(この記事は2015年5月1日に掲載されたものです。提供: Vortex online )
「デフレからの脱却」と「富の拡大」を実現するため安倍政権が打ち出したアベノミクスの結果、円安と株高がもたらされたのは周知のとおりだ。それを横目で見ながら「資産運用の必要性は感じるが、忙しくて時間が無い。」そう諦めてしまっている人がたくさんいるはずだ。「忙しいから資産運用ができない」そう諦めている人にこそ、ドルコスト平均法という投資をお勧めしたい。
時間を味方に付ける運用
資産運用と聞いて、何を想像するだろう。株やFX、不動産の購入などさまざまな投資対象がある。もし、アベノミクス以前にそれらの資産に投資していたなら、あなたは本当に大儲けできていただろうか。確かに、日経平均株価は大きく上昇し、為替は円安へと進んだ。不動産価格も上昇に転じている地域がある。
しかし、もし銘柄の選択を間違えていたなら、もし購入のタイミングを間違えていたなら、実際には利益を出すことができていなかったかもしれない。高値掴みの結果、一時的な下落に耐えられずに、慌てて損切りしていたかもしれない。わずかばかりの利益で売却した後に相場が大きく上昇し、悔しい思いをしたかもしれない。
いくら上昇相場とは言っても、実際に利益を得ることは意外にも難しいのだ。一日中パソコンのディスプレイに張り付いて相場を見ているデイトレダーならともかく、忙しい会社経営者やビジネスマンはなおさらだ。しかし、時間の無い人こそ「時間を味方に付ける」資産運用を行うべきである。運用のプロは日々の成果を求められる。週単位、月単位、そして半期ごとの成果が問われる。それに対し、我々は1年でも2年でも、例え5年という長期であっても待つことができるのだ。これこそ、プロに対抗できる唯一の武器だ。
ドルコスト平均法のススメ
時間を味方に付ける代表的な投資方法は毎月一定額を株式や投資信託などで積み立てる「ドルコスト平均法」と呼ばれる投資手法だ。定期的に均等な金額を投資し続けることで、リスクの分散を行う。
資産運用といえば多額の資金の運用を考えがちだが、多額の資金を一度に投入すればリスクが高くなる。ドルコスト平均法では価格が高いときには買う量が少なくなり、価格が安いときには買う量が多くなる。その結果、平均購入価格を下げる効果がある。
ただし、相場環境によってはドルコスト平均法が不利となる場合があることも認識しておく必要がある。下げ相場の場合には一括で買うよりもドルコスト平均法が有利だ。しかし、上げ相場では一括で買った方がリターンは大きくなる。ドルコスト平均法の最大のメリットは、相場環境に左右されず機械的に買い続けることで、投資家が欲望や恐怖に負けて不合理な判断をすることを防ぐことだといえる。
それでもデメリットはある
ドルコスト平均法にもデメリットはある。ひとつの投資対象に長期間投資し続けることで、結果的に大きなリスクを抱え込んでしまっていることに気付かないことも多い。バランス型投信であればある程度のリスク分散も図れるが、株式の個別銘柄などをドルコスト平均法の対象とするには注意が必要だ。
また、ドルコスト平均法で小口の購入を行う度に購入手数料を支払うことになる。一定額以上の大口購入にあたっては購入手数料を割り引く投資信託もあり、単純に購入手数料だけを比較すれば、一括購入が有利なケースもある。
その他にも、投資信託であれば保有期間中、信託財産から間接的に支払われるコストとして信託報酬と監査報酬がある。事前に明示されないが、投資信託が投資する株式や債券を売買する際に発生する費用も信託財産から間接的に支払われる。このように、投資信託は長期間保有するほどさまざまなコストがかかるため注意が必要だ。
どんな投資信託を選べば良いのか
ドルコスト平均法で投資信託を購入するには、コストとリターンの関係、さらにリスクについて検討しておく必要がある。日本経済新聞電子版には「投信発掘」スクリーニングツールが用意されている。あらかじめ「低リスクの割にリターンが高くコストも安い商品を探す」、「運用成績の安定性を重視して探す」、「コストとリターンを重視して探す」といったスクリーニングが準備されており、初心者でも簡単に銘柄のスクリーニングができる。
自身でより細かな条件設定を行うことも可能であるし、運用会社や販売会社で絞り込みも可能だ。まさに忙しい人が銘柄を選択するにはうってつけのツールだ。
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