テニスのこうした世界的な潜在力にビジネスチャンスを見いだすことも重要となっているのではないだろうか。(ZUU online 編集部)