5月27日、太田昭宏国土交通大臣と、タイのプラジン運輸相が、タイのバンコク―チェンマイ間に建設を予定している高速鉄道について、日本新幹線方式を導入する方向で調査を開始する覚書を締結したことが、報道各社から知らされ、明らかになった。
現在、国内では新幹線の海外輸出を実現させようと、まさに、オールジャパンともいえる体制を構築。JRグループなどが国際高速鉄道協会(IHRA)を設立して、新幹線の技術や超電導リニアの普及を推進するなど積極的な取り組みを進めている。
鉄道の導入については広くは、車両だけではなく、運営システムや信号などさまざまな企業・製品の参画や活用されることになる。このほど、日・タイの間で締結された、高速鉄道導入のための調査についての覚書についても、日本の新幹線方式が導入されるとなれば、日系各社の事業への参画も当然、期待されることから、今後の動きも注目だ。
そこで今回は、新幹線の製造やその輸出に関連する注目の銘柄を幾つか紹介する。
新幹線運行を支えるJRグループ2社
新幹線といえば、運行を支える鉄道会社のJRグループがなんといっても無視できない。中でも、東京―大阪間というドル箱路線を抱えるのが、JR東海 <9022> だ。同社は「700系」を基本とした車両と信号システムを採用しており、高速鉄道として新幹線方式を採用した台湾でも、同方式が採用されている。
同社と対立するのが、JR東日本 <9020> だ。同じ元国鉄から民営化された鉄道会社でもあり、首都東京を傘下の地域に持つだけに、決して無視できない存在だ。新幹線の輸出を目指す業界団体といえるIHRAにも当然、加入してはいるものの、JR東海との確執を指摘する声も多い。新幹線の輸出を巡って両社は「犬猿の仲」とされたり、海外のインフラ事業への日本企業の参画でよくみられる商社との連合も「JR東日本とJR東海の対立が、それを阻んできた」とされることもあるという。
今後、両社が新幹線輸出プロジェクトでどのような関係を築いていくのかについても、注目が集まりそうだ。