カバードコール戦略
(写真=Thinkstock/Getty Images)

投資信託は分配金抜きには語れない。「投資信託と言えば、グロソブ」と言われるほどの圧倒的な存在感を見せつけた「グローバル・ソブリン・オープン」(グロソブ)が、2013年6月に純資産総額第1位の座を明け渡した。その背景には分配金があった。ピーク時には1万口当たり60円あった分配金は、今や20円にまで落ち込んでいる。人気投資信託と分配金は切っても切れない関係にありそうだ。


分配金を出し続ける仕組み

そもそも投資信託はどのように分配金を出しているのだろう。投資信託は債券や株式などの資産に投資し、そこから利子や配当を受け取っている。さらに投資した債券や株式の売買によりキャピタルゲインを得ている。このような収益が分配可能原資として蓄積されている。

しかし、実際には利子や配当の収入、売買益だけでは分配可能原資が足りず、元本の取り崩しを行っている「タコ足」ファンドは少なくない。

高い分配金を出し続けるには収益を増やす必要がある。それには高金利通貨や、高利回りの債券での運用が不可欠である。だが、高い資産への投資は、同時にリスクの大きさも意味している。


カバードコール戦略の仕組みとは?

投資家が求める高い分配金に応えるには分配可能原資を増やす必要がある。その方法のひとつとして取り入れられたのが、カバードコール戦略だ。

例えば、米ドルに投資する例を考えてみよう。通常の投資なら1ヶ月後に購入時よりも円安ドル高になっていれば利益を得ることができる。

一方、カバードコールの場合には、「1ヶ月後に米ドルがある水準以上値上がりしても、その利益を放棄する代わりに、対価として現金(オプション・プレミアム)をもらう」という契約を結ぶのだ。

したがって、いくら円安ドル高が進んでも一定水準以上の利益を得ることはできない。逆に、円高ドル安となった場合にはもらった現金を返す必要は無い。将来の不確実な利益を放棄する代わりに、インカムゲインを手に入れることができる。

カバードコール戦略は、通常の債券や株式からの収益に、プレミアムを上乗せすることで、分配可能原資を確保することを目指している。ここでは為替を例に取り上げたが、株を対象にしたファンドやREITを対象にしたファンドなどさまざまな商品が販売されている。


カバードコール戦略のメリット・デメリット

カバードコール戦略の概要は上述の通りだが、メリットとデメリットをまとめておこう。メリットは2つある。まず、投資資産の価格変動にかかわらず、オプションプレミアムが獲得できるということだ。そして、投資資産の価格が下落した場合には損失が発生するが、既に受け取っているプレミアム収入により、損失を軽減できる。

デメリットは、投資対象の原資産が上昇しても、利益は一定の水準までに限定され、権利行使価格を超える値上がりを享受することができないことだ。つまり、カバードコール戦略は大きな上昇も、大きな下落もないと思われる膠着局面において有効的と言える。


今後は分配金のあり方が問われる

「貯蓄から投資へ」のスローガンのもと、投資信託はその受け皿として成長してきた。現在も高齢者を中心に年金の補完として分配金に強いニーズがあるのも事実だ。だが一方で、投資信託の高コスト体質が投資家の負担になったり、過大な分配金が運用効率の低下を招いているのではないかという懸念もある。金融庁はかねて運用成績に比べて過大な分配金を払う投信に神経をとがらせてきた。

14年、金融庁は水平的プレビューを始めた。この方法は、金融商品販売やリスク管理などのテーマについて、大手銀行や証券会社、地域金融機関などを横断的に比較して、各業態の課題をあぶりだす新たな手法だ。前回は金融機関の回転売買が問題視されたが、今後は分配金とコストが問題視されることになりそうだ。

分配可能原資を確保するためのカバードコール戦略についても、それが適切な費用対効果が得られているのか問われることになりそうだ。(ZUU online 編集部)