シンガポール
(写真=PIXTA)

「移住したい国ランキング」で、アメリカ、オーストラリア、タイ、カナダに次いで人気のシンガポール。なぜ今シンガポール移住熱が高まっているのか。

東南アジアと聞くと未だに「発展途上国」というイメージがあるものですが、シンガポールについては先進国として大変近代化された国です。
外務省が発表した2013年の「一人当たりGNI(国民総所得)順位」で、シンガポールは世界8位(54,040ドル)にランクインしています。
今年3月にオウチーノ総研が発表した調査(首都圏在住の20~59歳男女を対象として実施。833名が回答)による「移住したい国ランキング」では、1位アメリカ、2位オーストラリア、3位タイ、カナダに次いでシンガポールは4位に入っています。


シンガポール生活の魅力

摩天楼と美しい緑があふれ、国際色豊かなシンガポールでは、近代的な生活ができると同時に、自然に恵まれた南国的なムードの中で日々を過ごすことができます。
中国系、マレー系、インド系の住民が共存し、アジアの多様な文化を楽しむこともできます。レストランも中国料理、マレー料理、インド料理はもちろん、西洋料理から日本料理までバラエティにあふれています。
また、隣国のマレーシアやタイへのアクセスが容易で、気楽に旅行に出かけることができます。

ただし移住となると求めるべき条件も厳しくなってきますが、シンガポールは生活のクオリティーが高く、多くの人が満足できる条件を満たしているといえます。
街は清潔に保たれていて、衛生面での心配はありません。水道水を飲むこともできます。
そして何より、シンガポールは政情が安定していて、治安が良いことでも定評があります。女性が気軽に一人歩きできるような環境です。

医療面のレベルも高いものです。アジア各国の富裕層は入院や手術のためシンガポールを訪れるほど、医療水準が高く医療施設も充実しています。
また、日本人医師やスタッフが常駐する病院もあります。教育水準の高さでも、シンガポールは他国に秀でています。
シンガポールには、アメリカン・スクールをはじめ世界各国のインターナショナル・スクールがあり、また公立学校も世界のトップレベルです。
公用語は、英語、マレー語、中国語(北京語)、タミル語ですが、若い世代は英語教育中心で育てられています。

ただし、一方で注意点もあります。シンガポールは物価が高く、食費や住宅費に関しては、日本よりも高くなります。
また、高レベルの医療・教育を求める場合、それなりの対価を払う必要があることは念頭に置いた方が良いでしょう。シンガポールの医療は自由診療のため、設備の整った私立病院では治療費が高額になります。
子供をインターナショナル・スクールに通わせるとなると高校3年間で1千万円弱の費用を覚悟しなければなりません。

それでも魅力が有り余るのがシンガポール。投資家のジム・ロジャーズがシンガポールへ移住した理由の一つも教育環境です。
ちなみに、フェイスブックの共同創業者エドゥアルド・サベリンも同国に移住しています。


投資家や事業主に嬉しい財政環境

こうしたシンガポールの人気は生活上の必要条件を満たしているだけではなく、投資家や事業主にとって様々なメリットがあるのです。
現地に拠点を置く日系コンサルタント会社「YHF PTE LTD」は、シンガポール移住のメリットとして、「高い医療水準」「教育水準が高い・学校の種類が豊富」「治安の良さ」とともに、「税率の低さ」「事業環境の整備」「有利な金融商品が豊富」を挙げています。

シンガポールの「税率の低さ」は有名です。日本では税制改正によって所得税の最高税率が45%に引き上げられました。これに対して、シンガポール所得税の最高税率は20%です。
2017年度納税分から22%に上がりますが、日本と比較すれば圧倒的な低さです。

「事業環境の整備」も世界の中で群を抜いています。ビジネスに関する法律も解りやすく構成されていて、外国企業に対する規制も緩和されています。
世界銀行が2014年10月に発表した「ビジネスのしやすさ」ランキングで、シンガポールは前年に続いて1位に輝きました。

このランキングは、「事業の始め易さ」「税金」「海外貿易のし易さ」などの観点から、ビジネス活動における規制や制度的環境を評価したものです。
また、金融の世界的ハブとして発展してきたシンガポールは、有利な金融商品が非常に豊富で、資産運用にも適しています。

移住先としてシンガポールを選ぶ人は、今後ますます拡大してきそうです。

※この記事は2015年5月18日に掲載されたものです。
提供: ファイナンシャルスタンダード株式会社

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